「妊娠中ってまつげ美容液はつかえるの?」どんな成分が使用不可なのか知っておこう
抜け毛で悩まれることが多い妊娠中のお客様。妊娠中も基本的にまつげ美容液は使えますが、成分によっては使えないものもあるため、おすすめする際には注意が必要です。
今回は、妊娠中に気をつけたいまつげ美容液の成分や、選ぶポイントについてご紹介します。
妊娠中はなぜ抜け毛が増える?
妊娠中は、抜け毛が増えるとよく言われます。髪の毛だけでなく、眉毛やまつげも抜けることがあり、相談を受けたことがあるアイリストもいるのではないでしょうか。
妊娠中の抜け毛について、考えられる原因は以下の3つです。
ホルモンバランスの乱れ
妊娠中増加するのが、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンです。エストロゲンは毛の成育を助ける働き、プロゲステロンは毛の生え変わりのサイクルに作用する働きがあります。両方のホルモンが影響するため、妊娠中は毛が増えたと感じる方もいれば、サイクルが乱れ、抜け毛が増えたと感じる方もいるようです。
そして、産後になるとエストロゲンが急激に減少するため、さらに多くの女性が抜け毛の症状に悩まされることに。人によっては妊娠から2年近く、ホルモンバランスによる抜け毛の症状が続くことがあるようです。
栄養不足
妊娠中は、母体から胎児にたくさんの栄養を届けなければいけません。妊娠中の女性の血液は絶えず胎児のもとへと運ばれ、栄養を吸い取られているようなもの。そのため、栄養不足や貧血を引き起こしやすいのです。
また、つわりがひどく、食事が思うようにとれないことで栄養不足に陥る女性もいます。
体に栄養が行き渡らないと、当然髪の毛にも栄養は届きません。そのため、髪の毛は細く、抜けやすくなってしまいます。
ストレス
妊娠している女性はストレスを感じやすくなります。赤ちゃんの成長への不安、体が思うように動かないもどかしさ、ホルモンバランスが崩れて感じるイライラ…。
たくさんのストレスは体の血行を悪くし、抜け毛を引き起こします。また、一部分だけごっそり抜け落ちてしまう、いわゆる円形脱毛症のような抜け方もストレスによるもの。抜け毛がさらにストレスになり、負のスパイラルに陥る女性もいるようです。
抜け毛を気にする妊娠中のお客様には、不安を取り除くために、しっかり抜け毛の原因について説明しましょう。
また、必ずお客様にお伝えしておきたいのは、妊娠中の抜け毛は産後、時間が経てばおさまってくるということです。一時的な抜け毛のために、思い悩んだり過剰なケアをしすぎたりすると、妊娠中の体にも胎児にも良い影響がありません。
とはいえ、毎日抜けていく毛を見るたびにどうしても気になってしまうという方も多いはず。「気にし過ぎは良くないですよ」とアドバイスすることが、逆にお客様にとってストレスになることもあります。そんなとき、妊娠中も使えるまつげ美容液をご提案すれば、お客様の不安を和らげる助けになるかもしれません。お客様が安心できる言葉をかけながら、やさしいまつげケアをおすすめしてみましょう。
まつげ美容液選びで、気をつけるべき成分とは?
