【まつげの抜毛症】とは?6つのチェックポイントと治療や対策について解説!
マツエクをしている人としていない人とでは、まつげに対しての意識に違いがあるもの。
しかし中には、マツエクをつけていても、ついつい癖でまつげを抜いてしまう…という人もいます。
「抜き癖のあるお客様だな」という程度で済ませていては危険な場合も。抜き癖があるお客様は、もしかしたら治療が必要な方かもしれません。
アイデザイナーとして的確なアドバイスができるよう、抜毛症のお客様がまつげを抜いてしまう理由について、じっくり学んでいきましょう。
まつげも抜いてしまう抜毛症とは?
「なんとなく気になってまつげを触っていたら抜けてしまった」というのは、誰でも経験のあること。毛周期の関係で、抜けやすくなっているまつげは少し触れただけでも、簡単に抜け落ちてしまいます。
今回取り上げる抜毛症は、毛周期とは関係なく、意図的に自まつげを抜いてしまう人を指します。“抜毛症”や“抜毛癖”とは、一体どのような状態を指すのでしょうか。
まつげを抜いてしまう2つの原因
「無意識のうちにまつげを触ってしまい、ついつい抜いてしまう…」というお客様に、出会った経験はありませんか?“自分のまつげを抜いてしまう”癖には、必ず原因が隠されているものです。
まつげを抜いてしまうと悩んでいるお客様自身が、原因に気づいていないケースもあります。お客様へ的確なアドバイスをするために、まつげを抜いてしまう理由を知っておきましょう。
まつげを抜いてしまう主な理由は、以下の2つです。
- 目元周辺の皮膚が炎症を起こしている
- 精神的ストレスや遺伝など
上記の原因を把握して、お客様に最適なアドバイスを行いましょう。
原因①:目元周辺の皮膚が炎症を起こしている
まつげを抜いてしまう原因に、目元周辺の皮膚が炎症を起こしているケースがあります。
目元の皮膚は、アイメイクなどの外的刺激を受けやすい場所。
他の部分よりも皮膚の厚さが薄いため、とてもデリケートなのです。繊細な場所でありながらも、刺激にさらされる時間が長いため、人によっては炎症を起こしてしまうこともあります。
アイラインやマスカラなどのアイメイクは、専用のリムーバーが用意されているほど、メイク汚れが落としにくいもの。メイクなどの汚れが蓄積されてしまうと、炎症を起こしてしまう確率も高くなるのです。
目元の皮膚に炎症が起こると、違和感やかゆみなどの症状が現れます。目元の違和感やかゆみが起こることによって、無意識のうちにまつげを触る時間が増加。まつげを触りすぎてしまうと、抜ける確率が自然と増えてしまいます。
原因②:精神的ストレスや遺伝など
抜毛症を発症する人の大半は、ストレスが原因です。
長年に渡る人間関係の悩みや孤独に対する不安だけでなく、「親しい人を亡くしたとき」や「とてつもない恐怖にさらされたとき」など、突発的なストレスも抜毛症の原因に。
ストレスや不安を一時的に解消するために毛を抜いて「気持ちよさ」や「解放感」を得ると、成功体験として積み重ねてしまいます。すると、行動がエスカレートしていき、抜毛症の症状が悪化してしまう流れです。
抜毛症を発症した人の家族には、同じように毛を抜いてしまう癖を持つ人がいるケースも多く見られます。そのため、ストレスはもちろん、遺伝的な要因もあるのが、抜毛症の特徴です。
抜毛症の特徴的な症状
目元を触る癖を持っている人は意外と多く、無意識のうちにまつげを触っている人もいるでしょう。
しかし“抜毛症”は、まつげに限った話ではありません。眉毛や体毛、髪の毛など抜毛する部位や範囲に個人差があるのが特徴です。
抜毛症の人はまつげ以外にも、あらゆる部分の毛を抜いてしまう
“抜毛症”は、精神的な疾患のひとつ。その名のとおり、自分の毛を抜いてしまう症状が現れるので、まつげに限らず髪の毛や体毛、チリチリした違う質感の毛などを抜き取ってしまう人もいるのです。
抜毛症の人によって、毛の抜き方や部位はさまざま。毛を抜いているときの気持ちも、人によって異なります。
毛を抜く場所によっては、外出時にも隠せないくらい皮膚があらわになってしまうケースも。そうなると、人に会うこと自体が苦痛になり、外に出られなくなる場合もあります。
