「サロンのラッシュ導入」どれくらいの種類を持つべき?エクステの毛質を選ぶ基準とは
「目元を華やかに見せたい」「ナチュラルな雰囲気にしてほしい」など、お客様のマツエクに求めるイメージはさまざま。エクステの毛質の種類は、それを実現するためには欠かせない要素です。お客様の要望に相応しい毛質を選ばないと、仕上がりに違和感が生まれてしまうことも。今回はしっかりとおさらいしていきましょう。
毛質についておさらい
マツエクで重要な質感の決め手となるのが、エクステの毛質。一般的には、「セーブル」「ミンク」「シルク」の3種類が多くのサロンで使われています。アイリストのみなさんにとっては、馴染みのある名前ですよね。まずは、それぞれの特徴をおさらいしておきましょう。
シルク
“シルク”という名前の通りのツヤのある質感、太さが最大の特徴。硬めでハリのある質感は、お人形さんのような華やかな雰囲気にしたいときにおすすめです。自まつげのようなナチュラル感は少ないですが、普段からつけまつげを愛用されている方、しっかりとメイクをしたい方には喜ばれるかもしれませんね。カール感やボリュームも出しやすいと言われています。ただ、硬い毛質な分、ごわごわとしたつけ心地に違和感を持つ人も。モチも3種類の中ではいい方ではないですが、低価格で試しやすいというメリットもあります。
ミンク
程よいツヤ感でナチュラルに仕上がるのがミンクの特徴。柔らかい質感のため、つけ心地の良さも重視したい方にはおすすめです。価格はシルクよりもやや高めではありますが、モチも良くなるためマツエク初心者の方にもご提案しやすい種類でもあります。オフィスや学校でも浮かないような落ちついた仕上がりを好む方にも喜ばれるでしょう。
セーブル
3種類の中でも最高品質と言われているのがセーブル。柔らかさや軽さ、モチの良さなどすべての面で優れていて贅沢なつけ心地が魅力です。人工的なツヤ感ではなく、自まつげに一番近い仕上がりになるのもこのタイプ。根元から毛先にかけて綺麗に伸びていて、カールが長持ちするのも特徴のひとつです。最高級のため価格も高くなる傾向にありますが、マツエクの仕上がりにこだわりたい方、自まつげへのダメージが気になる方、シルクやミンクでは違和感があるという方にはきっと満足いただけることでしょう。
一般的には価格、品質ともに、「セーブル>ミンク>シルク」とされています。しかし、その感じ方は人それぞれ。中には、最高級のセーブルよりも一番安価なシルクの方が優れていると感じるお客様もいます。
また、毛質の種類は同じであったとしても、メーカーや商品が違えばその質感には微妙な違いが出てきます。そのため、最高級と称されるセーブルであっても、商品によっては固くて違和感が出ることも。毛質の種類というのはそれほど曖昧な区分けなのです。これは一体なぜなのでしょうか?
質感が異なる理由とは?
同じ毛質に区分けされていても、メーカーや商品によってその質感はさまざま。この理由は「エクステの毛質を分類するための正式な基準がない」ことにあります。
エクステというのは、毛質の違いにかかわらず全てPBT(ポリブチレンテレフタレート)という素材から作られています。しかし、加工する際の工程や原料となる原糸の違いによってその柔らかさやツヤ、ボリュームには微妙な差が発生。これらをメーカー側が便宜的に区別するために使われるのが、「ミンク」や「セーブル」といった名称なのです。その基準はメーカーによっても異なるうえに、かなり曖昧。太さや柔らかさなどが数値化されているわけでもなく、「柔らかいからセーブル」「ツヤ感が強いからシルク」といったように、見た目や触り心地によって分けられているというのが現状のようです。メーカーによっては、同じ毛質で複数の商品を揃えているところもあるそう。そのため同じ毛質に分類されているにもかかわらず、その質感には大きな違いが生まれてしまうのです。
仕入れるエクステを決める基準とは
サロンの規模などにもよりますが、在庫として置いている毛質の種類は1~3種類が一般的。さらに、最近ではフラットラッシュなどの特殊なエクステもあるため、ラインナップが毛質の違いのみというサロンも少ないのではないでしょうか。
さまざまな毛質を多く揃えておくことは、
- お客様の好みや自まつげの状態に合わせたご提案がしやすい
- 毛質の違いによって価格の幅がもたせられるため、お客様の予算に合わせやすい
- 集客のセールスポイントになる
といったメリットがあります。ただ、多ければ多いほどいいとも言い切れません。多くの毛質を在庫として抱えるということは、その分管理も大変になるということ。あまり使われる頻度の少ない毛質は在庫余りになりかねません。また、お客様の方も選択肢の多さに魅力を感じる方もいれば、「多すぎて選べない…」と必要以上に悩んでしまう方もいます。アイリストからの説明もより分かりやすさを求められることになるでしょう。
それでは、自分のサロンに最適な毛質の種類、数はどのように判断したらいいのでしょうか?
