「グルーを弾くまつげ」の原因は「ホルモンバランス」にも関係があった??
これまでBeautéではまつげがグルーを弾いてしまう現象について、さまざまな視点から解決法を見出してきました。そこで今回は、自まつげ自体が多くの油分を含む、いわゆる“オイリーまつげ”について考えます。リピーターのお客様の施術中に、「あれ?いつもは大丈夫なのに、今日に限って普段より自まつげがオイリーかも…?」このような場合、女性特有の原因が潜んでいるのかもしれまんせん。
弾く原因を掘り下げる!
日常業務の中でも、「まつげがグルーを弾いて、エクステが上手く装着できない。」という事態に直面したことがあるのではないでしょうか。自まつげがグルーを弾いてしまう場合、一般的には以下のような原因が考えられます。
サロンの室温・湿度がグルーに適していない
グルーは気温や湿度が低いと硬化が遅くなるという特徴を持っています。そのためサロンの室温はお客様が快適に過ごしていただける温度を心掛けることはもとより、グルーを扱いやすい環境に保つことも重要です。
一般的にサロン内の室温は、以下の状態が好ましいとされています。
夏:室温25℃前後・湿度55~65%程度
冬:室温20℃前後・湿度50~60%程度
自まつげのコンディションがグルーに適していない
ご存知のとおり、まつげも髪の毛と同じように“毛質”に個人差がありますよね。例えば、キューティクルが健康なまつげ、キューティクルが壊れて乾燥ぎみのまつげ、ハリが強く油分が多いまつげなど、まつげの状態は千差万別です。
グルーは強力な瞬間接着剤のようなものなので、多少特徴のある自まつげであっても施術を行うことはできるでしょう。しかし特に問題となるのは、自まつげがグルーを弾いてしまい、施術自体が困難になる場合です。自まつげがグルーを弾く現象は乾燥まつげ・オイリーまつげ、両者ともに見られるようです。
普段は健康なまつげがオイリーになる原因
自まつげのコンディションがエクステのモチやマツエクの施術に影響することがわかりました。そのため自まつげを健康に保つことは大切です。しかし、ここで考えたいのが日によってまつげの毛質にバラつきがあるケースについてです。
例えば、リピーターのお客様への施術中にこのような経験をしたことはありませんか?
「いつもはスムーズに施術できるのに、今回はまつげがグルーを弾く気がする。」
「普段は油分多めのまつげなのに、今日は乾燥ぎみ?」
このようにまつげの毛質にバラつきがある場合には、もしかすると月経周期における女性ホルモンの変動が影響しているのかもしれません。ちまたでもよく肌荒れやニキビ、イライラの原因として「女性ホルモンのバランスが崩れているから」「生理前だからじゃない?」などと耳にすることがありますよね。確かに女性ホルモンの影響により体調に変化が起こることがあるのですが、どのような時期にどのような体調の変化が起こるのかを知るためには、まずは月経周期を正しく理解する必要があるでしょう。
女性でも意外と知らない!月経のしくみ
画像元:鶴川台ウィメンズクリニック 女性ホルモンの基礎知識・仕組みと種類
“月経”とは、“生理”のこと。普段よく使っている“生理周期”という言葉も、正しくは月経周期といいます。
ここから月経について説明しますが、ぜひ上の表と照らし合わせながら読み進めてみてくださいね。
女性の体は子孫を残すために約1ヶ月に1回、卵巣から卵子を排出(排卵)します。また、排卵に合わせて受精卵が着床しやすくするために、子宮の中の子宮内膜を厚くし、妊娠に備えて子宮の状態を整えて受精卵を待つのです。
しかし、卵子が受精しなかった場合は、受精卵のために準備した子宮内膜が必要なくなり、はがれて体外に排出されます。これが月経(生理)です。
そしてこの排卵と月経の周期(サイクル)は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが大きく関わっています。それぞれのホルモンのはたらきと特徴は以下のとおりです。
エストロゲン<卵胞(らんぽう)ホルモン>
上記の表のパープルの実線を見てみましょう。
- 月経が終わってから排卵までの期間(卵胞期)に分泌量が増える
- 子宮内膜を厚くする
女性ホルモンといえば、このエストロゲンです。エストロゲンが周期的に安定して分泌されることが、妊娠するための大切な条件となります。
またエストロゲンには女性の体調をよくしてくれる効果があり、「美人ホルモン」とも呼ばれています。肌や髪の毛にうるおいを与えることも知られています。また自律神経を安定させるはたらきがあるため、卵胞期にはおだやかな精神状態を保ちやすいといわれています。さらに脳が活発化して頭の回転が早くなるともいわれています。
プロゲステロン<黄体(おうたい)ホルモン>
上記の表のパープルの点線を見てみましょう。
- 排卵後から月経までの期間(黄体期)に分泌量が増える
- 子宮内膜をより厚く、妊娠に適した状態に整える
プロゲステロンは受精卵の着床と妊娠の継続に無くてはならないホルモンです。妊娠が成立すると分泌量が維持され、さらに胎盤からも分泌されるようになります。
ところが前述のとおり、妊娠しなければ徐々に分泌量が減少し、月経が起きるのです。
また排卵から次の月経までのプロゲステロンの分泌量の増加は、女性にとってさまざまな不快症状の原因となることが知られています。
体が熱っぽい・だるい
腹痛・腰痛・頭痛が起きる
精神的に不安定になりイライラする
皮脂の分泌量が増え、ニキビができたり、肌がオイリーになったりするなど
上記のとおりプロゲステロンの影響により、生理がはじまって約2週間後から月経までの間に肌がオイリーになる場合があります。するとオイリーになった目のまわりの皮ふからまつげに油分が移行することも十分に考えられますよね。
このように普段は健康なまつげがオイリーになっている原因は、女性ホルモン・プロゲステロンの影響かもしれないのです。
▼こちらの過去記事も参考にしてください。
オイリーまつげへの対応とは?
