お客様満足度向上&トラブル防止!「来店後のお直し制度」導入していますか?
あなたのサロンでは「お直し制度」を導入していますか?「3日以内無料」、「1週間以内無料」など、期間はどれくらいが一般的なのか分からず悩んでいるアイリストも少なくないですよね。また、毎回お直し制度を使おうとする、クレーマーに近いお客様の対応に困っているアイリストもいるでしょう。そこで今回は、「お直し制度」の考え方について学んでいきます。読者から寄せられた、「どれくらいの範囲をお直し無料にするのがいいのか…」という悩みにも回答しますよ!早速見ていきましょう。
来店後のお直し制度とは?
「お直し制度」とは、お客様側に非がないにもかかわらず、すぐにエクステが取れてしまった場合に、取れた本数分改めて付け直させてもらう制度のことを指します。どの期間まで受け付けるかはサロンによってさまざまで、短いサロンだと施術から3日程度、長いサロンだと2週間程度の期間を設けているようですが、大体のサロンが1週間程度に設定しているのではないでしょうか。
また、お直しが無料のサロンもあれば、料金が発生するサロンもあり、さらに付け直す条件もサロンによって異なります。
そのため、
「今のお直し制度が適切なのか不安…」
「どこまでを対象とすべきなのか分からない」
と悩まれているアイリストも多いですよね。実際のところ、どこまでをお直しの対象とすべきなのでしょうか。次の項目で詳しくご紹介します。
どこまでをお直しの対象とするべき?
本来お直し制度とは、マツエクに魅力を感じてくれているお客様に対して、施術者の技術力が足りず、満足な仕上がりを提供できなかった場合に行うサービスです。
施術者側に落ち度がなくエクステが取れるシチュエーションとしては、
☑毛周期の関係で自まつげがエクステごと抜け落ちた場合
☑お客様の習慣や癖が原因で、エクステが取れてしまった場合
などが挙げられるでしょう。
では具体的に、どういった場合だとお直し対応が必要で、どういった場合ならお直し対象外にして良いのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
<毛周期の関係で自まつげがエクステごと抜け落ちた場合>
みなさんご存知の通り、人間のまつげには毛周期があり、無理に引っ張ったりこすったりしていなくても、1日に数本ずつ抜け落ちていきます。それはあくまで自然なことです。大体、上下左右合わせて、4~5本程度は毛周期の問題で抜けています。しかし、こちらの知識は、アイリストだからこそ誰しもが知っているというだけで、残念ながらお客様になると、知っている人の方が少数派。カウンセリング時にきちんと説明されていなければきっと、
「すぐに抜けた!これはお直しの対象になるのでは?」
と思われてしまうでしょう。その場合、カウンセリング時の説明が抜けていた点がアイリストの落ち度です。カウンセリングが不十分だったことをお詫びし、再度付け直させていただきましょう。そして今後はきちんと毛周期についてご説明し、1日に4~5本は自然と抜け落ちてしまうことをご納得いただいた上で、施術に入っていきたいですね。
一方で、もしもカウンセリングできちんと説明できているのであれば、自まつげごと抜けたエクステについては「お直し対象外」という認識で良いのではないでしょうか。
<お客様の習慣や癖が原因で、エクステが取れてしまった場合>
施術者の技術が未熟だったことが原因で、エクステがすぐに取れてしまったのであれば、取れたエクステに自まつげは付いていないはず。グルーの接着面がきちんと取れていなかったり、グルーの量が少なかったりが原因として考えられますが、その場合、エクステが取れたとしても自まつげが抜ける原因には繋がらないためです。
毛周期で考えられる本数以上にエクステが抜けていて、かつ自まつげも付着した状態であるならば、お客様自身のエクステの取り扱いに原因があるかもしれません。
☑ついエクステを触ってしまう
☑メイクオフのときに、目をこすってしまった
☑うつぶせで寝る癖がある
などに当てはまると、どのアイリストがどの商材でエクステを装着したとしても、すぐに抜ける可能性があるでしょう。
こちらについても、お客様へどの程度ご説明できているかどうかによって、お直しの対象内・対象外に分けられます。もしカウンセリング時に、お客様の癖や習慣を確認したものの、アイリストが把握しただけで満足し、お客様に何の説明もしていないのであれば、お直しの対象内となるでしょう。お客様にとっては、その何気ない行為がマツエクの寿命を縮めているとは思わないのですから。
しかし、カウンセリング時にきちんとそのリスクをお伝えし、注意喚起をしていた場合は対象外でも良いのではないでしょうか。
