アイリスト目線で考える「ホントのところ」!独立のリスクとメリットとは
アイリストとして生きている中で、「独立かサロン勤務か」という選択肢に出会う人も多いことでしょう。「いつか独立を!」となんとなく思っているアイリストもいるかもしれませんが、そもそも“独立”とはどのようなものかを把握していますか?今回は、アイリストの目線から独立を見据えます。
アイリストの独立を考える
アイリストとして仕事をしていくなら、大きく分けて
◆サロンに勤務するか
◆独立開業するか
の2つの選択肢があります。時代傾向的に独立願望のあるアイリストは減っているものの、それでも将来は独立して自分のサロンを持ちたいと思う人は多いのです。
アイリストの独立開業が減った背景には、「女性が働きやすい社会への変化」という時代の流れも影響しているでしょう。その流れの一つとして、マツエクサロンそれぞれの待遇改善や給与の向上が考えられます。
比較的女性の多いアイリストは、結婚・出産などで転職や退職を余儀なくされることも。そのため、各サロンでは育休・産休制度を設けて、女性が働きやすい職場を作る企業努力が見られます。特に最近では、都市部を中心にこうした職場環境の改善が進められているのです。
サロン勤務から離職し、自宅サロンでのこぢんまりとした開業を消極的理由で選択していた人たちについて考えれば、「長く続けられる職場」や「働きやすい職場」では、自分の頑張り次第で給料減になるようなリスクをわざわざ持とうとは思いませんよね。
一方で、それでも独立を考えるアイリストは、どんなケースが多いのでしょうか?
実現したいサロン」への夢や想いが強くあるケース
「長く続けられる職場」「働きやすい職場」に加えて、「自分の思いが詰まったサロンを開業したい」という想いが強くある場合もあります。
独立すると、内装やコンセプト、接客方法や商材まで、自分の好みだけでできたサロンを運営することができます。「今いるサロンは働きやすいんだけど、自分の使いたい商材ややりたい接客はできそうにない」「オーナーに意見を言ってもあまり聞いてくれそうにない」など、現状のサロンではやりたいことを実現できない場合は、特に想いは強くなるでしょう。また、独立の営業形態にもよりますが、長期・短期休暇問わず、シフトを自由に組めるため自分の働き方に合わせた運営が可能です。
ビジネスとして「経営者になりたい」と考えるケース
人を雇用し、経営に回ることで自分の売上だけでなくサロン全体の売上での所得を得たい、という考え方の人もいるでしょう。自分の収入だけではなく、従業員の給与も稼ぐ必要があり、規模が大きくなればなるほど責任も増えていくことが考えられます。生半可な覚悟ではできないことですが、「いずれは大きな展開をして自分のサロンをもっと広めたい」と思うような夢と、「サロン経営への興味」が独立への想いを強くするかもしれません。
では、具体的に独立にはどのようなパターンがあるのでしょうか。
【起業人数】
◆複数人で集まり、共同経営として独立する
【店舗の形態】
◆テナントや賃貸物件を借りて開業する
【運営規模】
◆アイリストが複数人在籍する「法人サロン」
それぞれに利点・欠点はありますが“独立の形”はひとつではありません。
そして「マツエクサロン」は、美容業界の中でも比較的独立しやすいことが挙げられます。例えばヘアサロン・エステサロン経営をするならば、大掛かりな設備が必要。メニューに合わせてツール・材料を揃えておかなければならないため、在庫管理のリスクや費用が掛かります。
対して、マツエクサロンの施術に使用するツールや材料は、さほど費用がかかりません。個人でも十分管理でき、設営も簡単であるため、ある意味では安易に独立しやすいと言えるでしょう。
次は、サロン勤務と独立をそれぞれ比較し、違いを見ていきましょう。
サロン勤務と独立の違い
サロン勤務と独立の違いは、みなさんもよくご存知のことと思います。今一度、この2つのメリットとデメリットから違いを見てみましょう。
サロン勤務と独立、それぞれのメリットとデメリットとは?
