「強み」だけ見て生きていく。あなたの強み・スタッフの強みを最大限に活かす方法とは
自分の強みを見つけることができる「ストレングスファインダー」。今、突然に「あなたの強みは何ですか?」と聞かれても、具体的に応えられない人は多いのではないでしょうか。今回は、アイリストとして、一人の社会人として自分を高めるために考えておきたい心理学的思考がテーマです。“強みを伸ばして成長する”ストレングスファインダーとは何か、サロンマネジメントや業務での活かし方を考えていきます。
「強み」を見つける!?ストレングスファインダーとは?
みなさんはストレングスファインダーをご存知でしょうか。ストレングスファインダーは直訳すると「強みを発見する(STRENGTHS FINDER)」となります。
これはポジティブな心理学を提唱した学者ドン・クリフトンが提唱したもので、
人は自分の弱みを改善するよりも、自分の強みに意識を向けそれを活かすことで最大の能力を発揮する
引用元:ストレングスファインダー®とは | ストレングス・ラボ
という概念から開発された性格診断を指します。
とりわけ日本人は「弱点探し」「弱い部分を直していく」と考える人が多いです。アイリストのみなさんも日々の業務や業務外での生活を見直すとき、
と考えることはないでしょうか。もちろん、改善点や弱みを知り、自分のデメリットをメリットに変える力は大切です。
しかし、今回ご紹介したいのは「強みを見つける」方法。ここでいう強みとは“才能”のことです。人それぞれ異なるその人にしか持っていない才能を見出し、そこを伸ばすことで、日々の業務や周囲の人間関係がより最適化することがあります。
ストレングスファインダーの診断を受けるには、
◆インターネット上で診断ができるツールを利用する
◆スマホアプリを利用する
この3つの手段が一般的です。ただし、いずれも2,000~10,000円ほど診断料がかかるため、無料で診断ができるわけではありません。
診断を受けるツールによって診断の結果は微妙に異なりますが、人間の持つ34の資質(生まれながらにして持っている優れた能力)のうち、上位5~10番目の資質が分かります。
ただ、お金をかけて性格診断をする機会は少ないですよね。「興味はあるけれど、まずは無料でどういうものなのかを試したい」という人は、株式会社リクルートが転職者に向けて提供している「リクナビNEXTグッドポイント診断」 がおすすめ。この診断は、ストレングスファインダーの基本的な考え方を基礎として進めていくものです。
画像元:リクナビNEXT
いくつかの質問に答えるとあなたの資質が分かります。最低でも30分はかかるため、時間のあるときにぜひ試してみてください。
有料のストレングスファインダーでは「自身の資質が判った上での、資質の活かし方」を学べますが、無料診断では資質のみしか分かりません。つまり、活かし方はあなた次第です。
今回は、まず人間の資質を大きく4分類してどのようなものかを説明し、その活かし方をサロン業務に当てはめた場合をご紹介します。これが全てではなく一例ですが、サロンマネジメントや業務に活かすヒントとなるかもしれません。
人には、大きく分けると4分類の資質がある
ストレングスファインダーで分かる強み=人間の資質は、大きく分けて4種類です。
画像元:ハート・ラボ・ジャパン
①実行力
②影響力
③人間関係
④戦略的思考力
ここから細分化し、厳密にいうと34の資質に分かれるのですがグループ分けには、「その人のニーズや欲求がどこにあるのか」を示す役割があります。上位にどのような資質が多いかで、
・その人の在り方
・醸し出す雰囲気
が変わってきます。自分の強みだけでなく、他人の強みを見つけることができればより業務に活かせそうですよね。この資質を見る際は「自分の強みはどれかな?」と考えると同時に身近なサロンスタッフを思い浮かべ、「あの人の強みはどれかな?」ということもイメージしてみてください。
では、4つの資質の特徴をひとつずつ見ていきましょう。
①実行力:物事を完遂する資質
実行力はその名の通り、
◆完遂したい
という資質です。この資質を持つ人は物事に対する考え方がきちんと整理されており、冷静沈着な性格が多いです。周囲から「しっかりしている」と言われるのはこの資質の持ち主。端的に言うと“さばけそう”なイメージがあります。責任感・芯が強く、一度決めた軸はぶれることがありません。
②影響力:人の心を動かす資質
活発で社交的な影響力の資質を持つ人。
◆人を動かしたい
という考えを持っています。抽象的な表現ですが、この資質を持つ人はいわゆる“カリスマ性”が高く、周囲の人へ影響を与える発言・発信力が魅力的です。コミュニケーション能力にも長けており、「声が良く通る」「身振り・手振りのリアクションが大きい」など、特徴的でもあります。外に発するエネルギー量が多いのが影響力の資質です。
