「冬はマツエクのグルーが扱いづらい…」グルーの硬化のしくみを再認識しよう
冬場にマツエクの施術をしていて、「いつもよりグルーが扱いづらい気がする」と感じるアイリストは意外と少なくないようです。そこで、「グルーの保管方法に問題があるのではないか?」「グルーの成分自体が以前と変わったのではないか?」と考え、いろいろと試行錯誤をしている人もいるでしょう。実際のところ、冬にグルーが扱いづらいと感じるのは、なぜなのでしょうか?その原因と対策について解説していきます。
季節による使用感の違いの原因は?
冬に限らず、グルーは季節によって微妙に使用感が異なる場合がありますよね。ベテランのアイリストであれば、長年の経験からこの変化の原因や対策を心得ている人も少なくないでしょう。一方、アイリスト歴が浅い新人などの場合、急な変化に「あれっ、劣化した?」「何が原因なのだろう?」と戸惑いを感じてしまう人もいるかもしれません。
このようなグルーの使用感の変化には、グルーの硬化のしくみが大きく影響しています。
グルーが硬化するしくみ
まずは、グルーが硬化するしくみについて再度確認しておきましょう。マツエク用のグルーは、ブチル系・エチル系のいずれも、「シアノアクリレート」が主成分です。このシアノアクリレートが、空気中や自まつげに含まれるわずかな水分と反応することで、急速に硬化し、自まつげとエクステを接着してくれるのです。
このため空気中やまつげに含まれる水分量のちょっとした変化が、硬化速度、つまりグルーの使用感を大きく左右します。
それでは、グルーが硬化するしくみを念頭 に置いたうえで、季節によって変わる、グルーの使用感の変化について見てみましょう。
湿度の高い梅雨~夏の時期
梅雨から夏にかけては、湿度が高くなる季節です。そのため室内の湿度も高くなりがちで、その影響を受けて、グルーの硬化速度が速くなるケースも考えられます。単に施術中にグルーがすぐ硬化するだけであれば、特にグルーの扱いづらさを感じるということもないでしょう。ところが硬化速度が通常より速まると、グルーの耐久性が落ちてしまい、その後のマツエクのモチが悪くなることがあります。そのうえグルーが反応する水分量が多すぎることで、まつげの根元部分が白くなってしまう「白化現象」も起こりやすくなるので、注意が必要です。
これらの現象を防ぐために、湿度の高い時期は、除湿器を利用するなどしてサロンの湿度が上がり過ぎないようにしましょう。それでもグルーの硬化が速い場合は、硬化速度が比較的遅いグルーに切り替える方法も有効です。
梅雨時期の注意点については、こちらの過去記事も参考にしてみてください。
空気が乾燥する冬の時期
一方、空気が乾燥している冬の時期は、梅雨時期や夏とは逆に、水分量が少なすぎてグルーの硬化が遅くなる場合があります。このことが、「冬場はグルーが扱いづらい」と感じられる大きな要因のひとつと言えるでしょう。つまり水分不足によってグルーの硬化がいつもより遅くなることで、施術のしづらさを感じてしまうのです。
なお夏場であっても、エアコンの影響で空気や自まつげが乾燥し、冬と同じように硬化が遅れるケースは考えられます。
環境や自まつげの状態の変化が原因
ここからは、冬場の乾燥がグルーを扱いづらくする原因を掘り下げて見ていきましょう。主な原因としては、次のふたつが挙げられます。
- サロン内の環境変化
- 自まつげ自体の状態変化
サロン内の環境変化
まず原因として可能性が高いのは、サロン内の環境変です。冬になると空気が乾燥するため、サロン内の湿度も当然下がってきます。たいていのサロンでは湿度を一定に保つための加湿器を使用しているはずですが、湿度が十分でない室内で施術を行うと、水分不足により、グルーの硬化も通常より遅くなりやすくなります。
自まつげ自体の状態変化
次の可能性として、お客様の自まつげ自体の状態変化があります。冬場はお肌などが乾燥しやすくなるのと同様に、自まつげも乾燥しがち。まつげの内部に含まれる水分が失われ、乾燥まつげになっている可能性があります。まつげが乾燥していると、グルーの硬化が遅くなり定着しづらくなるばかりか、マツエクのモチが悪くなることも。
冬に行うべき対策は?
