マツエクのお客様が、施術中や終了後に「軽いめまい」を感じる…頭痛?原因・ 対処法とは
マツエク経験のあるお客様で、ちらほら耳にするのが施術後や施術中に、頭痛やめまいのような症状に見舞われたというもの。
頭痛やめまいが起こる原因には、女性ホルモンの影響や気圧の変化などさまざまなことが考えられますが、マツエクの施術によってもたらされているケースもあります。アイリストとしては、すべてのお客様に、気持ちよく帰っていただきたいものですよね。では、そのためにサロン側ではどのような対策を取ることができるでしょうか。
今回はマツエク施術のなかでも、頭痛やめまいを引き起こす具体的な原因と対策について詳しく検証していきましょう。
頭痛やめまいが起こる方がいる?
Beautéでは、これまでにマツエクにおけるトラブルやリスクについて多く取り上げてきました。マツエクのトラブルとしては、施術中にグルーが目に入ってしまったことによる目の充血や痛み、ツイザーで目元に触れて傷つけてしまったことによる視力低下などがよく耳にする事例ですね。しかし、なかにはあまりアイリストの間でも浸透していないようなマツエクトラブルやリスクもいくつかあります。
そのうちのひとつが、施術によって引き起こされるめまいや頭痛です。
めまいや頭痛などは、気圧変化やホルモンの影響でも見られる身近な症状であることからマツエクの施術が原因かもしれないと結びつけて考えるアイリストはそれほど多くないでしょう。しかし、ネットや口コミには、「サロンから帰ってきたらめまいのような症状が…」、「施術中に頭が痛くなった」などの書き込みもいくつか見られます。アイリストとしては、
施術そのものだけでなく、サロンで過ごされる時間も含めて、「来てよかった!」と満足していただきたいものですが、施術を境にそのような症状が始まったのであれば、マツエクの施術が原因である可能性も疑わざるを得ないでしょう。では、施術のなかでも具体的にどのようなものが、めまいや頭痛を引き起こす可能性があるのでしょうか。
原因①:グルーによるもの
一つ目の原因として、まず考えられるのがエクステ接着時に用いるグルーの揮発成分によるものです。
グルーの主成分と言えば、シアノアクリレート。このシアノアクリレートは、空気中の水分に反応して硬化を始めますが、その際に有害物質であるホルムデアルデヒドという揮発成分を発生させます。これを施術中に吸い込むことで、アレルギー症状を引き起こす可能性があるのです。アレルギー症状の現れ方は人によってさまざまで、軽い症状の場合では、刺激臭を感じたり、のどや目に染みたりする程度で済みますが、なかにはめまいや頭痛を感じる人もいるようです。
とはいえ、エクステを接着する際に用いるグルーの量は、それほど多くはありません。そのため、グルーが直接的な原因で頭痛やめまいを引き起こすケースはごく稀と言えるでしょう。しかし、ホルムアルデヒドの性質のひとつに、「空気より重たい」という特徴があります。これはつまり、ベッドに仰向けに横たわったお客様の顔付近にホルムアルデヒドが滞留しやすいということであり、施術中に鼻や口から吸いこんでしまうことは避けられません。
頭痛やめまいを感じるケースはごく稀ではあっても、すべてのお客様に快適に施術を受けてもらいたいと思うのであれば、対策を講じることが求められるでしょう。
では、ホルムアルデヒドの影響を軽減するために、どのような対策が有効なのでしょうか。
低刺激のグルーに変える
サロン内にいくつかの種類のグルーを用意しているというところも多いでしょう。もし、過去に施術中もしくは施術後に頭痛やめまいを感じた経験があるのなら、ブチルグルーに変えてみるのも方法です。ブチルグルーは刺激の少なさが魅力で、ホルムアルデヒドの放出量が、一般的なグルーよりも少ないとされています。さらにニオイも少ないため、ニオイに敏感な人や妊娠中の人にもおすすめです。
しっかり換気を行う
サロン内の換気を徹底して行うことも大切です。各施術部屋に空機清浄機を設置するなどして、清潔な空間に保てるように努めなければいけません。
また、サロンの内装や換気の方法によっては、同じ施術部屋でも揮発成分が滞留しやすい箇所や、換気しづらい場所もあるでしょう。さきほども紹介したように、ホルムアルデヒドは空気より重たい性質があることから、床下に溜まることが考えられますが、アイリストやお客様が動くことによって、空気中に舞い上がってくることもあるかもしれません。
そんなときは空気清浄機の置く位置を調節してみたり、足元に置く用の小さい扇風機を設置したりして、空気を動かすように配慮してみましょう。
吸着剤を施術室に置く
有害物質を除去してくれる吸着剤を施術室に置いておくのも有効です。施術室に置いておくだけでホルムアルデヒド等の有害物質を吸着してくれることから、手軽に対策できるのが魅力。商品にもよりますが、だいたい1,000~2,000円ほどが相場で、1~2カ月程度使用できることから、コスパ面においても良好です。
