新人とベテランでは大きく違う!技術レベル別、最適な「グルーの硬化速度」とは?
マツエク施術の必需品、グルーにはさまざまなタイプがあります。特に、硬化するまでのスピードは多種多様。硬化の速さを売りにしている商品から、ゆっくり固まる初心者向けグルーまでバリエーション豊富です。実は、新人アイリストとベテランアイリストでは選ぶグルーが全く異なります。その理由は何でしょうか?詳しく解説を行います。
硬化が速いグルー、遅いグルーの違い
まずは、グルー間の硬化速度差について、知識を深めていきましょう。
一般的に、硬化が速いグルーとは、1~2秒で硬化するタイプのこと。一方、硬化が遅いグルーは、5~6秒かけて固まっていきます。
硬化速度の差は、グルーの成分にあるようです。一般的にマツエクのグルーは、シアノアクリレートを「主成分」とし、着色剤や増粘剤、安定剤などの「副成分」を配合して作られています。まずはここで、副成分について勉強しておきましょう。多くの商品に含まれる、主な副成分を4つご紹介します。
名称 |
主流な副成分 |
目的 |
着色剤 |
カーボンブラック |
アイライン効果で、強い目力を演出できる |
増粘剤 |
アクリル樹脂 |
グルーに粘り気を出し、扱いやすくする |
安定剤 |
ヒドロキノンやヒドロキシアニソールなど |
グルーの酸化防止の役割を果たし、使用期間を調整する |
その他 |
湿気硬化型ウレタン |
もろく、熱に弱い性質があるシアノアクリレートをサポートする |
※商品によって配合される副成分はさまざまあり、今回紹介した副成分が含まれないケースもあります。
グルーを扱いやすくしたり、仕上がりのきれいさをサポートするために副成分は配合されています。しかし、副成分を配合することで、主成分であるシアノアクリレートの純度は低下。結果、接着力が弱まってしまうのです。つまり、硬化速度の速いグルーは、副成分が少なめ。着色料が入っていないノンカーボンタイプや増粘剤を極力減らしたサラサラとしたグルーが、硬化速度の速いグルーとされています。
▼グルーの成分についてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事もおススメです!
メリット・デメリット
硬化速度の速いグルーと遅いグルー、どちらにもメリットがあり、そしてデメリットもあります。簡単に整理していきましょう。
<硬化速度の速いグルー>
【メリット】
・施術時間が短縮できる
【デメリット】
・グルーの扱いが難しい
・すぐに硬化するため調整ができない
硬化速度の高いグルーは増粘剤の量が少ないため、サラサラとしたテクスチャー。多めに自まつげに乗せてしまうと、流れ落ちてしまうほどです。誤って目の中に入れないよう注意しておきましょう。また、すぐに硬化を始めてしまうため、自まつげに装着しながら調整することが難しい特徴があります。多くの商材メーカーで、硬化速度の速いグルーは“上級者向け”と表現されていますよね。ベテランアイリストの場合は、角度も装着位置も瞬時に判断できるかもしれませんが、新人アイリストにとっては至難の業。
たとえば少し装着位置がズレてしまった場合、調整しようとツイーザーを当てたとしても、すでにグルーが固まった状態であることも珍しくありません。技術が伴っていないまま使用してしまうと、思わぬ角度でマツエクを装着するというトラブルにつながるのです。
しかし、施術時間が短縮できることは大きなメリット。同じ本数の施術でも、グルー次第で施術時間は大きく変わってきます。1人のお客様にかかる時間が短縮できれば、今よりも多くの施術が可能となるでしょう。また、お客様にとっても施術時間の短さは大きな魅力。どれだけマツエクが好きなお客様でも、長時間目を触られていると、少なからずストレスを感じているものです。少しでも短い時間で施術が終われば、快適さが増すでしょう。
しかし、早い施術だったからといって仕上がりに満足してもらえなければ意味がありません。硬化速度に見合った技術を身につけてから使用したいですね。
<硬化速度の遅いグルー>
【メリット】
・エクステの角度などを丁寧に調整できる
・粘り気があるため、扱いやすい
【デメリット】
・モチが悪い場合がある
・施術に時間がかかる
・上級者はかえって施術が滞る
グルーの硬化速度とモチの良さは影響があると言われています。なぜなら、硬化速度を上げるために副成分の量を少なくすると、シアノアクリレートの純度を高めることとなり、結果として接着力が高まるから。
硬化速度の遅いグルーの場合、増粘剤や着色剤が多く配合されているケースが多く、シアノアクリレートの純度が高いとは言えません。つまり、どうしてもモチが悪くなってしまうのです。また、硬化するまで時間がかかるため、トータルの施術時間も長引いてしまうでしょう。施術スピードの早い上級者であればなおさら、その硬化時間が長く感じるはず。施術の流れにグルーが追い付いていないためです。スムーズな施術を行うためにも、自分の施術スピードに合ったグルーを選びたいですね。
一方で、固まるまでの時間が長いため、初心者でも扱いやすいメリットもあります。慌てず丁寧に施術を進められるのではないでしょうか。また、粘り気があるため、グルーの量を調整しやすく、誤って目に流れ込む心配も少ないでしょう。
新人アイリストにとっては、安全かつ丁寧な施術を行えるコチラのグルーの方が安心かもしれません。
グルーの硬化速度に追いつけなかったら?対処方法とは
マツエクのグルーで難しいところは、室温・湿度、保管状況によって、硬化速度に差が生まれる点。同じグルーでも、必ずしも同じスピードで固まってくれるわけではありません。施術の度にグルーの癖を見極め、臨機応変に対応する力が求められるでしょう。
では、万が一グルーが固まったらどう対処したら良いのでしょうか?
残念ながら、一度グルーが固まったらオフするしか方法がありません。その分、お客様の時間をいただくことになり、オフした部分の自まつげにもムダな負担をかけることとなるため、できる限り避けたい事態です。まずは、自分の施術スピードにグルーの硬化速度が合っているか確認。その後、適切な環境下でグルーを保管し、施術時には室内の温度や湿度をある程度一定に保っておきます。加湿器や除湿器を上手く活用すると良いでしょう。
可能な限り同じ条件での施術を目指し、環境の変化による硬化速度の差を少なくするよう心がけることが、トラブル防止の近道です。
まとめ
グルーによる硬化速度の違いと、それぞれのメリットやデメリットを勉強してきました。同じ「超速乾」タイプや「上級者向け」のグルーでも、メーカーや商品によって体感スピードや装着感はさまざま。相性の良いグルーと出会えるまで、多くのグルーを試してみることが大切です。グルー次第で施術時間も仕上がりのキレイさも変わるとなると、グルー選びにも気合が入るのではないでしょうか。マツエクブームに伴い、世の中には数え切れないほどのグルーが流通しています。その中に、きっとあなたにピッタリのグルーもあるはず。自分の施術スピードをきちんと見極めて、相性の良いグルーを探してみましょう。