意外な盲点!「マツエクリムーバー」でもアレルギー反応は起こるのか?危険性を知っておこう
マツエク施術中に起こる肌トラブルといえば、グルーによるアレルギー反応を一番に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし一般的なコスメでもあってもアレルギーを起こす人がいるように、お客様のまつげや皮膚に直接触れるものであれば、何であろうと肌トラブルの原因になる可能性はあると考えられます。そこで今回は、マツエクリムーバーによるアレルギー反応に着目し、施術中に注意すべきことや対処法などを学びます。
リムーバーの刺激とは?
これまでBeautéではグルーアレルギーについて、さまざまな観点から原因や対処法、予防法など考えてきました。
しかしマツエク施術による肌トラブルの原因となるのは、グルーだけではありません。施術の際に、お客様のまつげや皮膚に直接触れるものといえば…
- リムーバー
- サージカルテープ
- コーティング剤
- 美容液
- アイシャンプー など
少なくともこれらのアイテムは、肌トラブルの原因になる可能性があると考えられます。中でもマツエクをオフするため、つまりは強力に接着しているグルーを溶かすために作られたマツエクリムーバーは、グルーに次いで刺激成分を多く含むアイテムといえるでしょう。
リムーバーの成分とは?
リムーバーの成分は商品によってはもちろん、タイプ(ジェル・クリーム・リキッド)によっても異なりますが、主成分としては以下の物質がよく用いられます。
炭酸プロピレン
γ(ガンマ)-ブチルラクトン
アセトン(ジメチルケトン)
酢酸エチル など
これらの主成分は、溶剤と呼ばれ“グルーを溶かす”目的で配合されている物質です。特に、「アセトン(ジメチルケトン)」や「酢酸エチル」などは第2種有機溶剤に指定されており、毒性が高い物質として知られています。
主成分以外を見てみると、粘りを出すための増粘剤やエタノールなどのアルコールの一種がほとんどの商品に配合されています。またクリームタイプのリムーバーの中には、「コムギ胚芽油」などの植物由来成分を配合している商品もありました。
リムーバーに含まれる成分により皮膚炎を起こす可能性も!
では、リムーバーの主成分である溶剤とその他のさまざまな添加剤に分けて、刺激性について考えてみましょう。
主成分である溶剤:刺激が強いので要注意!
リムーバーの主成分はグルーを溶かすほどのパワーがあるもの。特に有機溶剤である「アセトン(ジメチルケトン)」や「酢酸エチル」などを含むリムーバーが皮膚や粘膜に直接触れてしまうと、「刺激性接触皮膚炎」を起こし、強い痛みやかゆみなどが生じる場合があります。
また「刺激性接触皮膚炎」はすぐに症状が現れることもありますが、頻繁に使用したり、長時間使用を継続したりすることにより皮膚に刺激が生じるケースもあるようです。
さらに有機溶剤は皮膚刺激だけでなく、蒸気を多量に吸入することにより、頭痛・めまい・嘔吐などの症状を引き起こす危険性もあるなど、刺激性が高い物質です。
そのため最近では、「アセトン」や「酢酸エチル」などに代わり、“ノンアセトン”という謳い文句で、より危険性の低い「炭酸プロピレン」を主成分とするリムーバーが主流となっています。もちろん「炭酸プロピレン」も溶剤であることに違いはないので、取り扱いには十分な注意が必要です。
添加物:原因物質の特定が難しいので要注意!
前述のとおり、リムーバーには主成分以外にも多数の成分が配合されています。
- リムーバーの粘り・とろみを調節するための増粘剤
- 香りを付けるための合成香料
- 色を付けるための着色料
- 溶剤として配合されるエタノールなどのアルコール類
- 保湿成分として配合されるスクワランやコムギ胚芽油(ウィートジャームオイル)など
基本的には、人体にとって強い刺激となるものはありません。ただし人によっては、「アレルギー性接触皮膚炎」いわゆる“かぶれ”を引き起こす場合があります。「アレルギー性接触皮膚炎」の発生機序は、皮膚に触れた物質に対して体内の免疫が過剰に反応すること。
身近なアイテムのものの中では、保湿剤などの化粧品や皮膚用クリーム剤に含まれる医薬品、香料が含まれる洗顔用品や石鹸などが特に発症のリスクが高いといわれていますが、ありとあらゆる物質が原因となりうることが「アレルギー性接触皮膚炎」の怖さといえるでしょう。
また一部、「コムギ胚芽油」を配合するクリームタイプのリムーバーに関しては、小麦アレルギーの人に対して使用すると、アレルギー反応を発症する可能性があるので十分な注意が必要です。
リムーバーの使用で注意すべきこととは?
