【仕事解説】サロン経営の基礎知識|オーナーになるためのはじめの一歩とは?
サロン経営を検討するなかで、何から始めれば良いのかお悩みの方も多いでしょう。そこで今回は、開業前の準備から長期的に続ける方法まで、サロン経営を始めるうえで知っておくべき基礎知識を徹底解説します。サロンの種類や経営拡大のコツもまとめました。サロン経営のポイントを把握して、オーナーとしての一歩を踏み出しませんか?
サロン経営の種類と特徴
まずは、サロン経営にはどのような種類があるのか、それぞれの特徴と併せて見ていきましょう。
美容室・ヘアサロン
美容室やヘアサロンは、ヘアカットや洗髪、ヘアカラー、パーマなど、髪にまつわる施術を提供します。その他、トリートメントやヘッドスパ、縮毛矯正など、施術内容は多岐にわたります。サロンによっては、結婚式などイベント向けのヘアセットを行う店舗もあるでしょう。
美容室やヘアサロンを開業するだけでなく自身が美容師として施術を行う場合は、美容師免許が必要です。さらに、スタイリストを雇う場合は管理美容師の資格も必要になります。ただし、自身が施術を行わず経営のみに携わる場合、美容師免許の有無は問われません。
ネイルサロン
ネイルサロンは、爪のケアやネイルアートを目的としたサロンです。爪を整えるだけでなく、指先のケア全般を行います。ネイルサロン経営に国家資格は不要で、一人での開業も可能です。ネイリストとして十分な技術が身に付くまでには数年かかることもあります。また、スキルだけでなくセンスも問われる業種といえるでしょう。
アイラッシュサロン
アイラッシュサロンで行われる施術は、マツエクやラッシュリフトなど、まつげにまつわる美容メニュー全般です。施術には手先の器用さや集中力、スピードが求められます。また、マツエクやラッシュリフトの施術には、美容師免許が必要です。
エステサロン
エステサロンは、目的により、さらに種類が細分化されている点が特徴です。例えば、小顔や美顔を目指すメニューを中心としたフェイシャルサロンや、ダイエットを目的とした痩身サロンなどがあります。施術内容も、マシンを用いたりオールハンドだったりと、店舗によって異なります。
資格や免許なしで個人でも開業可能ですが、施術スキルの他、肌や化粧品に関する知識や体力も求められるでしょう。
サロン経営を始める前の準備
次に、サロン経営を始める前に知っておくべきポイントを紹介します。
サロン経営に必要な資格と法的手続き
サロンの種類によって必要な資格は異なります。例えば、ヘアサロンやアイラッシュサロンで経営に加え施術を行うなら、国家資格である美容師免許が必要です。また、無資格で施術できるサロンであっても、認定資格を取得すれば、高い技術力をお客様へアピールできます。
個人事業主として開業したら、1ヶ月以内に「個人事業の開業届出」を税務署に提出しましょう。さらに、国家資格を要するヘアサロンやアイラッシュサロンでは、安全性と衛生環境が求められることから、開業1~2週間前までに保健所への「美容所開設届書」申請を要します。
事業計画の立て方
事業計画書は、金融機関や公的機関から融資や助成を受ける際に必要になるだけでなく、経営の基盤になるため重要です。まずは、誰に何を提供するかコンセプトを決めましょう。サロンの存在意義やお客様への姿勢といった軸が定まります。他店と差別化できる内容を追求すると良いでしょう。
続いて、サロンを開業するための資金と経営後の利益を踏まえて、資金・収支計画を立てます。提供するサービスと料金設定を考え、必要な設備を検討しましょう。
サロン経営の初期投資と資金調達の方法
サロン経営の初期投資には、施術に使用する設備や機器の他、ソファや椅子などの備品、ケアアイテムなどの消耗品も含まれます。開業してすぐは、本当に必要なものだけを厳選しましょう。
また、開業資金が足りない場合には、融資や助成金制度の利用することも一つの手です。例えば、日本政策金融金庫では新規開業資金を融資しており、条件を満たせば無担保で利用できます。キャリアアップや人材開発など、サロン開業をサポートする助成金の利用もおすすめです。
サロンの立地選びと店舗づくりのコツ
立地選びでは、駅からの距離や近隣住民とサロンのコンセプトの相性などがポイントです。
また、店舗づくりの主な内容としては、内装工事と設備の設置やインフラの整備が挙げられます。内装を考える際は、お客様やスタッフの動線を考慮した設計が重要。
さらに、電気や水道といったインフラの契約はオーナー自身が行います。電話やインターネットの開設には時間がかかるため、早めに準備しましょう。
サロン経営の収益構造・財務管理
サロンを経営するうえで、収益構造を把握し、財務管理を行うことは欠かせません。ここでは、財務管理を上手に行うためのポイントを紹介します。
売上目標の設定と収支計画
まずは、売上目標を設定しましょう。施術に加え、店販の売り上げも詳細に設定することがポイントです。具体的な数値を設定することで、経営の方向性が定まります。
固定費と変動費の管理
次に、コスト面に目を向けましょう。コストは固定費と変動費に分けられます。人件費や家賃といった固定費と、水道光熱費や消耗品にかかるコストの他、広告宣伝費も忘れてはいけません。何にどのくらい費用がかかっているか分析し、適切に管理しましょう。
利益率を上げるための施策
利益率を上げるための施策も重要です。例えば、新規顧客獲得のために初回利用しやすくなるキャンペーンを行うことも1つの手です。店販品を充実させて売り上げを伸ばしても良いでしょう。
また、コストの削減もポイントです。LED照明を利用して光熱費を削減するといった地道な取り組みが、コスト削減につながります。
税務や会計処理
サロン経営では、納税や確定申告といった税務上の義務が発生します。効率的な財務処理には、会計ソフトの導入がおすすめです。売り上げの集計や経費の計算などを適切に行えるため、経営の透明性を高められます。
