画像解説有り!きちんと守れていますか?「つけてはいけない自まつげ選定」
お客様の中には「とにかくたくさんつけてください!」という方もいますが、アイリストにとっては悩ましいご要望ですよね。いわずもがな、まつげは生えているものすべてに装着して良いわけではありません。つけてはいけない自まつげにつけてしまうと、先々マツエクを楽しみ続けることが難しくなってしまうこともあります。今回は画像をもとに、つけてはいけない自まつげをしっかりと再確認しましょう!
日本人の平均的なまつげとは
健康な自まつげを選定するためには、基準となる値が必要です。「健康なまつげはコレ!」という基準の1本がなければ、それぞれの自まつげに対して装着の可否を判断することはできません。選定が上手くできないというアイリストは、実はこの「選定の基準となる自まつげの設定」でつまずいていることが多いのです。
まずは、日本人の平均的なまつげについておさらいしておきましょう。
【本 数】上:120本 下:40本
【長 さ】上:6.8mm(4~12mm) 下:5mm
【密 度】1mmあたり、2.6本
【カール】80.9度
以上のデータは、日本人女性のまつげについて「健康な状態」の平均データ。おそらく皆さんのお客様も、この平均データに近いまつげを持つ方が多いのではないでしょうか。
▼日本人の平均的なまつ毛についてはこちらもチェック!
ただ、まつげというのは、長さも太さもお客様によってさまざま。健康な状態にも個人差があります。そのため、正確に自まつげの選定をするためには、平均的なデータだけでは不十分。お客様一人一人の自まつげに合わせた細かい基準設定が必要となります。では、どのように自まつげ選定の基準を設定すればいいのか、次で詳しく解説していきましょう。
つけてはいけない自まつげとは
自まつげ選定をする際には、まずお客様の成長期を迎えたまつげの長さを正確に把握しておかなくてはなりません。つまり、「一番長くて太いまつげはどれか」を見極めるということ。これは、全オフすると分かりやすいですが、部分オフの場合は判断しづらいため、より丁寧にチェックしなくてはなりません。
このときに注意しなくてはならないポイントは、まつげケアによる長さの変化 。例えば、初回来店のお客様であれば、単純に「一番長くて太い毛」を健康な自まつげ、つまり「選定の基準」として判断することになるでしょう。しかし、リピーターのお客様の場合は、過去のデータと比較する必要があります。まつげケアに熱心なお客様であれば、来店されるたびにまつげの長さに変化が現れてくるはず。この場合、「このお客様の健康毛は〇mm」という過去のデータは、あまり役にたちません。都度、更新していく必要があるでしょう。また、お客様の自まつげの成長を丁寧にチェックしておけば、副作用系のまつげ美容液によって、不自然にまつげが成長していることに気づくこともあります。お客様の自まつげの長さや太さについては、一時のデータに惑わされず、経過を見ることが大切ですね。
ここからは、具体的な施術方法について考えていきましょう。まずは、こちらの画像の赤枠の中をご覧ください。
矢印が指す3本は、すべて産毛です。周囲の長く太い毛に比べると、細く短い様子が見てとれますね。言うまでもなく、このような産毛にエクステをつけることは出来る限り避けなくてはなりません。それ以外にも、極端に下向きの毛や、生え癖の強すぎる毛も避けた方がいいでしょう。
マツエクの基本は、長く太い健康毛にエクステを装着する ということ。
例えば、基準となる健康毛が7mmのお客様の場合、まずは5~7mmの範囲の毛に装着していくことになります。基準に対して1~2mm程度の差であれば、その後7mmまで成長したとしてもデザインに影響を与えないため、装着しても問題ありません。
注意が必要なのは、その範囲に満たない長さの場合。基準と比較して2mm以上の差があるまつげは、根本の伸びが目立ちやすく、デザインにばらつきが生じやすくなるでしょう。また、基準の範囲のまつげよりもまだ細く弱い産毛のため、エクステの重みが負担になりすぎてしまうという問題もあります。不自然に負担がかかることによって抜けてしまったまつげは、生えてこなくなるリスクが高いですよね。マツエクを長く楽しんでもらうためには、選定基準の範囲を、しっかりと守ることが大切なのです。
自まつげの成長度に合わせたエクステ選択
毛周期が乱れていない、まつげのダメージが少ないお客様の場合は、先ほどお伝えした装着方法をとるといいでしょう。ただ、毛周期が乱れている、まつげが傷んでいる、不自然に隙間が空いているなどのトラブルを抱えたまつげの場合は別。健康毛だけを選定して装着しただけでは、希望の本数に届かず満足してもらえない可能性もあります。
知識をもたないお客様としては、自まつげの状態にかかわらず、希望の本数をつけてほしいというのが一番の望み。アイリストはその希望に出来る限り寄り添いつつも、自まつげの成長を守らなくてはなりません。多くのアイリストが悩むこの問題、どのように解決したらよいのでしょうか?