まず、考えるべきは「ターゲット層」です。年齢層、価格帯、マツエクのテイストなど、どのようなお客様が多く来店されるのか、それによって置いておくべき毛質も決まってきます。
例えば、これらのサロンの場合はいかがでしょうか?
<サロンAの場合>
- 20代~30代のOLが多い(年齢層が若い)
- ナチュラルデザインが人気
- 価格帯はリーズナブル~標準
この場合は、華やかでやや人工的な印象のシルクよりもミンクやセーブルなどのナチュラル系毛質に絞るといいでしょう。また、若い女性が多い場合には、気軽にさまざまなデザインを楽しみたいという方も多いはず。「最高級なもので自まつげに負担をかけずに…」とこだわるよりも、「ナチュラルでどんなメイクにも合わせやすく価格もそれほど高くない」といった汎用性の高い種類が好まれるかもしれませんね。
<サロンBの場合>
- 30代~50代の女性が多い(年齢層が高い)
- 上品なデザインが人気
- 価格帯は高め
このサロンでは、セーブルのような高級毛が好まれるでしょう。お客様の年齢層が高めのサロンでは、加齢による自まつげの弱まりにも気を配らなくてはなりません。そのため、自まつげへの負担を極力抑え、軽いつけ心地で、かつ上品に仕上がるセーブルがおすすめです。
ただ、先ほどもお伝えしたように、同じ名称がつけられていたとしてもメーカーによってその質感はさまざま。仕入れる際にはあまり毛質を絞りすぎず、実際に目でみて触ってから最終判断をすることになるでしょう。サロンのターゲット層にぴったりとはまるエクステと出会えれば、よりお客様のニーズにマッチするマツエクを提供できるはず。ぜひ、さまざまなエクステを試しながら「これ!」という商品を探してみてくださいね。
毛質の違いに惑わされないために!質感を見分けるポイントとは?
毛質の区分けがかなり曖昧なものとなると、エクステの質感を正確に見分けるにはどうすればいいのでしょうか?最後に、数多くの商品の中からベストな一品を見分けるためのポイントについて考えてみましょう。
柔軟性
毛の柔らかさは、自まつげへの馴染みやすさに直結する重要なポイント。柔軟性の違いが生まれるのは、原糸の質や加工方法の違いによります。柔らかい毛質はセーブルやミンクに多くありますが、シルクの中にも柔らかさを追求したものはあるようです。
耐久性
マツエクは摩擦や皮脂などの油分、雑菌などさまざまな刺激と隣り合わせですよね。そのため、加工段階で念入りなコーティングが施され耐久性を高めたエクステは、当然毛質もいいと判断できるでしょう。最高級と言われるセーブルの中にも、加工方法の違いによって耐久性が悪く、カールが下がりやすかったりモチが悪かったりする劣悪品も。お客様からの信頼を得るためにも耐久性の優れたものを揃えておきたいものです。
先端のカット方法
すべてのエクステは、毛先にかけて細くなるようにカットされていますね。しかし、細くなり始める位置というのは、同じ太さであっても微妙に異なります。基本的には、細くなるスタート位置が根本に近ければ近いほど、自まつげに近いナチュラルな毛質となるはず。その方が柔軟性も高い傾向にあります。一見分かりにくいものの、よく注意して観察すれば気づけるポイント。ぜひ、手持ちのエクステと見比べながら注目してみてくださいね。
まとめ
アイリストにとっては毎日のように手に取る身近なエクステですが、実は知らないことはまだまだあるはず。毛質の違いを敏感に感じ取れるようになることは、お客様の求めるデザインを正確に実現することにもつながるでしょう。みなさんのサロンに置いてある毛質は、果たしてサロンの客層にとってベストなラインナップとなっているでしょうか?ぜひこの機会に見直してみてくださいね。190325Esa