「出してすぐのグルーなのに、劣化している気がする…」マツエクグルーの劣化原因をおさらい&対策チェック
アイリストの三種の神器といっても過言ではない「グルー」。施術には必要不可欠で、施術の品質をキープするためにも常に良いものを使いたいですよね。
しかし、グルーは非常にデリケート。環境や条件により劣化しやすいため、グルーを使おうと思ってプレートに出したばかりだというのに、「何だか使い勝手がいつもと違う…」なんて経験があるアイリストも多いのではないでしょうか。
それもそのはず、グルーが劣化する原因はさまざまなところにあり、じゅうぶんに気をつけていても劣化してしまう可能性があるのです…!
今回は、そんな「出してすぐのグルーでも劣化している原因」を、Beauté内の過去記事とともに振り返り、おさらいしていきましょう!
原因その①保管方法
出典:photoAC
過去にBeautéでは、以下のようなテーマを取り上げています。
グルーを冷蔵庫に入れて保管しているサロンは多いですよね。中にはグルーを保管するために化粧品用の冷蔵庫を活用している、というサロンもあります。化粧品用冷蔵庫は一般の家庭用冷蔵庫よりも高い温度設定(18℃くらい)となっているため、グルーを保管する際に適温とされている18~23℃をキープしやすいためです。
では、なぜ冷蔵庫に入れて適温をキープする必要があるのでしょうか?なぜ保管方法の違いによって劣化しやすくなってしまうのでしょうか?
温度変化による結露(水分)の発生が原因だった!
グルーは空気中の微量な水分と反応して硬化しますが、逆に水分量が多すぎると硬化しやすくなってしまい、これが劣化の原因となる場合があります。
さて、温度を気にして冷蔵庫に保管したグルー。取り出すとき、「冷蔵庫内の温度と気温の温度差」にも気を遣っていますか?
特に寒い時期や暑い時期は、冷蔵庫の中と外では気温の差が大きくなります。ものは低温のところから高温のところに移動させると、気温差により表面に結露(水分)が発生しますが、この現象がグルーの容器内でも同じように起こっている可能性が高いのです。
そのため、容器内は水分多めの状態に…。水分を含むと粘り気が強くなり、当然劣化のスピードは速まります。冷蔵庫から取り出すたびに起こっているとすれば、劣化しやすくなった状態であることは明確です。グループレートにグルーを出す際に「あれ?」と思う機会も多くなるかもしれません。
温度変化に気をつけることが劣化防止につながる!
温度変化にて起きる結露がグルーの劣化を招いている場合は、以下のことに注意すると良いでしょう。
・夏や冬など、室内外の気温差があるときは温度変化に注意する
温度変化はグルーの敵!ということを改めて覚えておきましょう。
原因その②施術環境
出典:photoAC
グルーを保管するときだけ温度変化などに気つけていれば良いわけではありません。もちろん、施術で使う際にも取り扱い方に注意する必要があります。
アイリストなら誰もが知っていて当たり前ですが、グルーは使用時に最適な温度と湿度がありますね。
湿度:40~70%
出したときに「何だかドロドロしている?」とグルーの変化に気づいた場合、適切な施術環境ではなく最適な温度・湿度が守られていないことが原因でグルーが劣化している可能性が高いです。
グルーの劣化につながる良くない施術環境とは?
それではどのような施術環境だと、グルーの劣化に影響してくるのでしょうか?サロンでの施術でありがちなのは、以下のようなシーンです。
(ワゴンの上、保管キャビネットの中、引き出しの中など)
・サロン内が寒い・暑い(空調)
・グルーを出しっぱなしにしている
・グルー使用後、フタが開いたままになっている・しっかり締まっていない
・前回使用したあと、ノズル部分を拭き取らずにフタをした
グルーを扱う(出す)基本的な一連の流れとしては、
2.グループレートに適量出す
3.ノズル部分を拭く
4.再び収納する
上記がルーティン作業として染みついており、自然な流れで取り出していると思います。しかし、慣れた動きは無意識でしてしまうこともあり、流れ作業になりがち。知らないうちにグルーにとって良くない施術環境での使用となっているかもしれません。
施術環境を見直そう!