妊娠中にまつげ美容液を選ぶときは、成分によって母体・胎児のどちらにも悪影響を与える可能性があるため、十分気をつけなければなりません。
そのなかでも特に、下記のような育毛剤にも使われている成分には注意が必要です。
ミノキシジル
育毛剤で有名な成分、ミノキシジル。もともと血圧を下げるために開発されたため、心臓に負担がかかる副作用があります。基本的に飲むタイプの育毛剤に多く使われていますが、まれに塗るタイプのまつげ美容液で使われていることも。間接的に胎児の心臓にも影響する可能性がないとはいいきれません。使用は避けましょう。
ビマトプロスト
緑内障の目薬に使われている成分ですが、まつげが生える効果が認められ、医薬品のまつげ育毛剤によく使われています。ただし、妊娠中の使用について、安全性は確立されていないため、使用は控えたほうが良いでしょう。
まつげ育毛剤は医薬品、まつげ美容液は化粧品と分類されることが多いのですが、ネットによっては、まつげ育毛剤とまつげ美容液を混同して紹介している場合もあります。成分表示には、十分注意してください。
フィナステリド
フィナステリド(薬品名:プロペシア)は主に男性用育毛剤の成分で、女性の使用は禁止されています。妊娠中に飲んだり触ったりすると、男の子の胎児に影響を与えてしまうため、厚生労働省が注意喚起をしている成分です。現在、この成分が使われているまつげ美容液はありませんし、今後もないとは思いますが、育毛にも関わるアイリストとして、知識のひとつに加えておきましょう。
妊娠中の方にまつげ美容液をおすすめするとき、「育毛」効果のあるものはNG成分が含まれている可能性が高いため注意が必要。ただ、効果をうたっていなくてもNG成分が含まれていることがあるため、使用前には必ず表示を確認してください。輸入品の場合は、日本と表示ルールが異なる場合も考えられます。海外で買った製品などは十分注意しましょう。そういった意味では、信頼の置けるルートで購入することも、お客様への信用につながります。
もし使用に迷うときは、使わない方が賢明です。お客様の強い要望があった場合は、医師に相談するようおすすめしてください。
まつげ美容液を選ぶとき、使うときのポイント
上記の成分が使われていなければ、基本的にまつげ美容液は妊娠中のお客様にも使っていただくことができます。ただし、妊娠中は肌が敏感になっているため、まつげ美容液を使う際には、ほかにも注意したいポイントがあります。
肌に刺激を与えやすい成分を避ける
前述したように、ホルモンバランスの乱れやストレスなどで、妊娠中の女性の肌はいつも以上に敏感になっています。ちょっとした刺激で肌荒れだけでなく体調不良を引き起こすこともあるため、下記のような刺激を与えやすい添加物には気をつけましょう。
- パラベン、エタノールなどのアルコール
- 香料
- 着色料
- 合成界面活性剤
- 鉱物油
- 防腐剤
最近は研究が進み、肌にやさしい界面活性剤や防腐剤もあるようですが、妊娠中は何が刺激の引き金となるかわかりません。ちょっとした匂いにも敏感になる方が多いようです。十分注意して選びましょう。
天然の成分など、安心できるまつげ美容液を選ぶ
できるだけ自然の素材で、シンプルな処方のまつげ美容液ほど刺激は少ないと言われています。最近では、妊娠中でなくとも肌へのやさしさを気にするお客様が多く、天然由来の成分を使ったまつげ美容液が増えてきました。商品の表記に、妊娠中も使えると書かれているものもあるため、選びやすくなっています。
まつげ美容液の使用期限を守る
妊娠中のお客様を感染症などから守るためには、使用期限を守ることも大切です。まつげ美容液は開封後3ヶ月が使用期限と言われていますが、肌にやさしい防腐剤フリーの美容液などには、使用期限が短いものがあるので、気をつけましょう。
また、お客様がご自宅で美容液を使う際にも注意していただけるよう、ひとことお伝えすると好印象を持っていただけます。
まとめ
特定の成分さえ避ければ、妊娠中のお客様も、まつげ美容液は使用できます。成分に注意し、安心して使えるまつげ美容液をおすすめしてくださいね。「オーガニックなものだとなにがおすすめですか?」などの具体的なご相談だけでなく、「妊娠してから抜け毛が気になって…」など、会話の糸口は様々かもしれません。
それぞれに対して自信をもってご提案できるとお客様の安心感も違いますよね。
また、妊娠中のお客様はストレスを抱えやすいもの。施術の際は、お話にしっかり耳を傾け、気持ちに寄り添った言葉で答えられるよう心がけられるといいですね。 190705Eay