アレルギーのお客様への対応、案内の仕方を知っておこう!
アイリストなら常に注意を払っておきたい、マツエクの施術によるアレルギー。どのような症状が表れるか、すぐ対応すべきことは何か、アレルギー後は装着したマツエクをどうすれば良いかなど、きちんと把握できていますか?今回は、施術でアレルギー症状が出てしまった場合、アイリストが行うべきことについて紹介します。突然のアレルギーでも慌てず適切に対処できるよう、しっかりチェックし直しましょう!
マツエクによるアレルギー症状とは
お客様への対応や案内の仕方に触れる前に、マツエクによるアレルギーについて再確認しておきましょう!ここでは、代表的なアレルギー症状と、アレルギーの原因について説明します。
マツエク施術による代表的なアレルギー症状
◆目の周りがかゆい
◆まぶたに赤みや腫れが見られる
◆まぶたの皮膚がカサカサしている
◆目ヤニが出て、目が開けづらい
◆目がゴロゴロする
◆目が充血している
◆鼻水やくしゃみが止まらない
上記のような症状が出た場合は、アレルギーを発症しているおそれがあります。その場合、すぐに眼科を受診していただき、サロンへもご報告いただくように必ず説明してください。こちらは必須事項として、カウンセリングやアフターフォローでお客様へお伝えしましょう。
マツエク施術でアレルギーになる原因
マツエク施術で起こるアレルギーの主な原因は、グルーと言われています。では、グルーがどのように目元へ影響すると、アレルギーを発症するのでしょうか。
1.ホルムアルデヒドの刺激を受けた
ホルムアルデヒドは、グルーの主成分・シアノアクリレートが硬化するときに発生する気体のこと。ホルムアルデヒドは刺激物質であるため、人体に影響してアレルギー症状を引き起こすことがあります。ホルムアルデヒドへの感受性が強いほど、重いアレルギー症状を引き起こす危険が高くなるでしょう。
そのため、カウンセリングでは、「以前の施術でしみた経験はないですか?」と、お客様に質問してください。ご新規様であれば、「何らかのアレルギーをお持ちでないですか?」と必ず伺いましょう。アレルギー体質の方は、マツエク施術でアレルギーを起こしやすいと言われているためです。
また、施術中は、「目やまぶたに刺激はないですか?」とお客様に確認しましょう。エアポンプを使い、ホルムアルデヒドが目元にとどまらないようにすることも大切です。
2.グルーが完全硬化する前に顔を濡らした・目元をこすった
サロンでは、「施術後最低5時間は顔を濡らさないでください」とお客様にお願いしますよね。
こちらも、アレルギーのリスクを下げるための説明。グルーがしっかり乾く前に洗顔やシャワーを行うと、先ほど説明したホルムアルデヒドが水に溶け出し、目元に付着して危険なのです。
また、うっかり目元を触ってしまうこともアレルギーの原因になります。グルーが目元に付着してしまい、アレルギー性の接触皮膚炎を引き起こすためです。
どちらも、サロンで説明した注意を守っていただければ防げること。「顔をぬらさないで」「目元をこすらないで」とNG行為だけをお伝えするだけでは不十分です。「アレルギー発症のおそれがある」というリスクまで、きちんと説明してください。
3.くり返しのマツエク施術が刺激になった
長年、問題なくマツエクを装着してきたお客様から、思いがけず「アレルギーが出た!」とご報告を受けたことはないでしょうか。
急に現れるアレルギー症状を説明するとき、「アレルギーコップ」という表現がよく使われます。コップに水を注いでいくと、表面張力が限界を超えたときに溢れ出しますよね。それと同じで、アレルギーコップとは、アレルギーの原因がコップの容量を超えたとき、急に発症する様子を表すもの。
アレルギーコップは誰もが持つもので、ひとりひとり容量が違うと言われています。そのため、くり返しの施術により少しずつ原因が蓄積された結果、突然アレルギーを発症することもあるのです。
▼マツエクによるアレルギーについては、こちらの記事もチェック!