以上を踏まえて、実際のサロン様へお邪魔し、お直し制度についてお話を伺いました。今回ご協力いただいたのは、お直し制度を設けながらもクレーム対策が万全なサロンAです。
まずお直し制度の条件については
「施術から1週間以内に、エクステのみが半分以上取れた場合は無料でお直し」
と定めているそうです。
理由を聞いてみると
「施術から2~3週間経過すると、毛周期の関係で自まつげごと抜けやすくなってしまいます。基本的に、カウンセリングには時間をかけるよう指導していて、毛周期の説明も必ず盛り込んでいるため、1週間が適切だと判断しました。
また、毛周期だけでなく、エクステの扱い方についても時間を割いてご説明するようにしています。正しく扱っていただき、かつ毛周期で想定される以上に毛が抜けてしまうのであれば、それは私どもの責任。誠意を持って、お直しさせていただきます」
とのこと。今回のお話を聞くと、丁寧なカウンセリングはお客様に“安心”を提供し、双方の信頼関係構築に欠かせない工程であることがよく分かりますよね。
なおこちらのサロン様は、エクステだけが取れていた場合でも対象外としている条件を設けています。それは、
☑「使用しないでください」とお伝えしたはずのオイルクレンジングなどを使用した場合
☑まつげパーマなどが原因で元々自まつげが弱っていて、本来施術自体をお断りするところを、お客様の強いご要望で施術した場合
の2点。
どちらもカウンセリングや施術後に、きちんとそのリスクをお伝えしていることを前提として、対象外としているそうです。
サービス業であるアイリストにとって、お客様のご要望に応えることも仕事のひとつ。そのため、お直し制度の条件設定をせず、仕上がりに満足していただけるまで、際限なくお直ししているサロンもあるでしょう。しかし、丁寧かつ確実な施術ができていて、カウンセリングでの説明が徹底されているのであれば、時にはお断りする勇気も必要なのかもしれません。
なぜなら、そういったサロンは「クレーマー」に近い存在のお客様に悩まされているケースが多いためです。
Beautéにも最近、
「施術後、そこまで多くの本数が取れていないにもかかわらず、施術の度に必ず一度、お直し制度を利用されるお客様がいます。たしかに、お直し期間中でのご来店ではありますが、どこまで受け付けて良いものでしょうか?」
という相談が寄せられました。これまで同じ条件で受けてきたのであれば、すぐにお断りすることは難しいでしょう。しかし、対策はあります。アイリストにできる手段の一例を見ていきましょう。
1.でき得る限りの対応をする
おそらく、悪意を持ってお直し制度を利用されるお客様はほんの一握り。多くのお客様が、「これぐらいで直してもらってもいいのかな?」と、少し申し訳ない気持ちを持たれながらご来店されるでしょう。そういったお客様まで、「クレーマー」のように扱うことは、プロとしてNG。まずは誠心誠意ご対応することが大切です。その中で、
・担当者を変える(ベテランアイリストが好ましい)
・グルーの種類を変える
・全オフして1から付け直す
・責任者が対応する
などの対処法が考えられますね。さらに、再度エクステの“毛周期”や“扱い方”についてもご案内する必要があります。一度目のご来店での説明が不十分だった可能性も考えられるためです。
今度こそお客様にご満足いただけるよう、もう一度基本に立ち返り、丁寧なカウンセリングと確実な施術を行ないましょう。
2.線引きを設けておく
先ほども少し触れましたが、対象内・対象外の線引きは必要です。どういった状況でもお受けし続けると、「ほぼ取れていない」にもかかわらず、「得したいから」という理由でお直し制度を利用されるお客様も、まれにいらっしゃるためです。
先ほどのサロン様の場合の条件を参考に、「自店のお直し制度適応ラインはここまで」とハッキリと定めておきましょう。
3.過剰な場合はお断りする勇気を持つ
担当者を変えたり、商材を変えたり、責任者に変わったとしても状況が改善されず、毎回お直しを繰り返される場合は、サロン側に落ち度がない可能性も考えられます。特に2回程度であれば、施術側の原因も想定できますが、3回以上続く場合はお客様側に原因があるかもしれません。そしてもし、同じ状況のお客様が他にいらっしゃらない場合は、「クレーマー」に近いと判断できそうですね。その場合、いつまでも付き合い続けると、さらに悪質化するケースもあり、経営・運営面での弊害も懸念されます。
きちんと線引きをし、お直し対象外の場合はきちんとお断りするように意識してみてください。例えば2回目までは通常通りお受けし、3回目の場合は「今後は料金が発生します」とお伝えするなども、対応として間違ってはいないのです。