③人間関係:ポジティブで温厚な資質
◆関係性を築きたい
そんな、人間関係の資質。人と人との関係性構築に長けており、潜在的に人を喜ばせることができます。温かな印象を持ち、他人との間に壁を感じさせないのがこの資質の特徴。リスクやデメリットを考えて行動するよりも、ポジティブに行動するタイプが当てはまります。
④戦略的思考力:考える力が高い資質
戦略的思考力の資質は、分析や構想・着想力が高い人が持っている場合が多いです。
◆頭脳活動をしたい
と思う人こそ、戦略的思考力の持ち主。行動に移す前に一度「自分の思うように進むのか」と考え、未来を見据えるという強みを持っています。性格的には物静かで思慮深い人が多いようです。
このように、資質はその人の在り方や雰囲気、エネルギーの方向性に現れます。その人が「何を大切に生きているのか」が分かるわけです。
言い換えれば、強みを伸ばすということはその人らしさを活かす、ということ。
「強みを伸ばす」とは反対の「弱みを見つけて直す」ことは、実はかなりのエネルギーを使います。そして、年齢が上がり人生経験を重ねるごとに自分の軸が定まってくるため、「弱みを見つけて直す」ことは難しくなるのです。
つまり、「あなたの弱い部分は○○だからこれを直そう」と言われると、人は難しさから苦手意識を感じがちです。しかし、「あなたの強みは○○だからこれを伸ばそう」と言われれば、できるかもしれないという意識に方向転換することができます。
これをサロンマネジメントや実際の業務に活かすと、スタッフ一人一人の個性を活かしながら、より良い環境が築けそうですよね。
次は、この資質をサロンマネジメントや業務でできる活用方法を一緒に考えていきましょう。
サロンマネジメントやサロン業務に置き換えた活用方法とは?
アイリストとして働く上で、また、サロンを運営する上で、資質に合った役割を各スタッフに分担させることで、運営を円滑に進めることができます。強み=資質を知って活かすにはふたつのポイントがあるのです。
②自分の強みを他人に使う
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
①資質の特徴・傾向性を理解する
先ほどご紹介した4つの資質。これを理解し、サロンでの業務に当てはめると、例えば以下のことが考えられます。
実行力の資質
ノルマやマイルストーンの達成に励むことができる。やるべきことをやる強みを生かすべく、「プレーヤーとしてのアイリスト」向き
影響力の資質
周囲の人間やお客様に良い影響を与えることができる。発信力も高いため、「インスタグラムなどのSNS担当、広報担当」向き
人間関係の資質
他スタッフと良い関係が築ける。スタッフ間の“対人関係”を感じ取る力もあるため「店長やリーダー」向き
戦略的思考の資質
ひとつの物ごとを理論的・戦略的に考えられる。サロンの運営を任せることもできるため「マネージャーや経営者」向き
これはほんの一例なので、一概には全てどれかに当てはまるわけではありません。資質がそもそもカテゴライズされている意味は、「この人はおおよそこんな人」という予測を立てるためでもあります。
資質それぞれに向いている担当をスタッフに当てはめ、真の適材適所を見つけることこそ、強みを効果的に活用する方法のひとつです。
また、資質が分かれば強みとして積極的に活かしていきましょう。強みを伸ばすためには、まずは活かしていかなければなりません。
②自分の強みを他人に使う
例えば、サロン内でスタッフ全員がチームとなり、キャンペーンを行うとしましょう。
このとき、「どのようなキャンペーンにするか」は物事の戦略をかんがえる考えることが得意な戦略的思考の資質を持つ人が適しています。ただし、考え過ぎることで実行力に欠けてしまうシーンも考えられますよね。そこで、実行力の資質を持つ人が必要です。
宣伝や広報をするなら影響力の資質を持つ人が担当し、期間中は人間関係の資質を持つ人がスタッフ間のモチベーションを保つなど、自分の強みを人に使うことでうまく活用していくことができます。
そして複数の人間が同じ目標を持ち業務に当たる協働をすることにより、大きなシナジー効果が生まれます。これが、強みを伸ばすことのメリットです。
まとめ
自分の能力を高める、より人間的に飛躍する。こうした目的のためには「弱み分析」も必要ですが、今回は反対に「強みを伸ばす」方法をご紹介しました。この強みを伸ばす方法は主に転職活動や進路決定など自分の行くべき道を決定するシーンや、マネジメントの現場で活用されています。ストレングスファインダーをまだ知らなかった人は、ぜひサロンマネジメントや業務の中で使ってみてくださいね。190401E3s