ご不自由を感じられない配慮を。マツエクサロンの「障害があるお客様」向けの対応とは?

この記事をシェアする
サムネイル

読者であるアイリストの方から、「お耳や目のご不自由な方にとっても、喜んでいただける接客をしたいのですが…」というご相談をいただきました。

日々、サロンにはさまざまなお客様がご来店されます。ご来店された皆様に満足して帰っていただきたい…。これはアイリストなら誰しも感じてることでしょう。

お耳や目がご不自由なお客様が安心して施術を受けていただくために、我々はどのような対応をするべきなのか?じっくりと考えてみましょう。

 

「お耳がご不自由なお客様への対応をしっかりしたい」

仕事をしていると、どうしてもひとりでは解決できない問題に直面することがあります。そのためBeautéには、読者アイリストの皆さまから、さまざまなご質問やご相談をいただきます。今回は、このような内容のご相談をいただきました。

「先日、お耳がご不自由なお客様がネットでご予約してくださり、サロンへご来店くださいました。

事前にお耳が不自由だとお伺いしていたのですが、筆談用のメモを準備するくらいしかできず…。『もっと快適にお過ごしいただく準備ができたのではないか』と思っております。

幸いにもお客様は当サロンを大変気に行ってくださったので、今後通っていただく上で、『このようなことがあれば嬉しい』と思っていただけるおもてなしをしたいと思っています。

何かよいアイディアはないでしょうか?」

お身体がご不自由な方でも気兼ねなくご来店いただき、満足していただけるサロンにしたい、という思いは、きっと皆さん同様にお持ちのはず。
そのためには、どのようなお手伝いができるのか…。一緒に考えてみましょう。

お耳がご不自由なお客様への対応は?

まずはお耳がご不自由なお客様への対応について。ひとまとめに、お耳がご不自由と言っても

◆大きな声は聞こえるお客様
◆補聴器を使用すれば聞こえるお客様
◆まったく聞こえないお客様

と、さまざまです。

しかし、皆様に共通して言えることが音による情報を得ることが難しい」ということ。

そのため、お耳がご不自由なお客様には「音声で伝える情報を他の手段で伝わるようなサービスを考える」ことが重要です。

例えば動きであったり、表情であったり、文字であったり…。これらを組み合わせることで、お客様とスムーズにコミュニケーションをとることができるようになるでしょう。

伝えるべきことを書いたものを作成

お耳がご不自由なお客様とのコミュニケーションとしてもっとも頻繁に持ちられるのが筆談です。

しかし、施術を行う際にホワイトボードやメモ用紙に、都度伝えたいことを記入していては時間のロスになりますし、「お客様をお待たせしないように」、という焦りから、どうしても走り書きになってしまい、お客様が読みづらく感じてしまうかもしれません。

そこで、事前に伝えるべきことを書いたものを準備しておくとよいでしょう。

◆施術内容をわかりやすくまとめたもの
◆「お手洗いはこちらです」「こちらに横になってください」などの案内を記したボード
◆カウンセリング、アフターカウンセリングでお客様が気になることを記入できる質問用紙
◆お帰りの際に「今日はご来店いただきありがとうございました」とひと言書き添えたメッセージカード

これらをお客様の来店前に準備しておけば、お客様にスムーズに情報をお届けすることができるでしょう。

必ずお客様の正面に回る

例えばお客様にこちらを向いていただきたいから、と背後からいきなり肩を叩くと、お客様はびっくりしてしまいます。

お客様と接するときは、必ずお客様の正面に回りましょう。

中には「読唇術」と言って、相手の唇の動きから、何を話しているのかを読み取る方法を取られている方もいらっしゃいます。

「読唇術」をされている、とお客様からお申し出があったときは、口をしっかり開けてお話し、お客様に唇の動きがわかるようにしてさしあげます。ただし、はっきりとした発音を意識しすぎるあまり、「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」などと、区切って話してしまうと、逆にわかりにくくなってしまいますので気をつけましょう。

そして、こちらが話しかけた後は、必ずお客様の表情を確認し、言いたいことが伝わっているかどうか、を表情で確認しましょう。

また、長すぎる文章は、口の動きを読み取るのが非常に困難です。要点のみを簡潔に伝えられるように、事前に伝達事項をまとめておくといいですね。さらに、口の動きがわかりやすいよう、照明の位置にも気をつけましょう。

サポートを頼みやすい雰囲気を作る

お耳の不自由なお客様の中には、遠慮してしまい、なかなかサポートを申し出ることができない…という方もいます。

そのような方でも気軽にサポートを受けていただくために、最初に「わかりにくいところ、ご不便を感じることがあれば、どうぞ遠慮なくお申し出ください」とお伝えし、お客様がサポートを頼みやすい雰囲気作りをしてさしあげることも大切です。

目がご不自由な方への対応は?