普段は問題なく施術を行えているお客様であっても、来店のタイミングによっては自まつげがオイリーになっている場合があることがわかりました。
では、まつげがオイリーなお客様に対してどのような対処をするべきなのでしょうか。
プライマーによる前処置を念入りに!
まつげは一見キレイに見えてもホコリや皮脂が付着しているため、すべてのお客様に対し前処理を行うことがおすすめです。特にまつげの根元付近に油分などが多く残っている場合、グルーを弾くだけでなく、マツエクのモチも悪くなってしまう場合があります。そのためまつげがオイリーなお客様の場合には、より丁寧な前処理をすることが重要といえます。
アイシャンプーや洗顔で余分な油分をオフする
オイリーまつげのお客様の場合、プライマーで丁寧に前処置をしたとしても、油分が残ってしまう印象があります。そんなときはアイシャンプーや洗顔などをおすすめするのもひとつのアイデアといえます。
特に泡タイプのアイシャンプーであれば、施術台の上で使用することができるうえ、目にしみることもないのでゆっくりと確実に目元をマツエクの施術に適した状態に近づけることができるでしょう。
アイシャンプーをオプションのメニューとして導入することにより、客単価アップにもつながりますよ。
▼こちらの過去記事も参考にしてください。
グルーは変えるべき?
ここまで“まつげ”に注目して“グルーを弾くまつげ”について考えてきました。そこで次は“グルー”にスポットライトを当ててみましょう。
ご存知のとおりグルーにもさまざまなタイプがありますが、中でも粘度が低い(サラサラ)タイプよりは、粘度が高い(トロトロ)タイプの方がオイリーまつげのお客様への施術には適しているようです。
その都度、最適なグルーを選択できるようタイプの異なるグルーをストックしておくこともよいアイデアといえます。
粘度高めのグルー3選
Beauty Products(ビューティープロダクツ):日本製グルー 超速乾α
画像元:Beauty Products
粘度が高く、低刺激と速乾性で人気のビューティープロダクツ社のグルーです。ノンカーボンタイプなので、黒ではなくピンク色しています。主成分には医療グレードのブチルシアノアクリレートを使用しており、毒性がなく、臭いも気になりにくい点もメリットといえるでしょう。
はまざき:JPグルーパワー’18
画像元:はまざき
粘度が高いブチルタイプのグルーです。低刺激タイプでありながら、持続力強化タイプなので3~4週間の持続期間をしっかりとキープしています。また「JPグルーパワー’18」はお手頃価格なので、まつげがオイリーなお客様用のスケットグルーとして在庫しておくのもおすすめです。
ome enterprises:ロングメディカル系 国産ブラックグルー
画像元:ome enterprises
程よい粘度を持ったチューブタイプのグルーです。サロン技術者とグルー専門工場がタッグを組み、細部にまでこだわって作られています。またパントテン酸やビタミンA、ビタミンEなどの美容液成分もたっぷり配合されているので、プレケアなどで刺激を受けたまつげにもやさしいと好評です。
まとめ
まつげがグルーを弾く原因の多くは、自まつげに含まれる油分が多すぎることによるものと考えられます。また自まつげがオイリーな人の中には、元々の毛質がオイリーな場合のほかに、女性ホルモンの影響により、期間限定でオイリーになっている場合があります。普段は問題なく施術を行えているお客様であっても、来店のタイミングによっては自まつげがオイリーになっている場合があることを知っておくことは施術をスムーズに進めるコツともいえるでしょう。またオイリーなまつげに対しては、グルーが弾かないよう適切な処置を行うことが重要です。190228Euk