施術環境を整えることで、グルーの劣化を防ぐだけでなく、アイリストが持つ本来のパフォーマンスを存分に発揮できます。また、お客様にも気持ち良く施術を受けていただけ、お客様満足度も高くなるかもしれません。
・空調に配慮する
・施術の流れを見直す、チェックしてもらう
今一度、「正しくグルーが使えているか」「きちんと管理ができているのか」という点に重きを置いてチェックしてみてくださいね。
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原因③グルーを正しく出せていない
出典:photoAC
3つめの原因は「グルーを正しく出せていない」です。グルーの出し方に理想の形があることは、過去にBeautéで紹介しました。
これらの記事から、原因と対策をピックアップしていきます。
分離した状態で出してしまうことが劣化の原因に
上の写真は、グルーが分離している様子です。
左:混ざりきったグルー
真ん中:振りが足りず、混ざりきっていないグルー
右:振らずにそのまま出したグルー
グルーはしばらく置いておくと、写真のように中の成分が分離します。改良が重ねられ、以前より分離しにくくなりましたが、絶対に分離しないというわけではありません。
グルーにはシアノアクリレートをはじめ、増粘剤、防腐剤などが含まれていますが、分離したときにシアノアクリレートが一番上に浮いてきやすい性質を持っています。
分離したままの状態でグルーを出すと、最初に出てくるのはシアノアクリレートですよね。シアノアクリレートが多い状態で出すと、当然成分にも偏りが出ます。どのメーカーのグルーも成分バランスを考えて作られていますが、偏りが出た状態だとグルーにとって良くないこと。劣化につながる可能性もあるのです。
グルーはしっかり振ってから出そう!
グルーの成分分離を防ぐためには、“しっかりと振る”ことが大切です。その際、以下のことを意識してください。
・直前に使用したグルーでも30回以上振る
・縦に振らない(ノズル部分にグルーが溜まってしまうことを防ぐため)
また、残念ながら分離してしまった分は、潔く廃棄するようにしましょう。
原因④使用期限
出典:photoAC
最後は、使用期限についてです。
使用期限を守らないと、品質が低下してしまう!
グルーには使用期限がありますね。しかし、知らないあいだに使用期限が過ぎていた!という経験があるアイリストもいるでしょう。「ちょっとしか使っていなくて、まだたくさん残っているし…」と、「もったいない」という気持ちから、開封後もずっと使い続けることはNGです。
使用期限を守らないと、「ドロドロしてくる」「糸を引く」などの劣化のサインも多く見られるようになります。出したばかりのグルーの使用期限が過ぎていないか、今一度確認してみてください。
食品に消費期限があるように、グルーの使用期限が過ぎれば過ぎるほど劣化していきます。劣化したまま使い続けると、グルーの品質が変わってしまうかも…。グルーの使用期限は、各メーカーが定めた「グルーを安全に使える期間」です。安心・安全の施術をするためにも、必ず使用期限を守るようにしましょう。
使用期限を忘れないためには?
使用期限を忘れないようにするために、以下のような方法で管理すると良いでしょう。
・グルーのみの商材リストを作って管理する
・グルー本体に開封日が分かるようなマークをつけておく
(容器裏側に日付を書いてもOK!)
リストは定期的にチェックしてくださいね。
グルーを保管する冷蔵庫にホワイトボードを設置し日付を書いておくのも、目につきやすくておすすめ。「サロンのカレンダーに書いているけれど、忘れてしまう!」という人は、リマインドができるようスマホのスケジュールアプリなどを活用する手も。
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まとめ
どのアイリストも、日々「グルーを劣化させないようにしよう!」と策を練って保管していると思いますが、ほとんどの場合、その瞬間にグルーが劣化しているわけではなく、すでに容器内でグルーの劣化が始まっている可能性が考えられます。
大切なのは、普段どのようにグルーを管理しているか、です。準備はバッチリ、いざ施術……でもグルーが何だかいつもと違う?!とあたふたしないためにも、管理方法にはより一層気を遣うようにしましょう。201107Eiy