マツエクリペア時、残っているエクステがポロポロ取れる原因とは?対策方法もチェック

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お客様がリペアに来られた際、残っているエクステを確認させていただくと、ツイザーでちょっと触れただけでエクステがポロポロと取れてしまった。そんな経験を持つアイリストも多いのではないでしょうか。前回の施術から現在までは持続していたはずなのに、なぜちょっと触れた程度で、残っていたエクステがポロポロと落ちてしまうのでしょうか。その原因と対策について詳しく検証していきましょう。

残っていたエクステがポロポロと取れてしまうのはなぜ?

リペアに来られたお客様を対応する際、前回装着したエクステがどれぐらい残っているのか確認作業が必要となりますよね。その際、ツイザーで自まつげを選定しながら確認しますが、このときにちょっと触れただけでエクステだけがポロポロと取れてしまった。そんな現象を目の当たりにした人は意外と多いのではないでしょうか。

これまでにBeautéでは、マツエクのモチに関する情報をたくさんお届けしてきましたが、「施術を受けたばかりなのにエクステがすぐ取れてしまった」、「モチが悪い」などの悩みに関するものがほとんどでした。その理由としては、

グルーが完全硬化する前の段階で、水に触れさせてしまった
スキンケアアイテムとグルーの相性がよくなかった
不十分なメイク落としによって汚れが蓄積していた
無意識に目元を触ってしまっていた
装着時の自まつげの選定ミスによるもの

など、さまざまな原因が考えられるとご紹介してきました。モチが悪くなる原因は、こちらの記事でも取り上げています。

しかし、今回は前回の施術時からリペアに来られるまでの一定期間は残っていたはずなのに、ツイザーで触れた程度のちょっとしたアクションで、ポロポロと取れてしまったという特殊なケースです。
通常であれば、残っているエクステが日を追うごとに徐々に取れていってしまうことはあっても、同じタイミングで一気にポロポロと取れてしまうことはありません。このケースでは、エクステと自まつげの間にゆるみが生じてしまったためであり、エクステの密着力を弱めてしまう何らかの行為があったという証。適切なケアができていれば、リペア時でも一部のエクステは残っている状態で、そのエクステを活かしたデザインができるもの。施術時間も短縮できるうえ、お客様に負担していただく施術料金も抑えることができますね。
では、具体的にどんな行為が密着力を弱めてしまっているのでしょうか。次で詳しく考察していきましょう。

グルーの密着が弱まってしまう原因とは?どんな対策ができる?

グルーの密着力を弱めてしまう原因にはさまざまなNG行為がありますが、それらは主に「摩擦」「湿度や温度」の、いずれかが起因しているものと考えられます。それぞれを詳しく解説していきましょう。

原因①:摩擦によるもの

目元をかいてしまったり、寝姿勢がうつ伏せ寝で枕や寝具でエクステがこすれてしまったりといった行為も摩擦が起きてしまう原因。しかし、これらがエクステにかけてしまう負荷はとても大きなものであり、その瞬間にエクステが取れてしまったり、短時間で取れてしまったりすることがほとんど。今回のケースで気をつけなければいけないのは、日々何気なく行っているような行為が原因で起きてしまっている小さな摩擦です。
こちらの記事でも紹介していますが、

接着されているグルーが剥がされてしまう力のかかり方は、大きく分けると4タイプあります。

引っ張り:上下に引っ張られる力

引っ張りせん断:ずれる力

割裂:端から引き剥がされる力

剥離:まくれ上がる力

この中でもグルーが最も弱点としているのは「剥離」です。剥離は、引っ張りの力の約40~1000倍剥がれやすいとされているのが特徴。つまり、グルーは引っ張る力には比較的耐性はあるものの、摩擦には弱いと言えます。そのため、ちょっとした摩擦でもグルーの密着力は弱まってしまう可能性もあるのです。
たとえば、以下の項目はあまり意識していない人が多いですが、剥離を起こしやすくしてしまいます。

・シャワーの水圧がいつも強めの人

入浴時、「クレンジングをやさしく行う」、「タオルでゴシゴシしない」などの点には気をつけていても、シャワーの水圧についてはあまり気にとめていない人が多いもの。特にエクステは左右の刺激から弱い性質があるため、四方から圧がかかってしまうシャワーで、なおかつ圧が強いとなると密着力を弱めてしまう原因となります。夏の暑い季節にはシャワーのみで入浴を済ませてしまう人も多くなるため、シャワーの圧を弱めにしたり、洗顔時は桶にぬるま湯をためてすすぎ洗いしたりするように、お客様に注意喚起してあげるとよいでしょう。