上記のふたつの原因を取り除くことで、冬場に感じるマツエクグルーの扱いづらさは、ある程度改善することができます。そこで、取るべきおすすめの対策をいくつかご紹介しましょう。
サロン室内の乾燥対策
対策としてまず挙げられるのが、乾燥対策としてサロン室内の湿度を上げることです。グルーを管理するには、湿度は50~70%程度が望ましいとされています。ただし室内の湿度があまりに高すぎると、お客様が不快に感じてしまう場合もあるため、実際は高くても60%程度が理想です。
これらを踏まえると、冬場は常にサロン内の湿度を50~60%程度に保っておくことが大切だと言えます。加湿器をきちんと利用して、常にサロン室内の湿度を調整するようにしましょう。
特にお店のオープン直後の時間帯は、湿度が十分に上がっておらず、空気がまだ乾燥気味の場合もあります。そのためオープン後すぐに予約が入っているときなどは、お客様がいらっしゃる前にきちんと湿度を上げておくことが大切。水を張った洗面器を置いておいたり、濡らしたタオルを室内に干しておいたりといった対策を、前日の夜から行っておくのも良いでしょう。
自まつげの乾燥対策
サロンの室内環境が十分であるのにもかかわらず、グルーの硬化が遅いと感じる場合は、お客様の自まつげの状態をチェックしてみましょう。そこで、自まつげが乾燥気味の場合は、自まつげの乾燥ケアをおすすめする必要があります。
・トリートメントでの保湿をおすすめする
その場ですぐにできる対策としては、お客様に施術前のまつげトリートメントをおすすめするのも良いでしょう。サロンによっては、オプションメニューでトリートメントを取り入れているところもありますよね。その場合は、まつげが乾燥気味だと施術やマツエクのモチに影響することをきちんと伝えたうえで、トリートメントをおすすめしてみましょう。その他、なるべく保湿効果の高いマイルドなプライマーやアイシャンプーを使用するなどの方法もあります。
・美容液の利用をおすすめする
その場の対策ではありませんが、お客様が自宅でできるケアとして、まつげ美容液の利用をおすすめするのも良いでしょう。まつげ美容液の中には、保湿性にすぐれるものも多くあります。施術をしていて「まつげが乾燥気味かも」と感じる場合は、次回のご来店に備えて、保湿効果の高い美容液の利用をおすすめしてみましょう。
接着強化剤を使うという対処法も
グルーがどうしてもつきにくい場合は、サロンの湿度や自まつげの状態を改善する以外に、接着強化剤を利用するという方法もあります。
接着強化剤とは?
接着強化剤は、グルーの接着力を高めてくれる薬剤のこと。接着強化剤をあらかじめエクステに塗布することで、エクステとグルーの相性が良くなり、自まつげが乾燥している場合でも硬化の速度を速くすることができます。
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まとめ
冬にマツエクグルーが扱いづらいと感じるのは、主に室内や自まつげの乾燥が大きく影響している場合が多いと言えます。急にグルーの使用感が変わると、グルー自体の成分の変化を疑ってしまいがちですが、まずはこうした室内環境や自まつげの状態を見直してみることも大切です。そのうえで、必要に応じて加湿や保湿などの適切な対処を行い、グルーの使用感を少しでも通常の状態に近づけるようにしましょう。季節ごとの微妙な変化にも上手に対応できるようになれば、アイリストとしてのテクニックにもさらに自信が持てるはずですよ。191230Ena