まつげの生え変わり時期を自分で見極める方法はあるのか
全てのまつげが持つ”毛周期”というメカニズム。お客様の中には、毛周期によって自然にまつげが抜けたとしても「この抜けたまつげって…マツエクのせい?アイリストの技術不足?」と悩む方も多いとか。今回は、過去のBeautéでも取り上げた、毛周期についての応用編。マツエクの質にも大きく影響する毛周期、自分で見極めることは出来るのでしょうか?
自まつげにある毛周期とは
まずは、毛周期について簡単におさらいしておきましょう。毛周期のメカニズムは、まつげの専門家であるアイリストであれば、必ず知っておかなくてはならないこと。Beautéでも過去に詳しく解説しました。参考として、こちらの記事にもぜひ目を通してみてくださいね。
毛周期は、次のようなステップに分かれています。
成長初期 |
・皮膚の中で成長が始まる ・毛の状態は弱く、細くてコシがない状態 ・マツエクの装着は避けるべき時期 |
成長後期 |
・皮膚表面に毛先が出てくる ・毛にコシが出てくるが、まだ短い ・エクステは装着できるものの、2~3週間でデザインが変わりやすい |
退行期 |
・まつげの成長が止まる ・毛は太くて長く伸びきった状態(すぐに抜けるわけではない) ・マツエクを装着する最適な時期 |
休止期 |
・毛が少しずつ抜け始める(次の毛への準備期間に入る) ・毛は伸びきっていて、少しの刺激ですぐに抜けてしまう ・この段階の毛にマツエクを付けるとすぐに取れてしまう |
まつげは、毛周期に従って、一日に約0.1~0.18mmずつ成長し、5本程度は自然に抜け落ちるといわれています。つまり、マツエクというのは、短いスパンで絶えず変化し続けるまつげを土台に装着していくことになりますね。そのため、美しく仕上げるためには、まつげ一本一本の生え変わりの時期を見極め、ベストなタイミングで装着することが理想。果たして、このようなことは可能なのでしょうか。
生えかわり時期を自分で見極めることはできる?
結論から言えば、自分のまつげの生え変わり時期を見極めるというのは、かなり難しいと言わざるを得ません。
鏡を使ってチェックしたとしても、どの毛が生え変わりそうなのか判断できる人はなかなかいないでしょう。
毛周期というのは、「常に同じ本数を保つように”脱毛”と”発毛”を繰り返す」というのが基本的な考え方。つまり、理論上では本数は常に一定の状態で、大きく変動することはないとされています。
しかし、季節によってまつげの抜けやすさや成長スピードが変化したり、その方自身の体調によってまつげの状態が変化するなど、さまざまな要因によって毛周期は日々変動することがあるのも事実。まつげの毛周期については、まだ解明されていない謎も多く、さまざまな説があるようです。そのため、まつげの生え変わり時期を正確に判断することは、例えベテランのアイリストだったとしても難しいでしょう。
しかし、生え変わりの兆候は全くないわけではありません。
- まつげがエクステと一緒に抜けることが増えてきた
- 長いまつげの量が増えてきた気がする
というときは、生え変わりが近いサイン。マツエクに定期的に通う女性であれば、まつげをチェックすることも自然と増えるため、このような変化にも気付きやすいでしょう。ただ中には、このような変化に気付いていない方、そもそも毛周期について詳しくない方もいます。アイリストとしては、このようなお客様に正しい知識をお伝えし、毛の状態に合わせた最適な施術を提供することも大切な仕事のひとつ。ここからは、アイリストとしてできることについて、学んでいきましょう。
アイリストとしてできること
ここまでにお伝えしたように、毛周期というのは一定ではありません。季節、お客様の体質、ストレス、ケアの仕方…など、さまざまな要因が重なって、どうしてもばらつきが生じやすくなってしまいます。中には、毛周期が一定のペースで安定しているというお客様もいますが、どちらかといえば乱れやすい方の方が多いですよね。だからこそアイリストは、お客様の毛周期の特徴をしっかりと観察し、臨機応変に対応できるようにならなくてはなりません。そのためには、次のようなポイントに気を付けてみてみましょう。