・前髪がまつげにかかる長さの人

一見、関係しているようには見えない前髪とマツエクですが、前髪の長さがまつげにかかる長さの場合、エクステにも負荷がかかっていると考えられます。前髪は軽いものであるため、大きな摩擦が起きているわけではありませんが、毎日摩擦がかかっているとなると密着力を弱めてしまう可能性も大いにあります。もし、ポロポロと取れてしまう現象が見られたら、まずはお客様の前髪の長さをチェックしてみてください。そして前髪の長さが原因としてあてはまりそうな場合には、「前髪を短くしたり、サイドに流してまつげにあたらないようにしてみたりするのも方法ですよ」とお伝えしてあげるようにしましょう。

・奥二重の人や加齢でまぶたが垂れ下がってきている人

奥二重の人やまぶたが重い人、また加齢によってまぶたが垂れ下がってきている人の場合、まばたきによってエクステの根元に摩擦が起きてしまっていることも。そうなると、エクステにバラつきがでたり、密着力が弱まってしまったりする可能性も考えられます。この場合は、マツエクのデザインを工夫してあげることが大切です。接着部分が比較的直線となっているL字カールのマツエクデザインなら、摩擦を軽減することができるため、お客様の目元の特徴をお伝えしたうえで、デザイン提案を行ってみるとよいでしょう。

原因②:湿度や温度によるもの

マツエクは、高温多湿に弱い性質を持っています。最近では硬化時間が短いもの多く出てきているとは言え、装着後最低でも5時間ほど水に濡らしてはいけない、ということは、周知の事実。しかし、グルーが乾いた後であっても、長時間高温多湿の場所にいるというのは、あまり好ましいことではありません。完全硬化後であれば、湿度というよりは温度が特に気になります。
過去にもBeauté記事内で紹介しましたが、グルーの主成分が持つ特徴は、接着剤で有名なアロンアルファとほぼ同等と考えられています。アロンアルファが発表している商品特徴を見てみると、室温50度、湿度95%の環境下では、約100時間の4日程度で強度が低下したことが認められたとの実験報告も。また、一般的なシアノアクリレート系瞬間接着剤の耐熱性は、約80℃とも示されています。
たとえば、

サウナや岩盤浴が趣味で高い頻度で通っている人
アレルギーや風邪症状、仕事などの理由で日ごろマスクを装着している人
ホットヨガに通っている人
長風呂が好きな人
料理系が仕事で火を使う場所によくいる人

などは、高温多湿な場所にいる時間が通常の人より長めです。このような湿度環境に長時間さらされたエクステは、接着強度や持続力が通常よりも弱くなってしまう可能性も考えられます。
対策としては、高温多湿な場所になるべくマツエクをさらさないというのが、ベストな方法です。しかし、仕事柄どうしても避けられないという人や趣味も大切にしたいという人もいるでしょう。その場合は、

ドライヤーの冷風機能を使って、自まつげとエクステをしっかり乾かす
防水効果のあるコーティング剤を使用する

などの方法が有効です。ドライヤーを使った方法は、自宅で簡単にできるのがメリットですが、この際ドライヤーの風が強かったり、近い距離からあててしまったりすると逆効果に。まつげから30㎝程度離して弱風をあてるように、正しい方法についてもしっかりお客様にお伝えしてあげるようにしましょう。
また、仕事柄高温多湿な場所にいる時間が長いお客様の場合には、コーティング剤の使用がおすすめです。コーティング剤は、保護膜が水分をはじいてくれるだけでなく、摩擦を軽減してくれる効果も期待できます。ポロポロとエクステが取れる現象が見られた場合には、施術時にコーティング剤のオプションメニューをいっしょに勧めてみるようにしましょう。この際、エクステが高温多湿に弱い性質があること、そのうえでお客様の職業柄コーティング剤が有効であることなどをお伝えできるとよりよいでしょう。

コーティング剤については、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ

今回の、アイリストがエクステの残りを確認する際にポロポロと落ちてしまったというケースでは、お客様自身ではマツエクのモチに何らかの影響が出ているとは認識されていない場合がほとんど。お客様にこの状態をしっかりお伝えしてあげないと、「さっきまでエクステはたくさん残っていたのに、結局いつも通りの施術本数になって料金も変わらなかったな…」と不信感につながってしまうこともあるかもしれません。まずは、エクステの密着力が弱まってしまっていた事実をお伝えし、そのうえでヒアリングを行ないながら考えられる原因をいっしょに探っていくことが大切。お客様にとってプラスとなる情報をできるだけたくさん発信できるよう、このような事態にもしっかり知識を備えておきましょう。

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