基本的には、やはり「産毛にはつけない」という姿勢を崩さないことが大前提。「産毛にも無理やり付けて欲しい」というお客様に対して、毛周期やダメージについて丁寧に説明し、まずはまつげを育ててもらうという選択へ導くのがアイリストの使命です。
ただ、結婚式などの大切なイベントの前には「どうしても!」と言われるお客様もいます。その場合は、やむを得ず、産毛に細く短いエクステをつけることで隙間が空かないようにするなどの方法をとることもあるでしょう。ただ、この方法をとる際には、どのようなリスクが考えられるのか、正確にお伝えすることが必須。お客様自身に、自まつげへの影響を理解してもらう必要があります。
まずはどんな方法であっても、アイリストとして正しい方向にお客様を説得できるよう、日頃から信頼関係を築けるような対応を心がけていきたいですね。
ただ、気にしておかなくてはいけないのは、他のサロンでの対応。特に、他店から移ってこられたお客様に対しては、「これまでどのような対応を受けたのか」についてリサーチしなくてはなりません。なぜなら、サロンによって、自まつげ選定の際にOKとするボーダーラインはさまざまだから。お客様のまつげを育てるために厳しい基準を設けるサロンもあれば、多少リスクがあったとしても施術を優先させるサロンもあるというのが実態です。
お客様にとっては、「どんな状態でも施術をしてくれるサロンが良いサロン」かもしれません。しかし、お客様に長くマツエクを楽しんでもらうためには、正しい選択と言えるでしょうか?
もしも、あなたのサロンが「お客様のために厳しく自まつげの選定をするサロン」であったとしたら、お客様から「別のサロンではつけてくれたのに…」と思われることもあるかもしれませんね。ただ、お客様の希望に沿えないのは、技術的にできないからではなく、お客様の自まつげの将来を考慮した決断。本当にお客様のまつげを大切にしていると言えるのは、しっかりとNGを出せるサロンであると考えます。「なぜ付けられないのか」をしっかりとお伝えできていれば、きっとお客様もその誠意を理解していただけるはず。お客様を、長くマツエクを楽しんでもらえる選択へ導けるサロンを目指していきましょう。
まとめ
今回解説した内容は、おそらく多くのアイリストがスクール、または新人研修期間に学んだことのある内容のはず。しかし、サロンに入って実際に施術をこなす中で、自まつげ選定に対する意識が変化していきやすいという実態もあります。
皆さんは、最近「このお客様のマツエク、かなりばらつきがある…」と感じたことはないでしょうか?自分が担当したお客様のマツエクが、日数を経てかなりばらついているようなら、施術時の自まつげ選定に問題があるのかもしれません。ばらつきがあると、お客様自身も気になり、触る機会が増えてしまうことにもつながります。これは、施術時の一作業である自まつげ選定が、マツエクにとって重要なモチにも影響を及ぼすということ。自まつげ選定とは、マツエクにとってかなり重要な作業であるという意識を持ち、一度、選定方法を見直してみるといいでしょう。180608Esa