【Beautéの病理解説シリーズ】「ものもらい編」いろんな種類があるのは何故?どう違うの?

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アイリストにとって目元に起こる病気の知識を広く深く知ることは大変重要なことです。さて、日ごろよく耳にする“ものもらい”。実は大きく分けて2つの病気の総称であることを知っていますか?今回は“ものもらい”の原因や症状について学びます。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)・霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?

“ものもらい”とは主にまぶたが腫れ、痛みやかゆみ、目の充血などを伴う目の病気です。目が痛い、なんだかゴロゴロする、目元に小さなふくらみができている…このような症状は“ものもらい”が原因かもしれません。
“ものもらい”は比較的身近な病気であり、特に目元に施術を行うアイサロンでは日常的に触れる機会の多いワードの一つでもあります。

ちなみに“ものもらい”は地域によってさまざまな呼び名があるのを知っていますか?
例えば宮城県では「ばか」、近畿地方では「めばちこ」、東海地方では「めぼ」や「めいぼ」、さらに熊本県では「おひめさん」など、ユニークな呼び名が付けられている地域などもあります。お客様や同僚との会話の中でも、より馴染みのある呼び名で登場しているかもしれませんね。

しかし一言で“ものもらい”といっても、大きく分けて2種類あるのを知っていますか?
実は麦粒腫(ばくりゅうしゅ)霰粒腫(さんりゅうしゅ)という2つの病気のことを指します。では、それぞれの原因や症状にはどのような違いがあるのでしょうか?

それぞれの原因と症状、特徴とは?

画像元:日本眼科学会

“ものもらい”は比較的は身近な眼病であるため、原因や症状についての正しい知識が、お客様への対応に役立つこともあるでしょう。では、それぞれの原因や症状の特徴をご紹介します。

麦粒腫

画像元:南葛金町眼科

原因

主に黄色ブドウ球菌の感染による急性の炎症

初期症状

  • まぶたの一部が赤く腫れ、痛みやかゆみを伴う
  • 白目の充血
  • まばたきをすると、ゴロゴロとした違和感がある

重症化すると

  • 赤み、腫れ、痛みが強くなる
  • 腫れた部分のまぶたの裏から膿が出る
  • 腫れた部分の皮膚が薄くなり、破れて膿が出る

麦粒腫にも細菌が感染した部位により、外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)の2種類に分けられます。ほとんどの麦粒腫は外麦粒腫であり、内麦粒腫は非常にまれです。

細菌感染部位

外麦粒腫:まぶたの外側にある汗を出す腺(ツァイス腺またはモル腺)またはまつげの毛根
内麦粒腫:まぶたの内側にある皮脂を分泌する腺(マイボーム腺)

感染症と聞くと、人にうつるのでは?と心配になるかもしれませんが、麦粒腫の原因はウィルスではなく、細菌であるため他人にうつることはありません。麦粒腫の主な原因となる黄色ブドウ球菌は特別な細菌ではなく、人の皮膚や粘膜などどこにでも存在しているありふれた細菌です。学術的には常在菌と呼ばれます。
常在菌の感染力は低いため、健康な状態であれば害を及ぼすことはほとんどありません。しかし以下のような状況をきっかけとして細菌感染や増殖が起こり、麦粒腫を発症してしまうことがあります。

  • 病気などで抵抗力が低下している
  • 疲労や寝不足で免疫力が低下している
  • 目元の怪我や結膜炎などを起こしている
  • まぶたを擦るなど目元が不潔な状態

 

膿が出たあとは自然に治ることもありますが、しこりが残って霰粒腫を発症してしまうこともあります。

霰粒腫

画像元:中内眼科クリニック

原因

まぶたの内側のマイボーム腺(まつげの根元近くにある脂を分泌する腺)の出口が詰まって慢性的な炎症が起こり、その結果肉芽腫(にくがしゅ)と呼ばれる白っぽい塊ができる

症状

  • まぶたの腫れ、ゴロゴロとした“できもの”による異物感
  • まぶたが開けづらい(ときに目を覆い隠すほどまぶたが腫れることもある)
  • 炎症を伴う急性霰粒腫の場合、赤みや痛みなどの麦粒腫と似た症状がみられる

霰粒腫は麦粒腫と違い、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。一般的には痛みやかゆみが少ないという特徴もあります。感染部位がマイボーム腺である点は、内麦粒腫と同様です。
どちらの場合も、人から人へ感染することはないため、お客様への対応で神経質になる必要はありません。

ポイント

麦粒腫:細菌感染による急性の炎症。痛い・かゆみが強い
霰粒腫:マイボーム腺の詰まりによる慢性の炎症。痛み・かゆみが少ない
どちらも人から人へうつることはない!