続いて目がご不自由なお客様への接客応対を考えて行きましょう。目がご不自由なお客様は、

◆まったく目が見えないお客様
◆視野が狭いお客様
◆ぼんやりとは見えるお客様

とさまざまな症状を抱えていらっしゃいます。

目がご不自由なお客様は、知らない場所での行動はかなり制限され、また不安を覚えられます。

目がご不自由なお客様がご来店される際は、「ここはお客様にとってまったく初めての場所で、行動がかなり制限されてしまう場所だ」ということを認識しておくことが大切です。

そのことを踏まえたうえで、以下のような応対をしてさしあげましょう。

お客様が不安に思うポイントは?

目がご不自由なお客様は、初めての場所では以下のような不安を覚えることが多いようです。

  • 自分のいる位置、進むべき方向は?
  • 触らないと物体の認識が難しい
  • トイレの男女別は?
  • 手書きでの記入が難しい

これらを踏まえて、サロンにこられたお客様にどのようなサービスをしてさしあげるべきか?を考えてみましょう。

サロンでのミーティングで話し合い、サービスの方向性の意見を出し合うのもオススメです。

誘導の仕方は?

まずは、「ご案内いたしますね」と声をかけ、お客様の半歩手前、杖やお荷物を持っていない方に立ちます。次にお客様の手を自分の肩やひじへと誘導し、持っていただきます。紳士がエスコートしていくイメージを持つと、わかりやすいかもしれません。

歩くスピード、周囲の情報をこまめにお声掛けすることで、お客様の不安は軽減されます。

一時的にお客様と離れなければいけないときは、壁や手すりにつかまっていただきましょう。

横になっていただくときは、お客様の手をベッドまで誘導し、ベッドを触っていただきながら、「こちらに横になっていただけますか?」と声をかけます。

お客様はベッドを触ることで、ベッドまでの距離感を測られます。ベッドに腰掛ける動作をされているときは、手助けは必要ありません。

段差、階段がある場合

わずかな段差がある場合は、「段差があるのでご注意ください」とお声掛けし、スピードを緩めてお客様の歩幅を調整してさしあげます。

階段がある場合は、、段に対して直角に近づいて「のぼり(もしくは下り)階段です」と一声かけます。そのまま一段だけのぼって一旦止まりましょう。

お客様が足先で階段を確認できれば、お客様の歩調に合わせて一段先を進みましょう。

昇降中はむやみに立ち止まったり振り返ったりしては危険です。リズムよく移動しましょう。最後の段では、お客様が上る余地を考慮して少々前に止まり、お客様を待つようにしましょう。

お手洗いの説明

お手洗いの手前まで誘導し、

  • 便器は和式か洋式か。位置と向き
  • トイレット―ペーパーの位置
  • 水洗レバーの使い方、位置
  • ゴミ箱の位置
  • 鍵の掛け方

を説明したあと、外でお待ちします。お客様が出てこられたら、洗面台へと誘導してさしあげましょう。

施術説明、お会計の際は

施術の説明は、お客様がイメージしやすいように「○センチを□本」というように具体的数字を提示してさしあげてください。

言葉では限界があります。施術前に実際にマツエクのサンプルに触れていただくのも親切ですね。

お会計ではしっかりと金額を声に出しながらレジ打ちをします。代金を受け取った際は、その金額もはっきりと聞こえるように声に出しましょう。

お釣りをお渡しする際は、お客様がお財布にお金をしまいやすいように「お札→小銭」の順番で手渡ししてさしあげてください。
カード払いの際は、サインの箇所に手を誘導してさしあげましょう。

まとめ

お身体のご不自由な方を施術する際に大切なことは、お客様が何を求めていらっしゃるか、どのようなサポートを必要とされているか、を認識することです。できればご来店の前に、どのようなサポートが必要かを確認しておきましょう。

サービスが不足してしまうとお客様に不安と不満を与えてしまいます。かといって世話を焼き過ぎてしまうと、お客様の心を傷つけてしまいかねません。必要なときに必要な分だけサポートできるように、しっかりとコミュニケ―ションを取ることが大切です。

 

この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事

この記事をシェアする