毛周期に合わせた施術をするためのポイント
成長後期~退行期のまつげを見極める
マツエクを装着する最適なタイミングは、成長後期~退行期のまつげ。こちらの写真を例に見てみると、赤い矢印の3本が成長しきった退行期の毛になります。
ただ、選別の際に注意すべきは、退行期と休止期の違い。これらの違いは、見ただけで正確に判断することは難しいです。抜ける直前の毛というのは、前処理の段階で抜け落ちてしまうことも多いですが、それだけで確実に選別できるとは言い切れません。
おすすめの方法としては、かき分ける際にツイザーでほんの少しだけ引っ張ってみるという方法。ただし、お客様本人でも引っ張られていることに気付かないほどの力で、ツンっと触る程度に毛を挟むのがポイントです。経験を繰り返すうちに、毛根の強さを瞬時に判断できるようにもなるはず。ぜひ試してみてくださいね。
本数と持続性のどちらを優先させるか明確化する
先ほど、マツエクを装着する最適なタイミングについてお伝えしましたが、そのルールを徹底することで、お客様が求める本数を満たせそうにないというケースもあるでしょう。まずは、ご希望の本数を満たすことと、毛周期に合わせて持続性を高めること、どちらを優先させるべきなのかを明確にする必要があります。
もし、「本数を減らしてもいいので、モチを良くしたい」と要望されたのであれば、成長しきった毛の量を見ながら、お客様と再び本数を擦り合わせすることになるでしょう。
一方、「どうしても本数を優先させたい」場合は、「生え変わり直前の毛に付けることになるため、モチが悪くなってしまう可能性があります」と必ずお伝えするようにしましょう。
お客様に毛周期について理解してもらう
「まつげというのは、自然に抜け落ちて生えてくるもの」、このような事実は、毛周期の知識を身に付けたアイリストにとっては、自然と受け入れられることですよね。しかし、お客様にとっては、必ずしもすんなりと受け入れられることではないかもしれません。
例えば、朝起きて目をこすったとき、指にまつげがついていたら、どんな気持ちになるでしょうか?多くの女性にとって、まつげが抜けるというのは、少なからずショックを受ける出来事。「毛周期による自然脱毛」だと納得するよりも、「貴重なまつげを抜いてしまった」と感じる方の方が多いのではないでしょうか。特に、マツエクをしている女性の中には、「マツエクを付け始めたから、まつげが抜けたのかな…」「マツエクはもうやめた方がいいのかも…」と不安になる方もいるでしょう。このようなお客様の悩みは、できるだけ解消してあげたいですよね。
そのためには、サロンでのカウンセリングや施術中の会話の中で、お客様に毛周期のことを説明してあげることが大切です。
具体的には、
- 前処理のときに抜けたまつげを、ティッシュにとって見せてあげる
- 伸びきった毛を写真に撮って見せてあげる
といった方法があります。この際には、「少し触っただけで抜け落ちてしまう毛が多いです。新しい毛が生えてくる前のようですね。」というように、毛の状態についての説明を挟みながら、お伝えするといいでしょう。いずれにしても、「そろそろ生え変わりの時期が近付いていること」と、「毛が抜けやすくはなるが、自然なことなので心配いらない」ということが、しっかりと伝わればOK。毛周期について丁寧に説明することは、マツエクによる負担やアイリストのスキル不足によってまつげが抜けたと思われないためにも必要なこと。それどころか、「まつげの状態に合わせて施術をしてもらえている」と感じてもらうことで、お客様の信頼を得ることにもつながるでしょう。
まとめ
毛周期というのは、マツエクにとっては切っても切り離せないもの。生え変わりの時期を明確に把握することは難しいですが、今のまつげの状態を見ながら、最適な施術を心がけることは可能です。お客様の中にも毛周期について詳しい方が増えれば、「まつげに負担の少ないデザイン」を提案する際に、共感を得られやすくもなるでしょう。お客様に、まつげの状態について正しくお伝えできるようになるためにも、毛周期への理解をより深めておきたいですね。
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