開業予定の方必見!イチからはじめる「自宅マツエクサロン」スタートアップあれこれ
アイリストのライフスタイルの変化に対応する手段の1つに、自宅サロンの開業があります。Beautéでは自宅サロンの開業におけるリスクや難易度も解説してきましたが、今回はその是非ではなく、いよいよ自宅サロンをオープンするとなった場合に必要になる具体的な観点について触れていきます。まず確認するのは、美容所登録のチェックポイントをクリアできるかどうか。自宅サロン開業に際して確認しておきたい必要な設備を詳しくご紹介していきます。開業予定の方、または開業を検討している方必見です。さっそく確認していきましょう。
美容所登録に必要な設備とは
自宅をサロンにする場合、まず考えなければならないのが美容所登録について。お店の規模や形態を問わず、美容所としてお客様にサービスを提供するには美容所登録が必須となります。無許可での営業の場合、美容師法違反として30万円以下の罰金が課されることがある法律違反!自宅サロン開業に向けての第一関門です。
自宅サロン開業までの流れ
自宅サロン開業までの大まかな流れを確認していきましょう。
必要な設備を準備
↓
美容所開設届に必要事項を記入、手数料と共に提出(サロンオープンの10日前くらいまでに!)
↓
保健所職員による実地検査
↓
基準を満たしていれば美容所確認証(地域によって名称は異なる)が発行、開業が許可される
という流れが基本です。
必要書類について
美容所登録に開設届けを出す際、必要な添付書類を確認しましょう。
美容所開設届出書(様式第1号) |
2部 ※所定のもの |
美容所の平面図、付近見取図(様式第1号) |
2部 ※所定のもの |
従業する美容師全員の美容師免許証 |
原本※原本は届出時に確認後、返却 |
従業する美容師全員の診断書 |
※診断日より1ヵ月以内のもの【原本】 |
以上が美容所登録に必要な書類です。
従業する予定のアイリストが2人以上いる場合、そのうちの1名が管理美容師であることを証明する書類も必要です。また、書類提出時に15,000円~30,000円程度の手数料を支払う必要がありますが、手数料も地域によって差があります。
美容所登録に必要な設備は
保健所職員による実地検査の際にチェックされる項目について把握しておきましょう。チェックポイントは住んでいる地域によって多少基準が異なるため、事前確認が必要です。
□施術スペースの面積→13㎡(8畳)以上
□床や壁の材質→(腰板コンクリート、タイル、板などの水が染み込まない素材か)
□照明は適正か→(100ルクス以上)
□サロンスペースに水道設備があるか(自宅用との兼用不可)
□換気設備があるか(窓、または換気扇が必須)
□施術スペースとは別に待合スペースが確保されているかどうか
□施術スペースが清潔かどうか
といったチェックポイントが設けられています。
マツエクサロンの床材は水が浸透する恐れのあるじゅうたんや畳といった素材はNGです。必ずフローリングの部屋を選びましょう。他にも器具の収納スペースの有無やフタつきのごみ箱、作業着があるかどうかといったチェックポイントを全て網羅しているかどうか確認されます。
また自治体によっても異なりますが、器具洗い場には、薬液容器、メスシリンダー大(500㎖)、メスシリンダー小(100㎖)を用意しなければならないといった細かい指定がされていることも。細かい指定まできちんと確認しておきましょう。
開業届も提出しよう
美容所登録とは別に開業届の提出も必要です。開業届とは、個人でお金の発生する仕事をスタートした際、1ヶ月以内に届け出が必要な書類。開業届2部と身分証明書を用意し、税務署に提出することとなります。開業届提出にかかる費用はありません。
マンションでも開業できる?
マンションでも自宅サロンを開業できる?という疑問もあるでしょう。上記のチェックポイントを網羅していれば、マンションでも美容所登録は可能です。しかし、住居として契約した賃貸マンションで、勝手にまつげエクステサロンを開業するのは契約違反になることを知っておきましょう。
また、分譲マンションの場合、項目によってはリフォームなどが必要かもしれません。リフォームにはお金がかかるため、場合によってはテナントを借りた方が安くすむ可能性もあるでしょう。自宅サロンの設備を整えられるかどうかは、自宅のあり方や間取りなどによっても異なります。自宅の状態を今一度確認することからスタートしましょう。
運営していくために必要なことは?
せっかく開業しても経営が軌道にのらず、失敗してしまう可能性もありますよね。自宅サロンを運営する前に考えておきたいことを確認しておきましょう。
まずはサロンコンセプトを明確に
サロン経営を成功させるにあたって、まずはサロンコンセプトを明確にしましょう。
◆アットホームで子ども連れのママにも優しいサロン
◆インスタ映えするおしゃれなサロン
◆ヘアセットとマツエク両方できるサロン
といったように、目指すサロンの方向性を固めます。
自宅サロンは自分が経営主体。自分好みのサロンを形にできるのという点に魅力を感じている人も多いはずです。どんなサロンを作りたいのかという軸になる部分がブレると、サロンの在り方にもブレが生じてしまう可能性も。まずは軸となるサロンコンセプトをきちんと打ち出すことが大切ですサロンの強みや魅力をプッシュできるメニューなどで、他のサロンとの差別化を図るのも1つの手段。ターゲットを絞るとおのずと集客もしやすくなるかもしれません。
入りやすい入口を目指して
自宅サロンは基本的には他人の家。入りにくい!と感じるお客様も多いはずです。特にお客様が一番初めに訪れる玄関は、入りやすさを重視。「ここで合ってる?違ったらどうしよう!」と思わせないようにすることが大切です。
大々的な看板は難しいかもしれませんが、「ポストにお花のシールが貼ってあります!」というように目印になるようなものを用意しておくとお客様も安心できるかもしれませんね。また、入り口の雰囲気も大切です。家族の靴や傘スタンドなどは目に見えない場所に片付け、生活感を出さないように心がけるのがいいでしょう。毎日の整理整頓と掃除で清潔感のあるスペースにしてください。
空間演出も重要!