グルーだけでなく、リムーバーも「刺激性接触皮膚炎」や「アレルギー性接触皮膚炎」など原因になる可能性があることを常に念頭に置いておくことが大切です!では、リムーバーによる肌トラブルのリスクを最小限に抑えるための注意点を6つご紹介しましょう。
1.カウンセリングシートでチェックする
施術前のカウンセリングシートで、スクリーニングを行い、しっかりとリスク管理をしましょう。以下の項目は、確実にチェックすべき項目です。
- 体質
- アレルギーの有無
- 過去のマツエク施術時のトラブルなど
- 当日の体調 など
特に敏感な体質の方やアレルギーをお持ちの方、過去の施術時に何らかのトラブルがあった方などのオフ(リペア含む)には細心の注意を払いましょう。
2.絶対に肌に触れないように!
オフする際、絶対にリムーバーを皮膚に接触させてはいけません!絶対にミスは許されないので、以下のポイントを正しく守って、安全な施術を心掛けましょう。
オフ中に目が開く場合は、テープの貼り方を見直す
全オフの場合は、閉じた目のカーブにしっかり添うようセットする(コットンを2枚使用するのがベター)
3.最適なリムーバーを選ぶ
液だれを防ぐために、粘度の高いジェルリムーバーやクリームタイプのリムーバーを選ぶのがおすすめです。クリームタイプを選ぶ際には、念のため「コムギ胚芽油」がされていないものを選ぶのがよいでしょう。
また敏感タイプのお客様には、安全性の高い材料を使って作られた化粧品登録済みの商品を用いるとなお安心です。
4.リムーバーのふき取り残しがないように!
リムーバーが残ると、お客様の自まつげに大きな負担をかけるだけでなく、その後のエクステの装着力を弱めてしまう可能性もあります。そのためコットンや綿棒、マイクロスティックなどを駆使し、リムーバーのふき取り残しがないよう丁寧な処置を行ってください。
5.次回施術のために根元から離して装着する
施術前のカウンセリングでお客様から敏感なタイプだと申告があった場合は、次回ご来店時にリムーバーを使用することを見越して、根元からの距離を普段より多めに取って装着するのもおすすめです。目元から離す長さが通常装着時よりプラス0.5~1㎜ほどであれば、違和感なく仕上がるでしょう。
6.パッチテストを実施する
画像元:松風
「前回、全オフの後に、目の回りが多少の違和感があった」「ほんの少し、赤みとかゆみが出たような気がする」など、明らかに皮膚炎が起きたとは判断できないものの、普段とは異なる何らかのサインがあり、リムーバーの使用を心配されるお客様がいらっしゃる場合には、パッチテストを実施するのもひとつのアイデアです。
その際には、皮膚の一次刺激によるかぶれの反応をテストするための「まつげエクステ専用パッチテストユニット」などを活用するとよいでしょう。
画像元:松風
炎症が出た場合の対処法とは?
施術にお客様の目元に炎症が起こったら、すぐに施術を中止し、専門の医療機関への速やかな受診をお願いしましょう。また前述のとおり、皮膚炎は施術後に発症する場合もあります。そのため、後日お客様から肌トラブルのご報告を受けた場合にも、必ず症状が出ているうちに医療機関で受診するようをお願いすることが大切です。またアイリストは医療のプロではないので、「これは、〇〇皮膚炎だと思います。」などと、判断することは絶対に避けてくださいね。
刺激性接触皮膚炎…かゆみよりも痛みが強く出る傾向がある
アレルギー性接触皮膚炎…通常、重度のかゆみが生じる
原因やダイプが何であれ、接触性皮膚炎ではかゆみと発疹が生じる!
まとめ
今回はグルーだけでなく、リムーバーもアレルギー性皮膚炎などの原因となる可能性が十分にあること、そしてリムーバーによるトラブルを起こさないためのポイントなどを学びました。どんなに安全性に優れた商品であっても、すべてのお客様に対し、安全が確保されているものは存在しないということを念頭に置き、安全かつ丁寧な施術に努めましょう。190623Euk