貴重な「経験者インタビュー」あり!「美容師からアイリストへの転向」。職種の違いによるメリットとは?
美容師免許が必須のアイリスト。そのため、最近は美容業界的にも美容師経験を経てアイリストになる人が多い、という傾向があります。美容師とアイリスト、その職種の違いによるメリットはどんなところにあるのでしょうか。今回は実際に美容師からアイリストになった経験者へのインタビューを踏まえつつ、そのメリットを探ってみましょう。
美容師とアイリストの仕事内容の比較
美容師とアイリスト、人の美に関わる仕事という点では同じですが、その仕事内容は全く異なります。まずは美容師とアイリストの仕事内容を比較してみましょう。
美容師とアイリストそれぞれの仕事
美容師の仕事は髪の毛全般に関わる専門職。カラーやパーマ、カット、ブローだけでなく、ヘアアレンジやメイク、着付けなどを施すこともあります。また、シャンプーやヘッドスパで癒しの時間を提供することも。髪の毛全体にだけでなく、幅広い美のトータルプロデュースも可能な仕事です。
それに対してアイリストはまつげの専門職。まつげを付けることでスッピンまつげでも印象をはっきりさせ、目元を華やかにする仕事です。まつげのことを熟知した、いわばまつげのスペシャリストと言えます。
美容師とアイリストの研修期間の違い
勤めるサロンによっても異なりますが、美容師は1人前のスタイリストとして働けるまでに、平均して2年~5年程度の期間を要します。アシスタントのときはスタイリストのフォローがメインの仕事。細々した雑用の仕事をこなしつつ、営業時間の前後の時間を使って技術の習得に励みます。
アイリストの場合、未経験であればみんなスタートは同じ。就職後研修を通してアイリストの仕事や施術方法を学びます。サロンの定めるテストに合格したら1人前のアイリストとしてデビューです。サロンにもよりますが、平均2ヶ月くらいでアイリストとして独り立ちすることになります。
美容師とアイリストの拘束時間の違い
サロンのオープンしている時間やシフトなどにより個人差はありますが、平均すると
美容師:12時間
アイリスト:10時間
という結果になりました。
アイリストの場合、サロンにもよりますが基本的には営業時間内に研修を行うことが多いようです。それに反してサロンがオープンする前やクローズした後に個人練習やレッスンをする場合が多い美容師。必然的に朝7時出社や23時~24時帰宅になってしまうこともあります。その差が拘束時間の差に直結しているようです。
アイリストになるメリットとは?
美容師からアイリストに転向する人が多いのは、美容師免許を活かせる仕事だからというのが大きな理由。では、実際にアイリストに転向するメリットを考えてみましょう。
下積み期間なし!実践で技術を習得していく
美容師の場合、1人前のスタイリストとしてお客様に対応できるのは数年間アシスタントとして経験を積んでから。それに対しアイリストは数ヶ月で一人前としてお客様に対応することとなります。サロンの方針にもよりますが、練習や研修よりも実際の施術を通して技術を習得する、これが美容師とアイリストの大きな違い。また、カウンセリングから施術まですべて1人で対応するというスタイルもマツエクサロンならでは。「サロンの印象=自分の接客」となるため気は抜けませんが、大きなやりがいにつながることもメリットと言えるでしょう。早い段階で1人前となることは、自分の仕事に責任感が出ると同時に、やる気やモチベーションを維持しやすい環境なのではないでしょうか。
プライベート時間を充実させやすい
シフト制のサロンが多く、研修は営業時間中に行うことが多いマツエクサロン。営業時間後に研修や練習を行う美容師よりもプライベート時間が多い傾向にあります。プライベート時間が充実していないと仕事のモチベーションも上がらないもの。ワークライフバランスが取りやすいこともアイリストのメリットと言えるでしょう。
出産後美容師として復帰せず、アイリストとして復職する人がいるのもこれが理由。子育てをしながら美容師の仕事を続けることは難しい場合も多く、シフト制で融通の利きやすいアイリストへの転向を考える人もいるようです。
また、プライベート時間が充実していないと、自分のキレイは二の次になってしまうこともあるでしょう。せっかく美容の仕事に就いているなら、自分自身もお客様に憧れられるようなキレイな存在でありたいと思うのも当然のこと。目元のマツエクはもちろんのこと、ヘアやメイク、ネイルなど細かい部分にも時間を割くことができるのは時間に比較的余裕の持てるアイリストならではのメリットになるのではないでしょうか。
独立しやすい
「いつかは自分のサロンを持ちたい!」
「将来はサロン経営をしたい!」
そんな将来の展望のある人もいるのではないでしょうか。しかし、美容師として独立するための最大の壁は費用にあります。美容院の開業のために必要なのは
・立地条件のよさと美容所登録の条件を満たす店舗物件
・スタイリングチェアやシャンプー台の水回りなど設備整備
・美容院で働く人員の確保
といったもの。開業する地域や規模によっても異なりますが、平均すると500万円~1000万円といった額が必要になります。独立する場合、開業資金を借入して利息を支払いつつの営業になる経営者がほとんどな上、かかる費用の一部は自己資金で賄う必要があるでしょう。
それに対し、アイリストが独立する場合、個人サロンなら平均100万円くらいと必要な開業資金がグッと少なくなります。店舗を借りてサロンを構える場合でも、美容所登録の条件を満たす店舗が確保できれば、水回りの設備整備も必要ありません。人員確保は美容院と同様大変ではありますが、基本1人のお客様に対し1人のアイリストで対応するため、1人でマツエクサロンを経営することも少なくありません。お客様対応も同様、サロン勤めの経験をそのまま自分のサロンに生かすことができ、オープン後の流れを作りやすいことも挙げられます。
実際に独立するかどうかはともかく、独立への「壁の低さ」は自分のサロンを持ちたい人のメリットとなるのではないでしょうか。また、マツエクを主軸にメイクやヘアアレンジ、簡単なヘアカット、着付けと言った、美容師の仕事を通して得た技術をマツエク施術に併せて提供できるようなビューティーサロンもできるかもしれません。
美容師→アイリストになった人に聞きました!