こちらはあくまで一例で、お客様との関係性やサロンのスタイルによっても対応は異なってくるでしょう。ただし、お客様のためにもサロンのためにも、カウンセリングできちんと説明し、注意事項やリスクにご納得いただいた上で施術を行うことと、お直し制度に線引きを設けることはどういった状況でも共通して重要です。アイリストとしての使命を果たしながら、適切な範囲内でサービスを提供できる環境が整っていれば、イレギュラー対応に追われることも少なくなるはず。まずはカウンセリングの内容に問題がないか、そしてお直し制度の内容に無理はないかを振り返ってみてください。
お直し制度のメリット
お直し制度は、お客様にとってはつまり、「満足いく施術」を保障されているシステムで、メリットは大きいと言えます。では、サロン側にはどのようなメリットがあるか知っていますか?実は大きく分けて3つのメリットがあるのです。1つずつ見ていきましょう。
1.お直し制度で失客予防
まず考えられるメリットは、失客防止。通常、お直し制度を利用される場合は、アイリストの技術が未熟だったことが原因。お客様としては、お金と時間をかけてプロにお願いしたにもかかわらず、技術力が低いせいですぐにマツエクが取れるような事態は考えられません。「二度と行きたくない」と思われても仕方がないでしょう。しかし、お直し制度があれば再度ご来店いただき、挽回するチャンスがあります。「前回はガッカリしたけれど、直してもらった後はすごくよかった!」と感じていただければ、リピーターになってもらえる可能性すら出てくるのです。アイリストにとっても、改善のチャンスをもらえるため、技術を見直すきっかけとなるでしょう。つい「クレームを起こしてしまった」と、表面上の問題にばかり目を向けてしまいがちですが、大切なことは原因の追究と対策の立案です。なぜ、ご満足いただけなかったのか。そして次回からどのように施術するべきなのかを明確にしておかなければ、同じことを繰り返してしまいます。本質を突き止めて、自分の力で自分を改善できるアイリストでいたいですね。
2.お客様との信頼関係の構築
お直し制度を設けていても、あまり利用されるお客様がいないため、制度自体をなくしてもいいのでは?と考えているアイリストもいますよね。しかし、それはNG。今のままお直し制度は残しておきましょう。なぜなら、「お直し制度」を用意しておくこと自体が、サロンの安心感向上やお客様との信頼関係構築につながるためです。お直し制度を利用された場合、お店としては時間単価が低下するデメリットがあります。そのため、できるだけお直し制度を利用する必要が出ないよう、高い技術での施術や丁寧なカウンセリングを心掛けていますよね。
つまり、お客様にとってみれば、「お直し制度」を用意できるほど、技術力に自信があり、誠意を持って対応してくれる良心的なお店ということ。
制度を利用する・しないは、それほど関係ないのです。1人ひとりのお客様にしっかりと向き合い、誠実な施術を行なっているサロンは、例え「お直し制度」が幽霊メニューになっていたとしても、知らず知らずのうちにお客様に安心感を与えられているのではないでしょうか。引き続き、「最後まで責任をもって施術する」という証として、お直し制度を用意しておきたいですね。
3.コミュニケーションの時間を確保
先ほど、何度もお直しに来られるお客様は、クレーマーに近い場合もあると紹介しました。しかし、実はしっかりとお話を聞いてみると、自まつげに悩みを抱えている場合も少なくありません。接点回数が多くなることは、アイリストにとって大きなメリット。コミュニケーションをしっかりと取れる良い機会だと捉え、お客様の悩みの原因を一緒に探ってみましょう。そしてお客様の悩みを解決できるアイテムとして、店舗で扱っているサロン専売美容液などの販売に繋げられたら、さらにGOOD!お客様にとっては悩み解決の糸口となり、アイリストにとってはコミュニケーション面・売上面ともにメリットがあります。「自分の施術に満足してもらえなかった」で終わらず、「なぜ」満足してもらえなかったのか、その理由をきちんと振り返ってみてください。実は施術だけでなく、そもそも自まつげの問題なのかもしれませんよ。
まとめ
今回は、判断に迷うアイリストも多い「お直し制度」について取り上げました。お直し制度のことを、単なる“付け直しサービス”と考えているアイリストも多いですが、それではただ、時間単価が低下するだけ。お客様にもサロンにも、何のメリットもありません。
制度の意味をきちんと理解し、それに伴ったカウンセリング・施術を実施すること。そして万が一、お直しが必要となった場合も、マイナスにばかり捉えるのではなく、改善できる良い機会だと捉え直し、誠意を持って対応できれば、サロン全体として更なる成長が見込めるはずです。意外と奥が深い「お直し制度」。再度あなたのサロンで設けている制度が適切で、上手く活用できているのか振り返ってみてくださいね。201Eta