その差ってなに?「マツエク美容液も活用しているのに状態が改善しないお客様」へのケア方法のご提案を学ぼう
美意識が高くまつげケアも十分にされているのに元気なまつげが少ないお客様に、アイリストをしていると出会うことがあります。そのような場合には装着できるエクステが少なくなってしまい、お客様が納得されるデザインを作れないことも。健康なまつげが生えてこない原因を知り、健康なまつげを生やす方法を知ることで、マツエクを装着しやすい自まつげを育むことは可能です。「まつげが生えてこない」というお客様の悩みに的確にアドバイスできるように、しっかりと勉強していきましょう。
毛が生えなくなる原因
太く長い健康なまつげが少ないと、装着できるエクステの本数や太さも限られてしまいます。まつげケアや生活習慣に改善の余地がある場合には、しっかりとアイリストとしてアドバイスをすることが大切。しかし美容液を活用してケアをしているにもかかわらず、まつげの状態が改善しないお客様もいます。まつげの状態が改善しない、つまり健康な毛が生えてこない原因を知ることで、的確なアドバイスをすることができるのではないでしょうか。
まつげの構造
スクールで習う基礎的なことになりますが、ここで一度まつげの構造についておさらいしてみましょう。
健康なまつげを作るためには、目に見えている毛幹部のまつげよりも、皮膚の下に隠れている毛根部が重要です。
毛幹部のなかの構造については、こちらの記事で確認してくださいね。
出典:松風
毛根部のなかでも、毛球は複雑な構造になっています。代表的な部分の役割を確認してみましょう。
- 毛細血管:全身に網目のように張り巡っている細い血管。全身に酸素とともに栄養を運んでいる。
- 毛乳頭:組織内に毛細血管が通っており、まつげの生成に必要な栄養を取り込んでいる。毛母細胞の分裂増殖を促す。
- 毛母:毛乳頭から栄養を受け取り、細胞分裂を繰り返し、コルテックス・キューティクルなどを形成する組織を作る。はじめは水分を含んでいるが、どんどん上へと押しだされる過程で水分がなくなり、硬いタンパク質「ケラチン」となる。
毛細血管→毛乳頭→毛母細胞という順に栄養が届けられ、まつげの「もと」が作られています。つまりこの機能が正常に働いている限りは、まつげは生えてくるのです。
まつげが生えなくなるのはなぜ?
以前、Beautéの記事でもポッカリとまつげが抜け落ちる原因について取り上げました。
こちらの記事内で説明したように、ぽっかり抜ける要因のベスト3は、
② 癖で抜いてしまっている、擦っている
③ ビューラーによる影響
ただ今回取り上げているように、美容液を使ったケアまで行う美意識の高いお客様の場合には、上記のようなことにも気をつけているかもしれません。これらのことに気をつけていても1部分だけまつげがぽっかりと抜けていたり、まつげに元気がなかったりするのなら、毛母細胞が死滅している、または機能が低下していることが原因として考えられます。
毛母細胞が死滅するのは、大怪我や火傷などの大きなダメージがあった場合。心当たりのないお客様であれば、毛母細胞の機能が低下している可能性が高いでしょう。
毛母細胞を活性化するためには
機能が低下した毛母細胞を活性化するためには、十分な栄養を届けてあげることが大切です。いくら肌表面から高機能の美容液を与えてあげても、水分や栄養不足では美肌へ近づくことはできません。
- 十分な栄養を摂取する
- 栄養の通る道を整える
この2つをおさえて、栄養状態を良くするためには「食事・睡眠・運動」がキーとなります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
食事
毛母細胞を活性化させる、つまり成長を促してあげるためには、十分な栄養を体内に取り込むことが大切。栄養が十分にあれば、ハリのある強いまつげへと導くことができます。効率良く自まつげに栄養を届けるためには、毛の成長に欠かせない栄養を重点的に摂取すると良いでしょう。
タンパク質:毛を作る原料となる (生ハム・鶏ささみ・いわし・納豆など)
亜鉛:タンパク質の合成に必要(牡蠣・レバーなど)
ビタミンB:代謝を活性化する(B2:レバー・うなぎ・牛乳など、B6:かつお・まぐろ・バナナなど)
ビタミンE:血流を良くする(アーモンド・モロヘイヤ・赤ピーマンなど)
睡眠
睡眠と成長ホルモンの分泌は大きく関係しています。成長ホルモンをたくさん作りだすためにも、質の高い睡眠が欠かせません。
出典:髪のせんせい
図から分かるように、成長ホルモンが最も分泌されるのは、“ノンレム睡眠”のとき。入眠初期の深い眠りの状態のときに、成長ホルモンが分泌されるのです、しかしどのような睡眠であっても、ノンレム睡眠が得られるわけではありません。質の悪い睡眠の場合には、ノンレム睡眠が得られず、レム睡眠が続くことがあるそう。