アレルギー発症の際、すぐ対応すべきこと
万一、お客様にアレルギー症状が出た場合に備え、アイリストとしてすべきことがあります。それは、眼科への速やかな受診をお願いすること。
サロンでの注意事項の説明や、後日お客様からアレルギーのご報告を受けた場合にも、必ず「すぐに眼科へ行ってください!」とお伝えしましょう。
ちなみに、厚生労働省は、「まつ毛エクステンションに係る教育プログラムと情報提供等について」(平成25年6月28日、健康発0628第5号)で、アイリストがお客様へ次のような注意喚起をするよう求めています。
「目等に異常が生じた場合には、直ちに眼科、皮膚科などの医師の診察を受ける必要があること。」
タイミングとしては、必ず症状が出ているうちに受診していただきます。まぶたの赤みや腫れ、目の充血などの症状が落ち着いてしまうと、それらがマツエクの施術によるものかどうか、医師が判断できなくなってしまうためです。
オフかそのままか?判断の基準
アレルギー後、マツエクをオフするかそのままにするかは、眼科医の判断によります。
どんなに熟練したアイリストでも、専門家の判断なしにアレルギー後のケアをすることは危険。対応を間違えば、症状をさらに悪化させるおそれがあるためです。
たとえば、下記の事例を考えてみましょう。
ホルムアルデヒドによるアレルギーだった場合
ホルムアルデヒドは、グルーの主成分であるシアノアクリレートが硬化する過程で放出される物質。そのため、マツエクの装着から時間が経つにつれて、放出量は少なくなっていくはずです。
一般的には、時間の経過とともにアレルギーの症状は落ち着くと言われています。そのため、炎症を起こしている目元にオフするためのリムーバーを使うことは、かえって刺激となるでしょう。つまり、オフせず様子を見た方が良い場合もあるのです。
しかし、ホルムアルデヒドへの感受性が強いお客様では、少しの量でも目元が刺激を受け続けるため危険。すぐにオフしたほうが良い場合もあるでしょう。
いずれにしても、アイリストでは判断しかねます。やはり、眼科の指示を仰ぐことが必須です。
ホルムアルデヒド以外の物質によるアレルギーだった場合
グルーには、主成分のシアノアクリレート以外にも、さまざまな成分が含まれています。
アレルギーは、ごく微量の物質でも引き起こされるもの。つまり、お客様の体質によって、さまざまな物質がアレルギーの引き金となります。
ホルムアルデヒドのように気化する物質でなければ、マツエクの装着中、絶えず目元が原因物質にさらされる危険が高まるでしょう。
こちらも、症状の程度や目元の状態によって、その後の対処法は変わります。同じように、眼科の判断を受けて対応しましょう。
グルーではなく、不衛生な器具が原因だった場合
こちらは、グルーアレルギーではなく、器具に残っていた菌やウィルスなどが原因と考えられます。
一時的な症状であれば様子見となるかもしれませんが、症状によってはオフの対象となることもあるでしょう。こちらも、眼科の指示に従うことが重要です。
確かに、目元の状態別に対応が定まっていれば、アイリストとしても安心です。しかし、アレルギーの原因や体質はお客様によって違うため、その後の対処法も十人十色。
つまり、アイリストだけで安易に判断せず、まずは眼科への受診を促すことが鉄則なのです!トラブル時に迅速かつ的確な対応をするためにも、サロンの提携眼科をつくっておくことは非常に大切と言えます。
まとめ
マツエクの施術でお客様がアレルギーを発症した場合、最優先することは眼科への受診です。厚生労働省からの通達にもある事項なので、施術の際や後日お客様からご報告を受けた場合にも必ずご案内しましょう。
マツエクの施術は、常に健康被害のトラブルと隣り合わせ。マツエク歴が長い方でも、ある日突然発症するおそれがあることも認識しておきましょう。万一の事態に慌てないよう、接客マニュアルを今一度見直したり、提携眼科をつくったりしておくことも、サロンの責務です。180728Eih