固定店を決めずに、新規来店を繰り返すカスタマーの心理とリピート化の方法
マツエクサロンでは、新規顧客獲得のために“ご新規様クーポン”などを発行しているところも少なくありません。
どんなにリピートにこだわりがあるサロンだとしても、そもそもの新規来店がなければ、固定客化させることもできません。しかし、お客様の中には新規客としていろいろなサロンを渡り歩く人がいるのも事実。
今回は、新規でサロンをコロコロ変える人の心理とリピート化へのヒントについて迫ってみたいと思います。
初回クーポンで色々なサロンに行く理由
いろいろなサロンを渡り歩くお客様は、“初回クーポン”でお得に施術を受けたいという人も少なくありません。
お得にマツエクの施術を受けたいという人にとっては、一つのサロンに通い続けることなく、初回クーポンを使ってサロンを渡り歩く方が、メリットが多いというケースもあるのです。
「渡り鳥」と呼ばれるお客様は増加傾向にある
マツエクサロンや美容室、ネイルサロンなど、美容メニューを提供しているお店で増え続けているのが「渡り鳥」と呼ばれるお客様。“渡り鳥”とは、行きつけのお店を作らずにその都度新しいお店へ足を運ぶ人のことを指す言葉です。
渡り鳥と呼ばれるお客様が増えている要因のひとつに、初回割引の制度を設けるお店が増えたことが挙げられます。初めて来店されるお客様が足を運びやすいようにという思いから、初回割引のクーポンを発行しているサロンがほとんど。しかし、よかれと思って生み出されたこのサービスが、固定客化を遠ざけている要因にもなっているのです。
女性向けマツエクの市場規模は、1200億円ほどに上るともいわれており拡大の一途をたどっています。男性向けのマツエクも拡大が見込まれており、サロンの数はこれからもますます増えていくことが予想されますが、そうなると初回割引クーポンを発行するサロンもどんどん増加していきます。
サロン間でのお客様の取り合いが加熱すると初回割引率がより上がったり、割引商品のバリエーションが増えたりと、価格重視で”渡り鳥”をされるお客様は一層増えることが懸念されます。
初回クーポンで“初回×割引”という言葉をインプットさせてしまっている
お客様にサロンのことを知ってもらうために、ホットペッパービューティーなどの媒体を利用しているところも多いことでしょう。しかし、マツエクサロンの数は増加の一途を辿っているため、数あるサロンの中から選んでもらうには、目玉となるようなメニューを打ち出しておかなければいけません。
そこで、大半のサロンが武器として使っているのが“初回割引クーポン”。「初めて来店の方は○○%割引します!」など、まだサロンのことを知らないお客様の目につくよう、割引クーポンを発行しているサロンが多いでしょう。
もちろん、この作戦が功を奏してサロンへ来店されるお客様の数が増えることもあるでしょう。しかし一方で、リピートしてもらえずになかなか固定客の数が増えないという悩みの種となる可能性もあるのです。
サロンのことを知ってもらうきっかけ作りのために発行している初回クーポンが、なぜリピーターとなるお客様の数を減らしてしまっているのか。それは、初回クーポンが“割引”や“安さ”を強調していることに理由があります。
初回クーポンを見たお客様は、“安くマツエクがつけられる”という目的を達成するために、サロンへ予約を入れます。予約当日、施術が終わればお客様は初回割引クーポンを利用して“安くマツエクをつける”という目的が達成します。お客様の目的はそれで終わりで、そのサロンへ続けて通おうとは、はなから思っていないのです。
“初回×割引”という言葉を印象づけすぎてしまうと、リピートする気のないお客様を引き寄せてしまうということも頭に入れておかなければいけません。
リピーター割引などの制度を使って固定客化を目指す
とはいえ、初回割引クーポンはサロンに新規のお客様を呼び寄せるための有効な手段であることは間違いありません。初回割引クーポンで新規のお客様を増やしながらも、リピート率を上げるにはどのような方法があるのかを知っておくことが大切です。
具体的には、
◆初回割引クーポンの安さだけをアピールしすぎないこと
◆リピーター割引などについても明記する
◆〇回以上の来店で〇%OFFなどの割引制度を作る
などの方法が有効です。
初回割引をアピールしすぎると、先ほどお伝えしたように初回割引の価格にだけ魅力を感じるお客様が集まってきやすくなります。サロン自体ではなく、初回割引の価格にだけ目が行ってしまっているので、固定客化させることは難しくなるのです。
初回割引クーポンの価格に魅力を感じて来店されたお客様にもリピートしてもらうには、2回目以降の来店時にも割引があることをお伝えするのがベスト。「2回目以降も割引があるのなら、もう一回くらい来てみようかな」と思ってもらうことが、リピート率アップへの近道です。
お客様に知ってほしい、正しく伝えたい。「リピートするメリット」
クオリティの高い施術を、お得な値段で受けたい。こう考えるのは、誰しも自然なことだと思います。初回割引クーポンを発行するサロンが多いのも、お客様の“お得にいいメニューを受けたい”という気持ちに応えようという気持ちから。
しかし、サロンとしては一度来店されたお客様に2回目3回目と、長く通ってもらうことが最終的な目標となります。
初めて来店されるお客様に長く通ってもらうには、“リピートすることのメリット”をきちんと伝えられるかどうかが重要なポイントとなるのです。
↓リピーター獲得についてはこちらの記事もチェック!
