グループレートに出したグルーの劣化を防ぐ方法とは
施術中、グループレートに出したグルーを何度も出し直してしまう…、という経験のあるかたは要チェック!プレートに出したグルーが劣化してしまうのは、グルーの成分上ある程度は仕方のないことです。とはいえ、扱い方によって劣化のスピードに差が生じるのも事実。お客様の大切な目元をお守りするためにも、劣化していないグルーを使うのは大前提となります。今回は、グルーの使い方を再度見直すきっかけにもなるテーマです。グルーが劣化する原因を知って、トラブルが起きないようにグルートラブルの対策を練りましょう!
グルー硬化の仕組みについて
グルーの劣化を防ぐためには、まずグルー硬化の仕組みをおさらいしておく必要があります。
マツエクと自まつげをくっつけるために使用するグルーは、接着剤と同じ性質を持つものです。グルーの主成分は、シアノアクリレートという物質。ここまではみなさんご存知でしょう。
そこで、今回は少しマニアックな解説をしたいと思います。
このシアノアクリレートは、通常モノマー(重合を行う際の気質・1つの分子=単量体)状態で存在しています。モノマー状態のシアノアクリレートに、空気中などのわずかな水分が付着することで、ポリマー(モノマーが多数結合した高分子)状態に変化。
モノマーからポリマーに変化することで、接着できるようになっているのがグルー硬化の仕組みです。モノマーが水分を含んでから、ポリマー状態となって接着するまでは一瞬。そのためグルーを取り扱う際は、周囲の水分に注意を払わなければいけません。グルーを出して1~2秒で初期硬化が始まり、5時間ほどで中期硬化へ。中期硬化の段階では、表面だけが硬化したような状態です。グルーが内部まで完全に乾ききった状態である「完全硬化」までは、約24時間かかると言われています。
施術する部屋の温度や湿度が一定でないと、グルーの硬化スピードにもバラつきが生じることに。室温は20~25℃、湿度は50~70%を心がけ、仕上がり時の硬化が一定になるようにしましょう。
白化現象
グルーが完全硬化を迎えるまでに、全体が白っぽくなるケースもあります。グルーが硬化する時に発生する揮発成分が、空気中などの水分に反応。その影響で、グルーが白い粉のように変化して、接着部分に付着してしまうことがあります。白化現象は、水分が多くなりすぎると起こりやすくなるので、梅雨時期などは注意が必要。自まつげの水分をきちんと取り覗いておけば、白化現象を防ぐことは可能です。
グルーの硬化を妨げないためには、接術直前に入浴いただき素顔のまま来店いただくのがベスト。しかしなかなか難しいケースもあるので、自まつげのクレンジングや涙の付着をしっかりと取り除いてから施術にとりかかりましょう。
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グルーの正しい取りかた
グルーが劣化してしまうのはある程度しかたないとはいえ、劣化したものをマツエクにつけるのは、絶対に避けなければいけません。施術中に劣化していないグルーを使うには、どのようなことを注意すればいいのでしょうか。
キレイなドームをつくるグルーの落とし方
グループレートにグルーを出す際は、“真上から落とす” が鉄則。真上からポタっと落とすことで、プレート中央にドーム型のグルーが置かれたような状態になります。きれいなドーム型を作ることで、落としたグルーに高さが出て、劣化していない部分のグルーが取りやすくなります。
グルードームのくぐらせ方
グルーは、周りから固まっていくという習性を持っています。ドーム型になっている下の部分からグルーを取ると、劣化したグルーを使ってしまう要因にも。グルーを取るときは、ドーム型の一番真ん中・高い部分から取るようにすると、常にきれいなグルーを使うことができます。
エクステの角度にも注意
グルーに対してマツエクをどんな角度で入れるかも、きれいなグルーを取るポイントとして重要です。エクステを横に寝かせて、グルーをすくうように取っている方は注意が必要。ドーム型の一番高いところに置いたとしても、寝かせてしまったことで劣化した部分に触れてしまう可能性があります。マツエクをドーム型の一番高いところへ“垂直に” おき、その角度のまままっすぐ引き上げるようにしましょう。グルーから引き上げたあとは、すばやく装着してください。
グルーの出しすぎはNG
グルーは、施術している間にも劣化が進むもの。性質上しかのないことではありますが、できる限り劣化させないよう努力する必要があります。グループレートにドバっとグルーを出すと、使いきれない部分は劣化して捨てるだけになってしまうケースも。反対に少なすぎる場合には、すぐに固まって劣化してしまう場合もあります。施術するマツエクの量にあったグルーを出して、できるだけ劣化する部分が少なく済ませられるように、気をつけましょう。
グルーはいつ交換するのか?
劣化してしまったグルーを使用すると、装着しにくかったり、モチが悪くなったりとマツエクに悪影響を及ぼしてしまいます。新鮮な状態のグルーを使い続けるためには、交換の目安を知っておくことも重要です。
基本的な交換サイクルは15~30分
お客様の施術に合わせて、グルーを出すケースが多いかと思います。使っているグルーの種類にもよりますが、一度プレートに出したグルーは「15~30分」が使用期限と考えられています。グルーを追加で出す場合には、すでに出してしまったグルーを避けて、別のエリアに新しくグルーを出すようにしましょう。
グルーの粘度に注意
適切な交換時間を守っていても、グルーの状態に変化が見られる場合には交換をおすすめします。一番見分けやすいのは、グルーの粘度。出したての時よりも“ドロっと”“ネバっと”してきたら、交換の合図です。粘度が高くなったグルーを使うと、思っているよりもたくさんグルーがついてしまうなんてことにもつながりかねません。それだけでなく、接着が弱くなったり、硬化が始まっている部分がダマになってしまう可能性も。使っている間にトロっと感が強くなってきたら、迷わず新しいものに交換しましょう。
季節によって交換時間も変化
気温の変化に弱いグルーは、特に気温が高くなる夏場に注意が必要。10分が経過する頃には交換するなどして、劣化が進んだグルーを使用しないように注意しなければいけません。反対に、気温の低い冬には30分~45分が交換目安に。ただし、サロン内で暖房をしっかりときかせている場合などは、室温を見ながら交換時間を調節するようにしましょう。
出す量や季節、室温やつけている時間などによって左右されるのが、グルーの特徴です。劣化するのは仕方のないこと。しかし施術時の状況に合わせて、こまめに新しいグルーと交換をすることで、新鮮なグルーを使い続けることができます。劣化したグルーはマツエクのモチに影響するだけでなく、アイリストの施術にも影響を与えてしまう要因に。常に新鮮なグルーを使うためには、あらゆる視点でグルーを観察しながら、施術をしていきましょう。
まとめ
マツエクのモチや見た目に大きな影響を与える、グルー。アイリストなら誰しも、グルーの特性について一度は学ぶものです。それでも、グルーの劣化についていけないケースは多いもの。硬化の仕組みはもちろん、もう一度グルーの取り方などをおさらいすることが、グルーの劣化を最小限にするきっかけとなります。「いつもたくさん出してしまっていた」、「グルーの状態をよく見ていなかった」など思い当たるものがあれば、今一度自分のやり方を見直してみましょう。そうすることで、グルーの劣化を減らすことができるだけでなく、施術のやりやすさにもつながっていきます。ぜひ、次の施術から意識してみてください。180623Eue
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