 

まつげの根元のかゆみについてまとめたこちらの過去記事もチェック!

“ものもらい” サロンでの対応とは?

マツエク施術前のお客様に“ものもらい”が見つかった場合、施術を中止するのが最善の判断です。
では、“ものもらい”があるお客様に施術を行った場合に起こるトラブルを推察してみましょう。

  • テープを貼る際に痛みを伴う
  • 施術中、“ものもらい”によりまぶたを完全に閉じることができず、グルーの刺激を受けやすい
  • 施術後にマツエクによる物理的な刺激を受け、細菌感染が起こり、症状が悪化するなど

この他にも予想外のトラブルが発生する可能性もあり、施術にはリスクを伴います。
しかしお客様の中には、

「これくらい“できもの”があったって大丈夫よ!」
「せっかく来たんだから、施術をして欲しい!」
「よく“ものもらい”できるから気にしないで!」

などと施術の続行を希望される方もいらっしゃるかもしれません。その場合には、先ほど学んだ“ものもらい”の原因や症状、その特徴などを丁寧に説明し、眼科への受診をおすすめしましょう。しっかりとした正しい知識で、状況をお伝えすることができたなら、きっとお客様も施術中止を納得してくれるはずです。さらに眼病が完治したら、施術を行えることも併せてお伝えしましょう。

<注意>

アイリストは医療の専門家ではないため、“ものもらい”が麦粒腫であるのか、霰粒腫であるのかを断定するのは避けましょう!

“ものもらい”ができやすいお客様への対応

“ものもらい”の原因のほとんどは、目元が不衛生であることだといわれています。また一度発症してしまうと完治するまで施術を行えないため、売上毀損にもつながります。これを防ぐためには、“ものもらい”ができやすいお客様に正しいホームケア方法をお伝えし、少しでも“ものもらい”の発症を抑えることが重要といえます。

“ものもらい”ができやすいお客様にお伝えしたいポイント

正しい洗顔方法

マツエクのモチを良くしたいがため、洗顔が十分に行えていないケースも多く見られます。麦粒腫・霰粒腫ともに発生部位はまつげの根元付近なので、マツエクを装着している人が“ものもらい”を発症しやすい理由もうなずけます。丁寧にマツエクに適した洗顔方法をお伝えしましょう。

マツエク専用のクレンジング剤をご紹介する

洗顔を丁寧に行ったとしても、まつげの根元にアイラインやアイシャドウなどのアイメイクが残ってしまうケースがあります。それを防ぐためには、クレンジングでしっかりとアイメイクを落とし、清潔な目元を保つことも重要です。中にはマツエクには使えないクレンジングもあるため、お客様にマツエク専用のクレンジングをご紹介しましょう。

アイシャンプーの使用をおすすめする

アイシャンプーは目にしみにくく、優しい泡で洗えるため目元の洗浄にピッタリのアイテムです。最近ではアイサロンだけでなく、ドラッグストアや大手通販サイトなどでもアイシャンプーの取り扱いがあるため、選択の幅が広がっていますよね。ぜひ“ものもらい”ができやすいお客様には使用をおすすめしましょう。

おすすめのアイシャンプーをピックアップ
メディプロダクト/アイシャンプー

日本初のアイシャンプーとして、一般ユーザーのみならずアイリストからも高く評価されている商品です。販売元である株式会社メディプロダクトの公式ホームページには、眼科医のインタビューなども掲載されています。現役ドクターも推奨するアイシャンプーであるため、お客様にも安心して提案できますね。

まとめ

今回は日ごろよく耳にする“ものもらい”について深堀りしました。場合によっては施術を中止する必要があるため、しっかりと状況を伺い、判断する必要があります。また“ものもらい”ができやすいというお客様に対しては、正しいホームケアの方法をお伝えするのも大切です。これにより目元の不衛生が原因で起こる“ものもらい”の発生を防ぐことにつながるでしょう。181112Euk

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