お客様が風邪気味or治りかけで来店…そんな時、どうする?対処法やサービスを考えよう
マツエクサロンには、日々さまざまなお客様が来店されます。なかには風邪を引かれて、体調が優れない状態でサロンに足を運ばれるお客様もいらっしゃることでしょう。今回は、そんな風邪症状が見られるお客様への施術がテーマ。風邪気味&治りかけのお客様にマツエクの施術を行うことは可能なのか。また風邪の菌やウイルスをサロン内に蔓延させないためにどのような対策が必要となるのかといった部分に焦点をあてて検証していきましょう。
風邪を引いた時のマツエク
風邪とは、ウイルスが鼻やのど、気管などの呼吸器系に感染して起こす症状のこと。日本人は1年間で平均5~7回ほど風邪を発症しているというデータもあり、最も身近な病気のひとつであると言われています。そのため、マツエクサロンに足を運ばれるお客様のなかには、風邪症状が見られる方もいらっしゃるでしょう。しかし、体調が優れないお客様へのマツエクの施術をしてよいものなのか気になるところですよね。
風邪の症状や度合いには個人差がありますが、一般的に風邪は体力や免疫力が落ちているときにかかりやすいものです。体の抵抗力が弱まっている状態でマツエクの施術を行うと、普段アレルギー症状とは無縁の人であっても、グルーが揮発する際に発生する成分などに反応して何らかのアレルギー症状を引き起こしてしまう可能性があります。なかには、低刺激性のグルーであっても、揮発成分を鼻から吸うことで気分が悪くなったり、目に沁みて痛みを感じたりするお客様もいらっしゃるようです。
また、風邪の代表的な症状である咳やくしゃみも施術の大敵。自まつげの選定やエクステを装着する際に使用するツイザーは刃先が鋭利になっています。咳やくしゃみのタイミングで急に動かれてしまうと、目に刺さったり傷つけたりという思わぬトラブルを招いてしまうかもしれません。
このように、風邪を引かれているお客様へのマツエクの施術はさまざまな危険性やトラブルの可能性があるため、できるだけ避けるほうがよいと言えるでしょう。
しかし、サロンへわざわざ足を運んでいただいたお客様に対して一方的に施術をお断りしてしまうと、別のトラブルへ発展してしまう可能性も否めません。体調不良時に起こり得るリスクを説明したうえでお客様に判断を委ねるのか、それとも施術リスクの排除のために日を改めていただくようご案内するのか。サロン内で今一度対応方法について確認し合い、共有しておくと安心かもしれません。
この時期の対策とは?
風邪の症状は人によってさまざまです。なかには、症状が軽く自身が風邪にかかっていると気付かずにサロンへ来店されるお客様もいらっしゃるかもしれません。風邪は感染経路が多く、飛沫感染や空気感染、接触感染などでほかの人へ菌を移してしまう可能性があります。
お客様はもちろんのこと、スタッフの健康を守るためにもサロン内の環境にも気を付けたいところ。風邪を蔓延させないために、サロンで行える対策法を考えてみましょう。
消毒を徹底する
お客様が触れる頻度の高い箇所を、消毒で除菌することも大切です。例えば
◆施術部屋のベッド
◆待合室のソファ
◆トイレの便座やドアノブ
◆商品見本
など。施術の合間や開店前や営業終了後など、定期的に洗浄やアルコール消毒を実施し、接触感染を防ぐように努めましょう。
加湿器の設置
ウイルスや菌は比較的乾燥に強いのが特徴。また、乾燥している空間に長くいると、のどや気管支の防御機能が低下することから、空気感染が起こりやすくなってしまいます。特に冬場は暖房を使用していることから、乾燥しやすくなりがちです。そのため、加湿器を使用し空間を乾燥させないようにすることが感染対策には大切です。しかし、グルーにとって最適な湿度は55~65%。この値を上回ってしまうと、グルーの劣化が進んで扱いづらくなってしまいます。加湿器を設置する場合は、施術部屋を避けて待合室や受付フロアに置くなど、配置する場所にも気を付けなければいけません。
空間除菌する電化製品の設置
近頃では、置くだけで空間中のウイルスや菌を除去してくれるような電化製品も登場しています。こちらはプールや哺乳瓶、食材等の除菌にも使用されている「次亜塩素酸(HOCI)」という物質を発生させ、フィルターファンで空気を送って空間内を除菌する仕組み。空気中に浮遊しているウイルスや菌だけでなく、カーテンやドアノブなどに付着しているものを取り除く高い機能を搭載しているものもあります。また、次亜塩素酸は毎年冬に猛威を振るっているインフルエンザの対策としても有効です。感染対策として、サロン内への導入を検討してみるのもよいかもしれません。
