アイリスト目線で「疲れにくい施術体勢」「ベッドセッティング」はどれくらいがベスト?
お客様への施術時に、同じ姿勢を長時間保っていないといけないことから、腰や肩などへの負担を感じるアイリストも少なくありません。丁寧な施術をするためには、体へ負担をかけないような姿勢を心がけるのも重要なポイント。そこで今回は、疲れにくい施術体勢や、ベッドセッティングについて解説します。正しい姿勢をとることで、どのようないい影響が出るのかを、深掘りしていきましょう。
正しい姿勢の大切さ
正しい姿勢を保つことは、お客様のためにも自分のためにもプラスになるもの。頭ではわかっていても、姿勢のクセを正すことは簡単なことではありません。間違った姿勢を続けていると、どのような悪影響が起きるのかを知って、姿勢の大切さを再確認しましょう。
悪い姿勢を続けているとどんなことが起きるのか
ボーテでは、過去にも正しい姿勢やベッドセッティングについて、ご紹介してきました。過去記事からも、正しい姿勢がどのようなものなのかということは、みなさんに理解していただけているかと思います。
しかし一方で、悪い姿勢を続けているとどのような悪影響を受けるのかということは、なかなか理解しきれていないアイリストも、少なくありません。そこで、正しい姿勢を再確認する前に、悪い姿勢を続けていたらどんなことが起きてしまうのかを、ひとつずつ確認してみましょう。
体が安定せず施術スピードが落ちる
悪い姿勢のまま施術を続けていると、体の軸が安定しません。体の軸が安定していないと、手の動きも安定しなくなってしまいます。施術開始の序盤は、悪い体勢のままでも施術スピードを保つことができるでしょう。しかし、体や手が安定しないような姿勢のままでは、次第に体への負担も大きくなってきてしまいます。姿勢の悪さが体に疲労を蓄積してしまい、施術スピードも徐々にスローダウン。トータルでの施術スピードがなかなか上がらないという人は、施術姿勢を見直してみるのもひとつの改善策です。
全体のバランスが見えづらくなる
正しい姿勢を保てていない人の中には、手元をよく見ようとして、自分の目を近づけて施術しているケースもよく見受けられます。イメージでいうと、字を書くときに目を近づけている人のような姿勢です。一見、細かいところまで見えていいような印象を受けますが、実はこの姿勢もNG。目を近づけることによって、視野が狭くなってしまいます。ピンポイントの場所しか見ることができないため、全体のバランスを見ながら施術を行なうことができません。そのため全てつけ終わったとき、結局きれいにつけられていないということもあります。マツエクは、全体のバランスが取れていないと、キレイな仕上がりをキープすることはできません。姿勢の悪さは、マツエクの仕上がりにも影響を及ぼす可能性があるのです。
腰や首に負担がかかって体を痛めてしまう
正しい姿勢を保つことは、施術面においてだけでなく、自分の体を守るためにも重要なポイントとなります。悪い姿勢のまま長期間施術を続けてしまうと、その姿勢がクセになり、腰や首にだけ大きな負担がかかるケースも少なくありません。悪い姿勢を続けていると、体の一部にだけ負担がかかる場合がほとんど。負担をかけている部分に痛みが出てしまうと、正しい姿勢に戻すこと自体が難しくなってしまいます。
アイリストという職業を続けるためには、商売道具である自分の体を大切にすることが重要です。どこかに痛みが生じてしまってからでは、手遅れになる場合もあります。自分の体を守るためにも、施術時の姿勢をもう一度見直してみましょう。
姿勢のおさらい
正しい姿勢と口では簡単に言えても、実際にどのような姿勢が正しいのか、明確に答えられる人はそう多くありません。正しい姿勢とはどのような姿勢のことをいうのか、もう一度おさらいをしておきましょう。
自分の頭から腰までが一直線になるよう意識する
長時間の施術でも体に負担がかからない姿勢というのは、頭から腰までが一直線でつながるような姿勢のことを指します。骨盤に座ったような状態になるのではなく、骨盤をしっかりと立てて体幹を使いながら背筋が伸びた状態をキープするのが、正しい姿勢のお手本です。前かがみになったり体がひねられたりすることなく、お客様の頭と向き合えていることが、正しい姿勢の基本。頭のてっぺんから一本の糸が通ったようなイメージを持つと、正しい姿勢を保ちやすくなります。
猫背はNG!