実際に美容師からの転向でサロンで働くアイリスト30人にインタビューしました。
インタビューの中で多かった内容を簡潔にまとめます。確認していきましょう。
Q なぜ美容師からアイリストへ転向しようと思ったのですか?
◆美容師以外で美容師免許を活かせる仕事がしたかったから
◆1つの技術を極めたかったから
Q アイリストという仕事を意識したタイミングを教えてください
◆美容師としてお客様にメイクをしていてビューラーとマスカラだけでは提供できない美があると知ったとき
◆自分自身マツエクをつけて顔が華やかになったのを感じたとき
◆勤めている美容院でマツエクの施術サービスがスタートしたとき
◆アイリストに転向した友人が多く、仕事内容についての話を聞く場面が多くなったとき
◆転職を考えて求人サイトを見ていて美容師免許を活かせるアイリストの募集を見たとき
◆出産して仕事復帰を考えたとき
Q アイリストになって思ったよりも大変だったのはどんなことですか?
◆完全に1対1の仕事で自分の施術でサロンの印象が決まってしまうこと
◆目の形は人それぞれなので、理想のデザインに近づけることの難しさ
◆目の疲れや視力の低下、肩こり、同じ姿勢を続ける辛さ
◆1人のお客様にかけられる時間が短く、時間に追われること
◆危険度が高く、集中力を持続しなければならないこと
◆目の病気など学ばなければならないことが多いこと
Q アイリストと美容師の仕事における共通点はどんなものだと感じますか?
◆美のサービス業としてお客様満足を追求するところ
◆技術の追求に妥協や終わりがないところ
◆接客と技術が伴うことで顧客をつけることができるところ
Q 美容師の仕事がアイリストに活かせたと思ったことはありますか?
◆美容師の仕事で得た接客力と忍耐力!
◆パーソナルカラーに基づくカラーマツエクを提案できること
◆マツエクや目に関する知識だけでなく、ヘアスタイルに知識も教えることができたこと
Q アイリストとしてこれからどうなりたいという将来の展望はありますか?
◆自分のサロンを持つのが夢!独立して自分のサロンを開きたい
◆目指すは日本で1番上手いアイリスト!
◆技術を追求してお客様から安心して任されるアイリストになりたい
◆マツエクはもちろん、メイクにヘアに幅広い提案ができるアイリストでありたい
美容師からの転向が多いアイリスト。施術内容や必要な知識の違いに戸惑うこともあるようですが、技術の追求やお客様満足を求めるサービス業であるという点は同じです。美容師で得たことを活かしつつ、アイリストとして前向きに活躍している人が多いという印象を受けました。下積み期間なしでプライベートを充実させやすいというアイリストならではのメリットも、モチベーションの維持に影響を与えているのではないでしょうか。これからもアイリストとしてさらなる進化を目指してくれそうです。
まとめ
美容師免許が必須のアイリスト。必然的に美容師からの転向も多くなっています。美容にかかわる職という点は共通するものの、仕事内容やステップアップの流れはそれぞれ異なります。勤めるサロンによっても異なりますが、拘束時間の長さや研修期間の短さといった点から考えると、アイリストは美容師よりも働きやすい仕事環境にあると言えるのではないでしょうか。もちろんここに挙げたメリットをどう受け止めるかは自分次第です。自分の希望に合った働き方や将来の希望を、職種の違いという観点から見つめなおすのもいいのではないでしょうか。181027Ess