以下に、メリットとデメリットを挙げます。
|
メリット |
デメリット |
サロン勤務 |
・経営・集客を自分でしなくてもよい ・知識や経験が積める |
・拘束時間が長い ・待遇や給与が経営者に一任される |
独立 |
・ライフスタイルに合わせて働ける ・自分でサロンコンセプトを設定できる ・自分の好みをサロンに反映できる |
・マネジメントや人材雇用の責任、その他の運営リスクを背負わなければならない |
【サロン勤務】施術に専念でき、経営ノウハウや集客力がなくてもよい
サロン勤務の「デメリット」といえば、拘束時間が長いことや待遇・給与などが挙げられるでしょう。しかし「リスク」に限って言えば、従業員としてサロンに勤めている限り特にありません。なぜなら、従業員が直接経営責任に問われることはないため。よほど運営に関わる重大なミス・行為を犯さない限りは、サロン勤務をしている上でリスクを考える必要はないでしょう。
そしてサロン勤務の特徴として、経営ノウハウや集客力がなくても、アイリストとして仕事を続けていくことができます。言い換えれば、施術さえできればよいため、経験を積むにはベストな形がサロン勤務なのです。サロン勤務のアイリストの中には、将来的に独立を見据えている人もいるでしょう。独立志向のあるアイリストがサロン勤務をするメリットとして、施術に専念でき経験や知識を蓄えられることが挙げられます。同時に、接客や業務のサロンマニュアルも仕事で活用するため、営業スキルも次第に身につけられるのです。
また、視点を変えてもうひとつサロン勤務の特徴をご紹介しましょう。先ほど、
◆マツエクサロンは設備面から見て比較的独立しやすいこと
を説明しました。
そのため、とあるアイリストは、
と考え、独立を決めたそうです。サロン勤務は時給制や固定給制が多いため、売れっ子アイリストになるとサロンにとっては有益でも、アイリスト本人は給与に満足できないケースも出てくるかもしれません。リスクとは異なりますが、こうした側面がサロン勤務にはあるのです。
【独立】経営・集客スキルが必須!自分だけのサロンを持つ喜びがメリット
サロン勤務と比較すると、圧倒的にリスキーなのが独立。一説によると、美容業界のサロンはオープンして3年以内に大半が閉店すると言われています。そのため、技術力だけでは独立営業は叶いません。接客や集客などの営業力、マネジメント・経営面の知識も必要です。
人によってそれぞれですが、サロン勤務から独立を考えるアイリストにとって、特にネックとなるのが「集客力」なのだそう。独立のスタートダッシュとなる新規顧客はもちろん、経営の命運を分ける「リピーター」も重要です。サロン勤務では集客は企業で取り組み、アイリスト個人ができることはその一端となりますが、独立すると集客にまつわる一切をすべて一人で行わなければなりません。
一方で、独立したからこそ得られるメリットもあります。
個人サロンを経営するなら、一人でお客様と向き合うからこそのきめ細かく丁寧な接客が可能。例えば、
◆アットホームな環境、自分が描く理想的な環境で接客ができる
◆一対一だからこそ、お客様との信頼関係が築けやすい
などがメリットとして挙げられます。
業務環境としては、
◆自身の用事などで休店できる(休暇が取得しやすい)
◆開業場所によっては、通勤時間が短縮できる
などがメリットです。
そして先ほども説明したように、集客がうまく行きリピーターが多数付けば、独立はサロン勤務時よりも収入アップを見込める可能性もあります。
独立をするために必要な準備とは?
独立前に必要なものとして、まず資金が挙げられます。また、一人でサロンを回すため経営スキルなどの知識も必要。こうした独立をする前の準備を、ここでは一例としてご紹介しましょう。
独立資金はどれくらい貯めるべき?