ブロアーをこまめに使う
エクステに風を送る「ブロアー」を、こまめに使うことも対策となります。ブロアーはグルーの硬化を促進させる目的で用いられていることがほとんどですが、それ以外にもホルムアルデヒドを風で飛ばすという面でも役立ってくれるアイテムです。お客様の顔付近にホルムアルデヒドが滞留してしまわないように、施術中はこまめにブロアーを使用するように心がけましょう。
原因②:美容院脳卒中症候群によるもの
みなさんは、「美容院脳卒中症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。美容院脳卒中症候群とは、理美容業界で働く人に知られた疾病のことであり、特にヘアサロンなどで起こりやすいと言われています。
主な症状は、吐き気やめまい、頭痛や冷や汗といったものですが、稀なケースであるもののなかには失神を起こした例や死亡例も報告されているようです。原因としては、シャンプー台に横たわった際に、首を固定・圧迫されることによって血流が滞ってしまうことが関係していると考えられています。
マツエクサロンで使用している施術用ベッドは、ヘアサロンのシャンプー台とは形状も異なっていますが、マツエクも1時間にわたって固定された状態が続きます。体調がよくない場合であれば、首への負担が大きくなり同じような症状が見られることもあるかもしれません。
では、お客様への負担を減らすために、どのようなことができるでしょうか。
お声がけをする
まずは、施術用ベッドに横たわってもらった際に、「首や腰など、体勢はおつらくありませんか?」とお声がけするようにし、なるべくリラックスできる体勢を取ってもらうようにしましょう。
また、お客様のなかには、施術しはじめは大丈夫でも、施術途中でだんだん首や腰などがつらく感じてしまう方もいます。しかし、「施術の途中だし…」や、「頭が動かしてしまったら施術者に迷惑かもしれない」と考え、我慢してしまう人も少なくありません。施術途中で再度「体勢はおつらくありませんか?」、「もしつらくなりましたら、遠慮なくお申しつけ下さいね」とお客様にこまめにお声がけするように心がけましょう。
施術の合間に休憩を挟む
マツエクの施術時間は約1時間。また、近頃ではまつげパーマとマツエクを併用するメニューを提供しているサロンも増えてきていて、その場合では施術時間が2時間近くにわたることも。マツエクサロンの施術用ベッドは首を直接圧迫する形状ではありませんが、ずっと同じところに圧がかかってしまうため、施術時間が長くなるほど体への負担は大きなものとなってしまいます。
お客様がつらそうにされている場合には、片方の目の施術を終えたタイミングで一旦体勢を起こしてもらったり、水を飲んでもらったりして、一度リラックスしてから再度施術に移るようにするのもよいかもしれません。
クッションで体勢を調節する
サロン内にいくつかクッションを準備しておくと、お客様の体勢サポートに役立ちます。たとえば、頭や腰の下にクッションを置いたり、クッションを足元に置いて首への負担がかからないようにフラットな体勢に近づけたりなど、さまざまな使い方が可能です。お客様の様子を伺いながら、クッションで体勢をサポートしてあげましょう。
原因③アイリストの動作によるもの
施術中は手元が不安定になることから、お客様の額に手を添えて作業を行うアイリストがほとんど。この際、「置く」のではなく、お客様の負担とならないように「添える」程度が本来好ましいですが、なかには力が入ってしまい、額に圧を与えてしまっているアイリストもいます。そうすると、後頭部へと負担がかかってしまい、頭痛を引き起こしてしまうケースもあるかもしれません。
しかし、だからと言って、額に触れないように施術しようとなると、手元がぐらついてしまい、お客様の目元にツイザーが当たってしまう危険性も出てきてしまいます。ここで大切となるのは次の通り。
手の置く位置を見直してみる
過去にBeautéでは、手の置く位置について取り上げた記事を紹介しています。こちらを参考にしながら、今一度手の置く位置について見なおしてみるとよいでしょう。
タオルを使用する
額にかかる圧を少しでも軽減するため、タオルやガーゼなどを重ねて手の下に重ねてみるとよいでしょう。また、サロンのなかには、施術ベッドに高反発な枕を置いて対策しているところもあるようです。施術時の手の圧が気になる場合は、圧を軽減できるグッズの使用を検討してみるのも方法です。
まとめ
お客様のなかには、マツエクの施術を楽しみにして来店される方も多いです。それなのに、頭痛やめまいなどの症状が原因で、つらい施術時間となってしまうのは悲しいですよね。安心安全な技術と、快適なサービスをお届けし、すべてのお客様にマツエクを楽しんでいただくためには、原因となる要素を把握し、対策を講じることが大切。アイリストという立場として、マツエクで起こり得るリスクについてはしっかり知識として頭に入れておきましょう。190631Emm