施術で使用する器具や用具の消毒を徹底
お客様の肌に直接触れる器具や用具を都度取り替えることや消毒を徹底することは、風邪の蔓延防止以前にサロン業務として重要なことです。適切な衛生管理がなされていない器具を介して、知らず知らずにお客様へウイルスや菌を移してしまう可能性もあります。
◆ツイザーなどの金属系器具は、ステリライザー(紫外線照射機器)で20分以上照射する
◆消毒後や施術中のツイザーの保管は、ガラスコップにコットンを敷いて、エタノールを浸したウェットステリライザーにセットする
◆施術で使用したタオルやガーゼは使用後、洗剤を使用して洗濯後、漂白剤に浸す
などを再度徹底し、常に清潔に保つことが求められるでしょう。
スタッフのマスク着用を義務化
マツエク施術の現場では、グルーが硬化する際に発生する有毒物質ホルムアルデヒドが常にあることから、施術中マスクを着用しているアイリストがほとんどです。しかし、表情が見える方がお客様も安心されることから、施術時のみにマスク着用を留めている人が多いのではないでしょうか。もちろん、接客やおもてなしという観点から見ると常時マスクを着用することはあまりよいとは言えません。ただ、風邪やインフルエンザなどが流行している時期においては例外です。スタッフが体調を崩して欠員してしまうと、1日のタイムスケジュールが崩れてしまい、ご予約を入れていただいていたお客様にご迷惑をおかけすることとなってしまいます。そのため、風邪やインフルエンザなどウイルスが流行している時期には、一時的にスタッフのマスク着用をサロンで義務付けることを検討してみるのも方法です。また、顔が見えないことによる不安感につながるのを避けるため、その際にはサロン内に一時的にスタッフのマスク着用を義務化している旨を記載した紙を掲載したり、お客様に施術前に口頭で軽くお伝えしておいたりするといいでしょう。
用意しておくと喜ばれるもの
風邪を引いたお客様がサロンに来店され施術を受けられることとなった場合、サロン側としてどのようなものを用意しておくとお客様に喜んでいただけるのかについても考えてみましょう。
のど飴を用意しておく
風邪を引いている人のなかには、のどのイガイガした感じや痛みを伴っている人も。それらが原因で咳を引き起こしている場合もあるでしょう。そのため、のどを潤すのど飴を用意しておくと喜ばれるかもしれません。自由にお客様が取れるようにかごに入れて待合室に置いてみたり、施術に入る前に「もしよろしければ、のど飴食べられますか?」とお声がけしてみたりするのもよいでしょう。
のどによい飲み物を用意する
サロンのなかには、お客様おもてなしのため、カウンセリング時や施術後にドリンクサービスを提供しているところもあるでしょう。そのドリンクメニューのなかに、のどによいドリンクメニューを用意しておくのも方法です。たとえば、レモネードやジンジャー系、ハーブティー、はちみつベースのドリンクなどがおすすめ。1年を通して同じメニューを提供するのではなく、定期的にドリンクメニューを変えてみることで、リピーターのお客様にとってもサロンに訪れる楽しみのひとつとなってくれるかもしれません。
毛布を用意しておく
サロン内が適切な室内温度を保てていても、体感温度には個人差があり、風邪を引かれているお客様にとっては肌寒いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのため、ひざ掛けや毛布を用意しておくのもよいでしょう。また、窓付近にある施術部屋などはサロン内の室温より低く感じる場合もあります。その場合は部屋によって、グルーの質を下げない程度の温度を保てるように足下に小さな電気ヒーターを置いてみたり、電気毛布を使用してみたりすることを検討してみてもよいかもしれません。
まとめ
風邪症状が見られるお客様にマツエクの施術をする場合、お客様に対してもさまざまなリスクが考えられるほか、菌がサロン内に蔓延してほかのお客様やスタッフが感染してしまう恐れもあります。スタッフが感染し欠員してしまうと、営業危機にも発展しかねません。そのため、体調が優れないお客様への対応の仕方や、サロン内の衛生管理について今一度見直してみることが大切です。ぜひ自身のサロンでもできる取り組みがないか、チェックしてみてくださいね。190305Emm