独立資金はケースのよってさまざまですが、基本的な例を挙げてみましょう。
<個人サロンの独立開業を想定>
物件費 |
~100万円 |
内装費 |
~100万円 |
設備費 |
~120万円 |
広告費 |
~30万円 |
運営資金 |
~150万円 |
このうち、物件費に関しては、
◆賃貸物件(マンションなど)をサロンにする
◆テナントを購入・レンタルしてサロンにする
場合とで、大きく金額が異なります。
コストがかかるのはテナントの契約。いったいどれくらいかかるかご存知でしょうか。月の賃料の10ヶ月分は保証金で入れなくてはいけません。10万円の物件であれば100万円、20万円の物件であれば200万というまとまった額が一番始めに必要なのです。
また、用意した物件の状態がコンクリートむき出しのもの、いわゆる「スケルトン物件」であれば内装費が坪単価で10~30万円はかかることも考えておかなければなりません。設備費も用意した物件によって金額に差が生じます。大体、100万円前後を見ておくとよいでしょう。
この資金は地方では比較的安価に済むこともある一方、都心だと費用を多めに見積もっておく必要があります。
よって、一概には言えませんが開業資金はおよそ200~500万円ほどとなります。独立資金は借りる形で用意することもできるため、必要な資金の2/3程度は貯めておくことをおすすめします。
“従業員”では得られない経営ノウハウ・リスクマネジメント
独立をする前の準備=心構えとして、経営ノウハウやリスクマネジメントの知識を蓄えておくことも大切です。マツエクサロンの「開業」が比較的容易であるのは事実。しかし、店舗を構えるまでではなく、「長く経営を続けていく」ことこそが重要であり難しいのです。
そのため独立前には、どのような経営方針でいくのか、顧客のターゲット層、サロンが提供する価値とは?といったサロン運営の細部にいたるまで、詳しく決めておきましょう。その上で、経営戦略を立てて、リスクを管理(リスクマネジメント)する力を持ち、しっかりと生き残っていかなければなりません。
サロンの従業員であったアイリストが、突然経営者の視点を持つというのは、そう簡単なことではないはず。しかるべき知識人から情報を得たり、セミナーやマツエクスクールが開講する「独立支援コース」などを受けたりするのも一つの手段です。サロン勤務を続けながら独立準備をするアイリストは大変なことと思いますが、大切な“自分のサロン”をすぐに失わないよう、これらの知識は時間をかけてでも用意しておきましょう。
資格取得や「流行を読む力」をつけることも準備のひとつ
企業であるサロンから独立して、自分の店を持つことになると「店舗の評価=自分の評価」となります。大型サロンでは「全アイリストが厳しい社内規定の合格者」といったアイリストを評価する材料を与えてくれますが、個人サロンではそうはいきません。そのため、もし余裕があれば美容師免許に加えて「まつ毛エクステンション技能検定試験」(日本アイリスト協会主催)や「アイデザイナー技能検定」(日本まつげエクステンション協会主催)などの有名な民間資格を取得してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、この資格を持っているからお客様から評判となるわけではありません。技術力・接客力の高さも必要。今いるサロンと比較して、また、他のサロンと比較して、「お客様に選ばれる理由」は作れているでしょうか。新しくオープンするサロンには「他のサロンよりもここが優れている」「ここが魅力」という明確なものが求められます。優れた技術を持ち接客もきめ細やかなのに、トレンドから外れた提案や最新にアップデートされないメニューでは、お客様から「何か違う…」といった違和感を抱かれてもおかしくありません。集客のために、そしてよりよいサロンを作るために、“流行を読む力をつける”ということも準備のひとつと言えるでしょう。
まとめ
Beautéでは、過去に「独立するための手続き」や「個人サロンは長期的に続けられるのか」といったテーマをみなさまにお届けしました。今回は、「アイリスト目線からみる独立とは?」に踏み込んでご紹介しています。何も知らない状態では、独立とはベテランアイリストや店長経験のあるアイリストのみ行えること、といったイメージがあるのではないでしょうか。意外と独立そのものの壁は低いのですが、その後の経営継続や円滑サロン運営ができるかどうか、「業界で生き残る力のあるサロン」になれるかどうかはアイリストの素質・知識によるものが大きく影響します。サロン勤務か独立か…いずれにせよ、「アイリストとしての自分の人生」に合ったものを選んでいきましょう。181117E3s