「指導者の立場」になったら意識するべきこと。新人や後輩に対する「教え方」「聴き方」のコツとは
「アイリストとして優秀であることと、指導者として優秀であること」、この2つは近いと思われがちですが、本質は全くの別物。この事実に、指導者になってから悩む人も少なくありません。今回はそんな方に向けて、指導者となったら意識してほしいことについて解説しましょう。後輩指導や新人の育成について悩んだときには、ぜひ読んで欲しい記事です!
優秀なアイリスト=優秀な指導者とは限らない
皆さんがアイリストとしてある程度の経験と実力を身につけたとき、ある選択を迫られることになるでしょう。
それは、「優秀なアイリスト」を目指すのか、「優秀な指導者」を目指すのかということ。
新人アイリストにとっては、この二つの立場はどちらもマツエクの”スペシャリスト”。しかし、求められる素質は全く異なります。むしろ、プレーヤーとして優秀だったアイリストほど、指導者になると「自分は指導者には向いていない」と思い悩むことの方が多いと言えます。
スポーツ界においても「名選手、名監督にあらず」という言葉はよく使われます。プレーヤーで成功した人が、必ずしも指導者として大成するとは限らない、という意図で使用されます。
優秀な指導者に求められる素質は、相手のことを認め、寄り添った指導ができること。アイリストとしての優秀さは、それほど重要ではありません。中には、「指導者となる人は、その組織の中で最も優秀でないといけない」という意識に囚われてしまう人もいますが、そう頑なになる必要はありません。
それよりも、その人の本質を見極められるかどうか、その上で一人一人に合った指導方法を導き出せるかどうかのスキルが必要となります。また、さまざまな悩みを抱える新人たちの心に寄り添い、うまくモチベーションを高められるような人が、指導者としてスキルが高い人の特徴です。
ここからは、指導者の立場になったアイリストに向けて、心がけてほしいポイントを見ていきましょう。
自分ができること=相手も出来る、とは限らない
先ほどもお伝えした通り、指導者に優秀さは必ずしも必要ではありません。むしろ、優秀すぎるアイリストは、早々に指導につまずくことも多いです。なぜなら、「自分ができること」を「相手ができること」と無意識に混同してしまうから。
まず、皆さんが指導者となった際には、あなたの指導に「相手が付いてきているか」を常に確認しながら進めることを心がけましょう。できないところや、分からないところは、一人一人違います。「出来るはず」「分かっているはず」という意識は捨ててください。
指導者は、まず相手のことをよく観察し、知るところから始まります。このステップがきちんと踏めていなければ、相手の行動を促し、成長させることはできません。まずは、指導の基本とも言われる、次のようなポイントを心掛けてみましょう。
相手のタイプを見極める
指導する相手の中にも、褒めて伸びる人、厳しく言う方がやる気が出る人、理解するまでに時間がかかる人、容量はいいけれど雑になってしまう人…など、さまざまなタイプの人がいます。これらのタイプを見極めることなく、一辺倒な指導を行っていては、相手の心をつかむことは難しいでしょう。指導する側としては、「伝わっていない」と感じたら、他の伝え方を試してみる、伝わるまで根気強く試し続けるという姿勢が求められます。
指導するうえでは褒め方、注意の仕方も大切なポイント。
褒めるときは、自分のことのように褒めてあげましょう。相手のモチベーションを高める、心の距離を詰めることにもつながります。ただ、ここでの”褒める”とは、「おだてる」意味ではなく、「相手のことを認める」という意味であることは言うまでもありません。
また、時には注意しなくてはならないこともありますよね。相手にとっても自分にとっても気分が乗らないことではありますが、はっきりと相手に伝えることが大切。そのときは、注意したことに対して改善しようとしているかどうか、しっかりとフォローすることを忘れてはいけません。悩んでいるようなら、悩みを聞いてあげましょう。丁寧なフォローがあれば、「自分のことを考えて注意してくれた」「注意されたことは自分にとって必要なことだった」と、相手に理解してもらうことにもつながるはずです。
「答え」ではなく「道筋」を教える
指導スタイルには、「Teach(ティーチ)」と「Coach(コーチ)」という2つのパターンがあります。「Teach」とは、まさに”教師と生徒”の関係。ここでの指導者は、答えを相手に教える立場になります。一方、「Coach」では、初めから相手に答えを教えることはしません。その人の中にある答えを一緒に見つけていこうとするというのが基本的な考え方です。
アイリストの新人育成においては、「Teach」ももちろん必要。ただ、「Teach」だけでは指導者の中にある答え以外に辿りつくことはないため、それ以上の可能性を広げることはできません。「Coach」を上手く取り入れることで、プロセス理解も深まり、自分自身で考えて行動できるようになるでしょう。人から与えられた答えよりも、自分自身で導き出した答えの方がより心の深いところに定着するのです。
学ぶ意義を共有する
アイリストとは、常にお客様の立場にたち、「どんなサービスを提供したら喜ばれるのか?」を日々追及する仕事です。そのため、マニュアルに沿って決まった業務をこなす、といったスタイルは、一定レベルを超えると通用しません。もし、あなたが指導者として新人の育成を受け持つ立場になったとしたら、後輩の「自分で考えて行動できる力=”主体性”」を伸ばしてあげる必要があるでしょう。
そのために心がけてもらいたいのが、学ぶ意義を共有するということ。業務において「何をするか」を伝える場面は多々あると思いますが、その際には「なぜするのか」も併せて伝えてあげるようにしてあげてください。何か行動する際に「なんのために」という部分を意識できると、使命感ややりがいに繋がります。そうして育まれた姿勢は、「もっとこうしたら、良くなるかも!」と自ら考えて行動する、ポジティブな働き方に繋がるのです。
「聴き上手」は「教え上手」
優秀な指導者の根底にあるのは、コミュニケーション能力だと言われています。冒頭でもお伝えしたように、相手のことを知り、寄り添った指導ができるかどうかは、指導するうえでとても重要なこと。相手のやる気を引き出し、確実に成長させるためには、一方通行に答えをただ与えるだけでの指導ではなく、心を通わせた指導をすることが必要不可欠なのです。
そのためには、
- 身体と目線をしっかりと相手に向け、「聞いている」という姿勢を示す
- 時にはプライベートの話も織り交ぜ、和やかな雰囲気になるようにする
- 相手の話を丁寧に聴き、些細な言動にも気付けるようにする
- 相手のやる気を削ぐような言葉遣いをしないように気を付ける
- 壁を作らず、出来るだけ自然体な会話を心掛ける
- 相手の言葉を遮ったり、断定的な発言を避け、他の可能性はないのか一緒に探るようにする
といったことを実践してみるといいでしょう。
「相手の話をしっかりと聴く」というのは、アイリストの日々の業務でも大切なことですよね。指導を受ける側にとっても、「自分の話を聴いてくれている」というのは、安心感につながります。大規模なサロンやスクールの場合は、一人の指導者に対して、複数の生徒がつくこともあるためなかなか難しいかもしれませんが、出来るだけ1対1で向き合う時間をつくることも大切でしょう。
まとめ
指導者として必要不可欠な素質は、相手の立場に寄り添えるコミュニケーションスキルだとお伝えしました。それ以外にも、マツエクについての知識を深めたり、実演で教えるための技術を磨いたり、常に学び続けていかなくてはならない立場でもあります。ただ、「完璧でなくてはならない!」と自分に負荷をかける必要はありません。一緒に悩む、一緒に成長するという姿勢も、指導を受ける新人や後輩のアイリストにとっていい刺激となることでしょう。
この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事
180827Esa