抜毛症は、まつげに限った話ではなく、精神状態に原因があるということを頭に入れておきましょう。
エスカレートすると長時間抜き続けてしまう
抜毛症がエスカレートすると、毛を抜くことに夢中になってしまい、時間を忘れて没頭してしまうケースも珍しくありません。最初は人目につかないところで数分間だったものが、だんだんと人に多少見られていても衝動を抑えられず、ひたすらに毛を抜き続けてしまう場合も。
精神疾患の中に、“強迫性障害”というものがあります。
毛を抜いている姿を見られたくないと思う気持ちや、なんとかして毛を抜く行為を止めたいと考える点では、抜毛症と強迫性障害は一致しているように見られます。
しかし、「10回手を洗ったら終了」など、自分で設けたルールを守ることで行動を止められる強迫性障害に対して、ルールを設けても衝動を止められないのが、抜毛症の特徴。
場所や時間などに限定がないため、押し寄せてくる衝動に身を任せるしか方法がないのです。
抜毛症なのかセルフチェック
“抜毛症”や”抜毛癖”という名称から、まつげを抜いてしまうことがただの癖だと思っている人もいます。口もとを触ったり、髪を触ったりと、人間には誰しも多少の癖があります。
しかし、癖がエスカレートしすぎると、病気を疑ったほうがいい場合も。見分け方やチェックリストを活用して、早期発見につなげましょう。
ただの癖なのか病気なのかの見分け方は?
イライラむしゃくしゃしたときに、まつげや髪の毛などを1、2本抜いてしまったという程度なら、ただの癖と考えて問題ありません。
一方、気がついたら「10分以上毛を抜き続けていた」「やめたいのに、止められない」場合は、病気を疑うのが賢明と言えます。
チェックする6つのポイント
抜毛症は自覚症状がない場合も多く、深刻な状態になってから気づくことも。自身が、抜毛症の可能性があるのかどうかをチェックしてみて下さい。
チェック①:無意識にまつげや髪の毛などを抜いてしまう
チェック②:毛を抜く行為をやめたい。と思っているが、繰り返してしまう
チェック③:毛を抜いている姿を他人に見られたくない、恥ずかしいと思っている
チェック④:毛を抜くと不安や緊張が和らぐ、または気分がいい
チェック⑤:毛を抜いてしまう影響で、日常生活に支障が出ている
チェック⑥:睡眠中に毛を抜いていることがある
ひとつでも当てはまる場合には、抜毛症の疑いがあります。早めに病院を受診しましょう。
抜毛症の治療法は?
ストレスが原因の大半を占める、抜毛症。毛を抜かないようにするために、何か手立てはあるのでしょうか。
抜毛症の治療法について、精神科や心療内科で行われている方法を紹介します。
精神科や心療内科を受診するのがベスト
毛を抜いてしまうという行動に気づいたら、まずは精神科や精神神経科、心療内科などを受診しましょう。
心の中にある不安や恐怖などのストレスが、抜毛症を発症させる大きな要因だと考えられているためです。
上記医療機関での主な治療方法は、2種類あります。
- 認知行動療法での治療
- 服薬での治療
症状に合わせて医師が診断するため、治療方法は選べません。
認知行動療法での治療
抜毛症という病名がつけば、症状を改善させるべく治療がスタートします。抜毛症に対しての治療法は、大きくわけて2つ。
ひとつめは、吃音やチックの症状がある人に用いられる認知行動療法です。認知行動療法は、自分の認知に直接訴えかけて症状を改善していく、心理療法の一種です。
認知行動療法では、まず”毛を抜きたい!”衝動にかられたときの気持ちにスポットを当てます。その後、上記の気持ちがどれくらい現実から離れているのかを検証する流れです。
検証の結果をもとに、患者さんの頭と心のバランスがとれるよう、日常生活の中でトレーニングを行います。
服薬での治療
薬を用いる場合には、抗うつ薬や抗不安薬などを使うのが一般的。家族など、周囲に認知してもらって見守ってもらうことも、大切な治療のひとつです。
抜毛症の人に対して、抜毛する行為を無理にやめさせたり、否定したりしてはいけません。かえって大きなストレスを与えてしまい、症状を悪化させてしまうので、気持ちに寄り添い、受け止めてあげましょう。
完治はするのか?
