ラッシュリフト剤の成分「システアミン塩酸塩」が医薬品扱いに!今後の影響は?
令和6年3月26日、厚生労働省より「システアミン塩酸塩を化粧品成分から医薬品成分へ変更する」という内容の通達があり、アイ業界で大きな話題となっています。なぜなら、システアミン塩酸塩はラッシュリフト剤に配合されている主要成分のひとつだから。今回の通達によって今後のサロンワークに影響が出るのでは、と注目されているようです。そこで今回は、業界を揺るがす“システアミン塩酸塩問題”について分かりやすく解説。各商材メーカーの動きや、サロンがとるべき対応についてもまとめました。
ラッシュリフト剤の主要成分「システアミン塩酸塩」って?
そもそもシステアミン塩酸塩とは、どのような成分なのでしょうか。
システアミン塩酸塩とは?
もともとヘアサロンのパーマ剤に配合されていたのは、チオグリコール酸とシステアミンという2つの成分です。このうち、システアミンはアルカリ性で還元力(パーマの効き)が高く、チオグリコール酸よりも毛髪へのダメージが少ないという点がメリット。しかし、不安定で扱いにくいという難点がありました。そこで、塩酸と中和させて安定化をはかったのが、システアミン塩酸塩です。
システアミン塩酸塩は1剤(還元剤)の配合成分
システアミン塩酸塩は、多くのラッシュリフト剤にも使用されています。そのため、アイデザイナーにとっては身近な成分といえるでしょう。
ラッシュリフト剤には1剤(還元剤)と2剤(酸化剤)がありますが、システアミン塩酸塩が含まれているのは1剤のほう。同じく還元剤の主成分として配合されるチオグリコール酸と比べると、次のような違いがあります。
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システアミン塩酸塩 |
チオグリコール酸 |
カールの仕上がり |
ナチュラルにかかる 軟らかいカール |
しっかりかかる 硬いカール |
作用する部分 |
毛の表面(キューティクル) |
毛の内部 |
まつげへのダメージ |
比較的小さい |
比較的大きい |
システアミン塩酸塩は、まつげへのダメージを抑えつつもしっかりカールをつけられるため、アイデザイナーにとっては嬉しい成分といえそうです。
【令和6年3月26日】厚労省がシステアミン塩酸塩配合化粧品についての“事務連絡”を発表
令和6年(2024年)3月26日、厚生労働省から各都道府県衛生主管部へ向けて「システアミン塩酸塩を配合した化粧品の取扱いについて」という事務連絡が発表されました。ここからはその通達の内容を要約してお伝えします。
厚生労働省「システアミン塩酸塩を配合した化粧品の取扱いについて」の内容
こちらは、通達の一部を抜粋したものです。(※2024年5月時点の一次情報です)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第42条第2項の規定に基づく化粧品基準(平成12年9月厚生省告示第331号。以下「基準」という。)の2において、化粧品は、医薬品の成分(添加剤としてのみ使用される成分を除く。)を配合してはならないとされております。今般、令和6年3月26日付けで有効成分としてシステアミン塩酸塩を配合する医薬品が法第14条第1項の規定による承認を受けたことにより、システアミン塩酸塩は基準における医薬品成分に該当することとなりました。
この通達では、「令和6年3月26日付で、システアミン塩酸塩が化粧品成分から医薬品成分へ変更された」と報告されています。つまり、いままでは化粧品カテゴリのあらゆる商品に配合されていたシステアミン塩酸塩が、今後は医薬品にしか配合できなくなるということ。商材メーカーは製造商品の成分を見直す必要が出てくるでしょう。
ラッシュリフト商材メーカーへの影響は?