数字の管理を正確かつ客観的に行いたいなら、税理士や社会保険労務士への依頼も検討してみてはいかがでしょうか。
サロン経営におけるスタッフ管理・チーム形成
続いて、サロンを経営する際のスタッフ管理やチーム形成のコツを見ていきましょう。
スタッフの採用と育成
人材を採用・育成する際のポイントは、スタッフを早期離職させないことです。採用基準を明確にし、育成に力を入れましょう。
採用の際には、まずサロンのコンセプトをもとに、求める人材のイメージを固めておきます。また、採用後にギャップが生じないよう、労働条件や福利厚生などについて説明することが大切です。
加えて、研修プログラムの充実を図りスタッフ育成に力を入れることで、早期離職を防ぐだけでなく、サロン自体の質向上につながるでしょう。
スタッフのモチベーション管理と評価制度
スタッフが働きやすい環境をつくるうえで、モチベーションの管理は重要です。スタッフが自主性や責任感、自信ややりがいを持てるよう意識しましょう。新人スタッフに対しても、オーナーが信頼を持って役割を与えることが大切です。
また、売り上げや働く姿勢、目標達成などに対する評価制度を導入することも、スタッフのモチベーションアップや維持に役立ちます。
シフト管理と労務管理の効率
スタッフ管理において、一人ひとりの労働時間を把握しておくことも欠かせません。シフトや勤怠管理を効率化するために、労務管理ツールの導入がおすすめです。労務管理ツールの利用は、シフト作成や勤怠管理の手間を省くだけでなく、スタッフの働きやすい環境づくりにもつながるでしょう。
サロン経営に必要なリーダーシップとコミュニケーションスキル
サロンを経営するうえで、オーナーにはスタッフをマネジメントするスキルが求められます。リーダーシップをとりながら、課題やリスクに対して素早く判断し行動する力が必要です。また、サロンのお客様やスタッフの意見を汲み取る調整力や、組織運営力といったコミュニケーションスキルも欠かせません。
サロン経営の長期的な成功における3つのポイント
ここからは、長期的なサロン経営を成功させるためのキーポイントを紹介します。
サービス品質・顧客満足度の向上
顧客満足度を向上させるために、高品質なサービス提供を心掛けましょう。定期的な研修を行い、技術や接客スキルを磨くことがポイントです。サービスの質はお客様のリピート率に影響を与えます。メニューを見直し、ニーズやトレンドに合ったサービスを取り入れましょう。
また、お客様からのフィードバックはサービス改善への大きなヒント。カウンセリング不足や待ち時間の長さなど、お客様の不満や率直な意見を聞き出し、サービス品質向上につなげましょう。
マーケティング・顧客との信頼関係向上
長期的なサロン経営にはマーケティング戦略も必須です。ターゲットとする顧客像を具体的に細かく設定し、お客様一人ひとりに寄り添った対応を実現しましょう。お客様との信頼関係を築くことが、リピート率向上につながります。
また、ターゲット層に合うSNSを活用した宣伝を行うこともポイントです。サロンの魅力を打ち出し、ブレのない投稿内容を意識することが独自のブランディングにつながり、集客の継続に役立つでしょう。
デジタル化の導入
デジタル化は、お客様の負担軽減や業務の効率化をもたらします。例えば、オンライン予約や顧客管理システムの導入がおすすめです。
また、会計システムとして「POS(ポス)」の導入も注目されています。POSとは「販売時点情報管理」を指すもので、売り上げの管理や分析が可能です。売り上げにまつわるさまざまなデータを可視化できるため、顧客情報と併せることで販売戦略を展開できるでしょう。
サロンを経営拡大する4つのコツ
最後に、サロンを長期経営するうえでポイントになる、経営の拡大について解説します。
複数店舗展開を検討
サロンを複数店舗展開することには、利益の増加はもちろん、お客様のニーズにより対応できるというメリットがあります。サロン経営が波にのり、顧客獲得が上手くいくようになっても、今度は予約が取りづらくなったり、効率重視でサービスの質が低下したりすれば、失客につながりかねません。サロンを複数店舗経営することは、予約やサービス品質の問題を解決へ導くでしょう。
フランチャイズ化を検討
サロンのフランチャイズ化とは、本部が加盟店に看板やサービス利用の権利を与え、対価として加盟金をもらう契約です。自社サロンをフランチャイズ本店とし、加盟店を増やすことで、経営拡大を目指せます。出店時のリスクの低さや、収入が安定することがフランチャイズ化のメリットです。
新規サービス導入を検討
新規顧客やリピーターを獲得するためには、常にターゲット層のニーズに目を配り、サービスを見直し続けることが重要です。新たなサービスを導入したり商品を開発したりと、事業拡大の可能性を検討しましょう。サービスに合わせてサロンの在り方を考え直す必要が発生することもあるかもしれません。サービス導入の目的とサロンの軸を確立しておくことが重要です。
持続可能なサロン経営モデルの構築
現在、さまざまな業界で持続可能な開発目標「SDGs」に対する取り組みが行われています。美容業界はケミカルな製品を用いることが多いため、有限な資源の効率的な利用を目指す循環型社会において大きな課題を抱えています。持続可能な経営モデルを構築することは、今後のサロンの事業拡大につながっていくでしょう。
まとめ
サロン経営において大切なのは、自社のコンセプトとターゲットとする顧客層を明確にすることです。また、スタッフ育成に力を入れることで、サロンの質や顧客満足度の向上をもたらします。さらに、長期的な成功を収めるには、マーケティングやデジタル化の導入も重要です。今回紹介した内容を参考に、サロン経営の夢を叶えませんか?
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