抜毛症と診断された人は、寛解する場合と慢性化する場合の2パターンです。
幼児期に発症するケースが多いと言われている抜毛症ですが、6歳よりも前に発症し治療を開始すると、寛解するケースが多数。
反対に、13歳を過ぎてから発症し治療を開始した場合は、慢性化しやすいというデータも報告されています。(参考サイト:ハートクリニック大船)
年齢に関わらず、まずは早めに病院を受診するのがベターです。
抜毛症を悪化させない4つの対策
「まつげを抜くのをやめたい。」と思っていても、行動を抑えられないのが抜毛症の特徴です。
医療機関での治療のほかに、自宅で行える対策方法を紹介します。また、発症していなくても、予防方法としても有効です。
- まつげを抜きにくくする
- ストレス管理をする
- 生活習慣を見直す
- コミュニケーションを選ぶ
対策①:まつげを抜きにくくする
まずは、まつげを抜いてしまう行動を抑える対策が必要です。とはいえ、自身では止められないのが抜毛症。
指に絆創膏を貼って抜きにくくしたり、つけまつ毛をしたりという方法があります。
つけまつ毛は炎症を起こしている箇所には不向きですが、つけることで自まつげを抜きにくい状態を作るという対策です。
対策②:ストレス管理をする
ストレスが主な原因で発症するので、ストレスをなくすのが一番の対策です。しかし、ストレスを完全になくすのは現実的ではないので、ストレスを溜めないようにしましょう。
また、生理前や生理中にホルモンバランスが乱れる影響で、抜毛症を発症するきっかけとなったり、症状が悪化したりする場合もあります。
好きなことに没頭する時間を作ったり、リラックス方法を見つけて実践することで、ストレスの解消や毛を抜きたい衝動を抑えられます。
日ごろの生活の中で、心をリセットできる時間を持つことが大切です。
対策③:生活習慣を見直す
規則正しい生活が一番ですが、なかなか難しいもの。バランスのとれた食事、質の高い睡眠と適切な運動を心がけます。
昼夜が逆転している生活や睡眠不足が続いていると、身体に悪いだけではなく、ストレスも溜まりやすくなるため、注意が必要です。
対策④:コミュニケーションを選ぶ
抜毛症の治療には、周囲の理解とサポートが必要不可欠です。
しかし、ストレスの原因が、人間関係やSNSでのコミュニケーションにある場合には、距離を置くことも対策のひとつです。自分を理解してくれている人とのコミュニケーションを優先して、スマホやSNSを見る時間を減らし、ストレスを緩和させましょう。
抜毛症で抜いたまつげはどれくらいで生えてくる?
まつげは、毛周期と呼ばれるサイクルで「生える→抜ける」を繰り返しながら短い人で1か月、長い人で3~4か月の周期で生え変わります。
抜毛症になると、片側だけのまつげが抜けていたり、まばらにしか生えていなかったりします。
無理に引き抜くことを続けていると、毛周期が乱れてしまったり、炎症を起こしてしまう場合もあります。
まつげはもう生えてこない?
まつげは抜けた後でも基本的に生えてきますが、状態によっては生えてこないケースもあります。
抜毛症では、毛周期によって抜けやすくなっているまつげ以外も抜いてしまい、長期間にも及ぶので、皮膚だけではなく、毛根にもダメージを与えてしまいます。
毛の再生は、毛母細胞の働きによるもの。毛母細胞が消失しない限りは、毛は生えてきますが、ダメージによっては、毛の再生が遅れたり、生えてこなくなったりするケースも。
まつげの状態や症状の程度にもよるので、早期の治療が推奨されています。
マツエクはできる?
まつげがスカスカだったり、生えていない状態ではエクステをつけられません。抜毛症の治療中の場合は、かかりつけの医師に相談して頂くのが望ましいです。
また、まつげの毛母細胞が完全に消失してしまっているのであれば、毛が生えてくることはないため、エクステをつけるのは難しいでしょう。
「症状が寛解している」または「まつげが生えそろっている」場合、マツエクの施術は可能ですが、まつげが生えそろうまでの期間には個人差があります。
ちなみに、抜毛症でなくても、まつげが抜け落ちてしまう原因は様々です。下記の記事では、原因と対処法について、分かりやすく解説しています。まつげ美容液を使った検証も行っているため、参考にして下さい。
抜毛症のまつげには、正しい知識を!
抜毛症は、心のバランスが崩れることによって発症したり、悪化するもの。場合によっては人前に出られなくなってしまうようなケースもあるため、安易に見過ごしてはいけない症状です。
抜毛症は、早期に治療を開始すれば、重症化を防げるかもしれません。まずは、早期に気づくことが重要です。まつげに触れる職業であるアイデザイナーとして、正しい知識を身につけておきましょう。190204Eue