ポイントその①「まつげのクセをしっかり理解してもらえる」
新しいサロンを点々とする。その流れが当たり前になると、起こってしまいかねないのがデザイン相違のトラブルです。
一つのサロンに固定していないため、アイリストも当然毎回違う人が担当することになります。サロンによっても施術に対しての細かい方針が異なることから、同じようなデザインでお願いしたのに前回と全く違う印象になった…というトラブルも起きかねません。
一方、一つのサロンに通い続けるとサロン内でお客様の情報を共有することができます。アイリストを指名することもできるため、お客様の好みやまつげのクセなどもしっかり把握することが可能に。“まつげの生え方は人それぞれ違う”ことや、“お気に入りのデザインを把握できる”ことなどを伝えて、お客様にリピートすることのメリットを理解してもらいましょう。
ポイントその②「まつげに関する悩みを的確に解決してもらえる」
マツエクサロンを一カ所に決めておくと、アイリストがお客様のまつげに関する悩みを施術のたびにヒアリングすることができます。いろいろなサロンを点々としているお客様の中には、“結局どこに行ったって一緒”という考えを持っている人も少なくありません。
そのような考えを持つお客様にリピートしてもらうには、「このサロンは他のサロンとは違う」と感じてもらうことがマストとなります。お客様が抱えているまつげに関する悩みを解決してあげることができれば、リピートしてもらえるだけでなく、サロンの大ファンになってもらえる可能性もアップ。まつげの専門家であることをしっかりアピールできるアイリストであることが、リピート率アップのコツなのです。
ポイントその③「モチを意識するなら断然リピートがおすすめ」
同じお客様を担当することで、“1回目には分からなかったことが2回目、3回目に分かった”というのはアイリストにとってあるあるなできごと。毛周期や抜けやすい場所などに関しても、何度かそのお客様の施術を担当することで明確になってきます。
お客様が“モチの良いエクステをつけたい”と思っているのであれば、自分のまつげをよく知ってくれているアイリストに施術してもらうのがベスト。回数を重ねるごとにアイリストがお客様のまつげにある長所・短所に気づけるので、まつげの特性に合わせて施術を行なうことができるのです。
初めてのサロンを点々としてしまうと、パッと初めて見たときのまつげの状態が、アイリストにとっての全ての情報となります。アイリストによっては、“このまつげはこうなるかもしれない”という予測をせずにエクステをつけてしまう人もいるかもしれません。
そうなると、エクステをつけた当初の見た目は良くても、“モチ”という観点から見れば最悪な仕上がりになってしまいます。
“モチを良くするためにも、次回来店時の状態をしっかりチェックさせていただきたい”など、モチを意識するためにもリピートしてもらいたいということを伝えていきましょう。
まとめ
初めてのお店を点々とすることは、お客様自身が選ぶことなので、一概に悪いことではありません。しかしアイリストの立場からすると、お客様のまつげを責任持って見守り続けたいと思うものです。
価格的な面だけでサロン選びをせずに、まつげケアの観点からもぜひリピートしていただきたいということをどれだけアピールできるかが、リピート率アップへの近道だと言えます。191220Eue