- ぬるめのお湯に浸かる
- 就寝前には暖かい飲み物を飲む
- 就寝30分前にはスマホを見ない
- ヒーリング音楽をかける
心身ともにリラックスし体温を下げないことが、質の良い睡眠には大切です。
運動
十分な栄養を摂取し、成長ホルモンを分泌できる環境を作ったら、その栄養と成長ホルモンを毛母細胞に届けてあげなくてはなりません。そのためには、血流を良くすることが大切。入浴や暖かい飲み物でも血行を高めることができますが、さらに運動をプラスすると良いでしょう。
また、ストレスが溜まっていても、血流は悪くなってしまいます。何かしらストレスを抱えているお客様なら、さりげなく相談に乗ることでストレス解消の手助けができるかもしれませんね。もちろん、運動や入浴もストレス解消におすすめです。積極的に取り入れるように、お客様に提案してみましょう。
マツエクの選定やケアについて
まつげの状態をさらに悪くしないためには、装着するエクステや自まつげの選定が大切です。さらに状態に合わせたケア方法を提案できると良いかもしれません。
マツエクや自まつげの選定
まつげの1部分に隙間が見られる、元気なまつげが少ないといったお客様には、どのようにマツエクを選定すれば良いのでしょうか。濃さを出すためには太いエクステを選びたいところですが、自まつげへの負担が高くなってしまいます。そこでbeautéがおすすするのは、太さをミックスさせてエクステを装着させること。太いエクステをバランス良く配置するすると良いでしょう。
また装着する自まつげの選定も大切です。
こちらの記事でも紹介しましたが、産毛は避けることが大切です。
写真のように短い毛は、これから成長する成長初期の段階。エクステの装着は成長の妨げとなるため、短く細いまつげには装着しないようにしましょう。装着するべきまつげは、成長期の終わりから退行期の初めの「長く太いまつげ」。まだ短いまつげに装着してしまうと、2週間後にはまつげの長さにばらつきが生まれてしまいます。成長期の終わりから退行期の初めのまつげであれば、さらに長くなることはないため、リペアまで美しい状態を保ちやすくなるのです。
リペアの際のオフすべきエクステの選定や装着については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
ケアの提案
毛母細胞の機能が低下している場合には、それに合わせたケアが必要となります。自宅で取り入れられるものや、サロンで導入できるケア商品が販売されているので、いくつかご紹介しましょう。
EYELASH LABO
まつげにハリ・コシ・ツヤを与えるため、3段階でケアを行うサロン用のアイテムです。自まつげが少ない人には3ステップすべてのケアがおすすめ。さらに自まつげを元気にしたいなら1st+3rd、マツエクのモチを良くしたいなら3rdと、ケア内容をお客様の目元の状態に合わせて選ぶことができます。
アイラッシュ・エイジレストリートメント
皮膚科医監修の毛根環境を整え、エイジングケアができるサロン用美容液です。植物由来のアカツメクサ花エキスとグロスファクター因子のアセチルテトラペプチド-3・オリゴペプチド-24を配合したハイブリットタイプ。目元の皮膚の乾燥やたるみが気になるお客様におすすめしたいサロンケアです。
ラッシュアディクト
出典:Amazon
サロンケアとホームケアの2パターンがあるケアがラッシュアディクトの特徴。サロンではノンニードル手法で、より高いまつ育効果が期待できます。詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
エターナルアイラッシュ
数々のメディアでも取り上げられている注目のまつげ美容液「エターナルアイラッシュ」。まつ育にとって不可欠な栄養成分とされる「ヒト幹細胞培養液」を配合しています。さらに、有効成分を小さくしたナノキューブ採用で、角質層の奥までしっかりと浸透するのが特徴。自まつげが弱ってしまった方、元々自まつげの本数が少なめの方におすすめの美容液です。
フェース グロウアイラッシュ セラム
出典:Amazon
ドラッグストアでも購入可能なまつげ美容液。キャピキシルとリデンシルの2つの有効成分の働きがまつげを育んでくれます。チップは柔らかく、アイリスト以外でも塗りやすい仕様です。
まとめ
まつげの状態が悪いまま施術しても、マツエクのモチは良くなく、お客様の満足度は高くなりません。失礼にならないように、お客様にまつげの状態をしっかりとお伝えするようにしましょう。そして次回以降、好きなマツエクデザインを楽しめるよう、まつげケアや生活習慣のアドバイスができると良いですね。 190624Eoa