ひとつ目の章で、「手元に自分の目を近づけてしまう」という悪い姿勢の例を、ピックアップしました。悪い姿勢にあるあるなのが、猫背になってしまうこと。“正しい姿勢”と“猫背”とは、対局にあるということを頭に入れておきましょう。猫背で施術を続けてしまうと、肩を常に内側に巻き込んだような状態になってしまいます。肩が内側に入ってしまうと、胸の筋肉を縮めてしまうため、呼吸が浅くなり集中力も持続しにくくなるもの。また、肩をすくめたような状態になるので、首コリや肩コリの原因にもなってしまいます。
普段から猫背気味の人は、施術中の姿勢も猫背になりがち。正しい姿勢をキープするためには、日ごろから猫背にならないよう意識するのも、姿勢を改善するために重要なポイントです。
正しい姿勢を保つにはベッドの高さも重要
正しい姿勢を維持するためには、ベッドの高さにも気をつけなければいけません。いつもみなさんが施術をするとき、お客様の頭は自分の体のどのあたりに来ていますか?
お腹のあたりや、胸より上にお客様の頭がある場合には、ベッドの高さを調整する必要があります。正しい姿勢で施術するためには、自分のみぞおち(胸の少し下あたり)くらいのところに、お客様の頭が来るようベッドの高さを調整するのがベスト。ベッドの高さをきちんと調整できていれば、正しい姿勢をキープしてもしんどさを感じることもありません。
正しい姿勢を保つことにしんどさを感じる人は、ベッドの高さを見直してみましょう。
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セッティングの見直しも
ツイザーやグルーなど、施術中いろいろなアイテムを使用することから、ワゴンなどを使って施術に必要な道具を用意している人も少なくありません。正しい姿勢をキープするためには、施術に使う道具の片づけ方・用意の仕方にも、注意をしておかなければいけないのです。
自分の後ろに道具をセッティングしない
施術の際に使用する道具類を、自分の視線が届かない場所に置いてしまうのは避けたいところ。振り向かないと取れないような場所に道具類を置いてしまうと、正しい姿勢が崩れやすくなってしまいます。きれいな姿勢をキープしたまま施術を行なうには、手を伸ばせば届くような場所に道具をセットしておくのがベスト。振り向いたりする必要がないため、姿勢を保てるだけでなく、施術時間の短縮にもつながります。
しかし、施術のしやすさを優先しすぎて、お客様がすぐ届くような場所に道具を置いてしまうのはNG。個人サロンでまれに見かけますが、ベッドの上にグルーを置いたりするのは、避けたほうが良いでしょう 。お客様の安全とリラックスできる環境を第一に、自分が施術しやすいような場所へ、道具類をセットしましょう。使いやすさを重視することで、無駄な動きを減らすことができるので、正しい姿勢もキープしやすくなります。
ワゴンを使用する場合は位置と中身の確認を
施術で使用する道具をワゴンにまとめている場合は、ワゴン自体を置く位置と、ワゴンの中身を使いやすいように整理することが、正しい姿勢をキープするためのコツとなります。
施術する体勢になった状態で、エクステやグルーなどが一番取りやすい場所へ、ワゴンを設置するのが一番いい方法。遠すぎたり近すぎたりすると、姿勢が崩れる原因となるだけでなく、施術時間のロスにもつながってしまいます。
ワゴンの中身についても、自分が使いやすいようにセッティングしておくのが基本。施術を開始してから終了するまでは、正しい姿勢をキープし続けたいもの。しかしワゴンの中身が使いやすい状態にセットされていなければ、施術途中で姿勢を崩さなければいけないような状態になってしまいます。ワゴンの中身については、配置や使いやすいアイテムを使用するなどして、姿勢に影響を与えないよう準備をしておきましょう。
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まとめ
一度慣れてしまった姿勢を正すのは、とても大変なことです。これからアイリストを目指す人や、アイリストとしてスタートを切ったばかりの人は、初めから正しい姿勢でトレーニングを積むことをおすすめします。慣れた姿勢でラクだと感じていても、長い目で見るとラクではなくなってくるものです。正しい姿勢は、体への負担も少なく安定度も抜群。最初は違和感があるかもしれませんが、後々ラクな体勢になってくるので、ぜひみなさん正しい姿勢を意識して施術を行なってください。181120Eue