日本パーマネントウェーブ液工業組合は今回の通達を受け、「基準改正までの間、システアミン塩酸塩を配合した化粧品については、併記された要件を満たしていれば、引き続き製造販売が可能」としたうえで、以下2点に留意するよう促しています。
(1)「頭髪のみに使用され、洗い流すヘアセット料以外の化粧品」への配合は不可である
(2)「頭髪」には、手足等の体毛、眉毛及びまつ毛は含まれない
ラッシュリフト剤は「頭髪のみに使用され、洗い流すヘアセット料以外の化粧品」に該当。つまり、ラッシュリフト剤の製造・販売に対しては、ヘアパーマ剤よりも厳しい規定が加えられたことになります。
告示日は6月下旬頃を予定!即日、基準日となる可能性も
今回の通達は“事務連絡”(周知)であり、今後さらに具体的な発表がある見込みです。告示日は、令和6年6月下旬を予定しているとのこと。即日、基準日になることも想定されます。
なお、今回発表された内容は「基準改正までの臨時的・特例的な対応」とされており、今後変更・廃止になる可能性もあります。正式な基準日を迎えるまでは、アイデザイナーやサロンオーナーは、厚生労働省からの発表はもちろん、商材メーカー各社の対応も追って見ていく必要がありそうです。
システアミン塩酸塩を配合したラッシュリフト剤の在庫はどうなる?アイラッシュサロンがとるべき対応とは
今回の通達を受け、アイ関連商材を扱う各メーカーはさまざまな対応を発表しています。
具体的には…
- システアミン塩酸塩配合商材の廃盤・販売終了を決定
- 該当商材のリニューアルに着手(システアミン塩酸塩除去への変更)
- 該当商材の在庫一掃セールを開催
といった対応がとられているようです。
また、現時点では、製造・販売については規制されているものの、使用についてはとくに明示されていません。現時点でサロンが抱えている在庫についても、今後の通達次第では使用できなくなる可能性もあります。
そのため、早い段階でシステアミン塩酸塩を含まない商材を検討しておいた方が賢明。各商材メーカーの動きを追いながら、最新の商材情報をこまめにチェックしておくことをおすすめします。
ラッシュリフト剤の進化にも注目!
今回の通達で注目すべき点は、システアミン系全般ではなく、システアミン塩酸塩だけが規制対象となっていること。つまり、それ以外のシステアミン系成分であれば、今後規制が入る可能性はあるものの、現時点では問題なく購入できる可能性が高いでしょう。
近年では、強酸性のチオグリコール酸と強アルカリ性のシステアミンを分子結合した、チオグリコール酸システアミンという中性の還元剤も登場しています。これは、まさにチオ系とシスアミ系のいいとこどり。低ダメージで柔らかく、しっかりカールがかかるという特徴があります。
さらに、塩酸塩による中和をせず、pHだけを調整した“純システアミン”を配合するラッシュリフト剤も登場。これは、システアミン塩酸塩からニオイやダメージの原因となる塩酸塩を除去したアルカリ性還元剤です。チオグリコール酸メインのラッシュリフト剤には還元力を高めるためにアルカリ剤が配合されていますが、その分、ダメージを増やす原因に。その点、純システアミン配合であれば還元剤自体がアルカリ性のため、アルカリ剤の追加も不要。より進化したラッシュリフト剤となっています。
システアミン塩酸塩不使用のラッシュリフト剤もチェック!
アイラッシュガレージでは、「システアミン塩酸塩不使用」の条件で商品検索が可能です。今後のためにシステアミン塩酸塩を含まない商材をチェックしておきたい、というサロンはぜひ活用してみてください。
アイラッシュガレージ「システアミン塩酸塩不使用」商材はこちら
まとめ
これまで1剤(還元剤)の主要成分として数多くのラッシュリフト剤に配合されてきたシステアミン塩酸塩。それが今後、配合が正式に認められないとなると多くの商材メーカーが打撃を受けることになりそうです。アイデザイナーとしても商材の見直しが求められるでしょう。しかし、すでにいくつものメーカーがシステアミン塩酸塩不使用となるようリニューアルや新商材の開発に乗り出している様子。今は、今後の続報を待ち、落ち着いた対応ができるように備えておきましょう。
※本記事の内容や価格はすべて2024年5月時点のものです。最新情報は、公式HP等よりご確認ください。
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