開業資金のうち節約できるのは内装費用です。しかし、マツエクサロンは空間演出も重要なポイント。サロンコンセプトを形にしてくれる部分でもあります。お客様はマツエクの施術はもちろんですが、「サロンでの時間」を目的にしていることもしばしば。せっかく訪れたサロンが殺風景で味気ないと、施術は満足できてもトータルとして残念な気持ちになってしまうかもしれません。もちろん理想のサロンにすべく結果赤字に…となってはいけませんが、ある程度の内装費用は必要経費と割り切り、お客様の癒しの場になれるような空間演出をしてください。
生活感を出さない工夫をしよう
自宅サロンは生活感が出てしまいやすいのがデメリット。生活感があるとお客様の気持ちが冷めてしまうということもあるでしょう。施術スペースはもちろん、廊下、洗面所といったお客様が通る可能性のある場所はできるだけ生活感を排除したいところ。
キレイに整理整頓されていることも大切ですが、意外と生活感が出てしまいやすいのが
◆匂い
◆音
といったところ。特に、お客様だからこそ感じるその家独特の匂いが気になるという声もありました。施術中に生活音が聞こえたり、料理の匂いが漂ってきたりすると、気になるお客様も多いかもしれません。施術中の他の家族の過ごし方についても、家族と話し合っておく必要があるでしょう。
集客について
サロン勤務の場合、集客はサロンがやってくれていたはず。しかし、自宅サロンの場合、集客も独自で行う必要があります。集客は自宅サロンの1番の難点。新規のお客様を取り入れるはかなり難しいとされています。自宅サロンの集客方法について考えていきましょう。
ポータルサイトを活用
無料情報誌でのサロン紹介やクーポン配布は、まだまだ健在の集客方法。サロン探しの際はとりあえずチェックするという人も多いようです。ポータルサイトには
◆HotpepperBeauty(ホットペッパービューティー)
◆楽天ビューティー
◆minimo(ミニモ)
◆地域の情報誌
といったものがあります。
広告料はかかりますが、得られる効果はその分大きいはず。サロンを認知してもらうための手段の1つになるでしょう。口コミ機能をチェックしている人も多いため、お客様に口コミ投稿をお願いするようにしておくのもいいかもしれません。
ただし、1人で経営するのであれば、高順位のプランで掲載することは固定費が多くかかってしまうため経営を圧迫するでしょう。一方で、低順位のプランでは新規集客数が確保できません。自宅サロンでは、ポータルサイトを活用、運用するのは難易度が高いという構図は覚悟しておきましょう。
紹介を活用
訪れてくれたお客様の紹介制度は、自宅サロンの大きな集客方法です。お客様もサロンやアイリストの雰囲気を確認し、納得した上で紹介してくれるため、サロンコンセプトとお客様の客層が一致しやすくなります。
自宅サロンは入りにくいというデメリットがありますが、慣れてしまえば友だちの家に遊びに行くような気安さにつながるというメリットもあります。行きにくさという垣根を排除してくれるのが紹介の効果。○○さんに紹介されたという安心感があるだけで、サロンへの行きやすさは格段にアップ。『親しい友人からの紹介=信頼度高め』という図式になるのは、共感性を重視する女性ならではのポイントです。
紹介したくなるようなサロンの魅力を作ったり、紹介特典をアピールしたりと、サロンの紹介力を高める努力も重要になるでしょう。
SNSを活用
サロンのホームページを作成するのもいいですが、今の時代はSNSをうまく活用することが、顧客獲得に大きな影響を与えるようです。SNSツールの拡大が自宅サロンの倍増につながったとも言われており、今や広告になくてならない必須アイテムにもなっています。特に若い女性に人気のSNSがInstagram。視覚効果の高さによって魅力が拡散されやすいのが大きな特徴です。
写真や言葉でサロンの雰囲気やコンセプトを伝えられる上、アカウント作成は無料。写真や言葉選びにはセンスが問われますが、上手くアップしていくことで「インスタで見た!」とサロンを訪れてくれるお客様もいるかもしれません。Instagramの他にもFacebookやTwitter、ブログ、ネット広告など、さまざまな方法が。ほとんどが無料でスタートすることができるため、できる範囲で活用してみるのがおすすめです。
お客様がサロンを知るきっかけを作ることが大切
サロンを認知してもらわないことには、お客様を獲得することができません。上記のツールや方法で、まずはサロンがあることをお客様に知ってもらう必要があるでしょう。自分で管理できる範囲でしっかりとサロンを知ってもらうきっかけを作ることが、自宅サロンをうまく運営する鍵になるのではないでしょうか。
まとめ
自宅サロンの場合、どの面においても自分がプロデュースしていくことになります。経営も施術も全て自分の責任。大変さとやりがい、どちらの側面も大きい働き方でしょう。そして、スタートしたからには長く続けていけるかどうかも大切です。息の長い経営を続けていけるかどうかは、家族の理解と協力、そして最大の難問である集客が上手くいってこそ。自宅サロン開業は、設備やサロンの方向性、集客方法についての詳細を、慎重に考えた上で決断しましょう。190302