「嫌だな…」とつい感じてしまう「お直し」や「クレーム」のお客様。そんな方へのプロとしての接し方とは
日々、多くのお客様と接する中で避けては通れないのが「クレーム対応」。ときには、理不尽なことを求めたり、執拗に責め立てたりするような気難しい方もいらっしゃいます。正直、「嫌だな…」と思いながら対応するアイリストも多いはず。今回は、あまり気の進まないクレーム対応を、接客のプロとしてうまく乗り切るコツをご紹介します。
お客様からのクレームから見えること
アイリストの大事な役割の一つが、クレーム対応。
これは、マツエクサロンに限らず「お客様にサービスを提供する」という業態では必ず必要となる業務のひとつでもあります。もちろん、”お客様からのクレームがまったくないサロン”が望ましいですが、そう簡単にできることではありません。お客様もアイリストも十人十色。自分の中では些細な部分が他の人からすると見過ごせなかった、ということも当然あります。一番に考えなくてはならないのは、「どうすればクレームをゼロに出来るか」よりも、「クレームが発生したとき、どのように対応するのか」ということ。ベテラン、新人に限らず、アイリストが悩むことの多い課題のひとつでもあります。
そもそも、クレームにはどのようなものがあるのでしょうか?
以前、Beautéが行ったこちらのアンケートを参考に見てみましょう。
マツエクをする100名の方を対象に「いままでに、通った、または通っているマツエクサロンで残念な思いをしたことがあれば教えてください」とお聞きしたときの結果です。
お客様がクレームに至るまでの理由としては、技術面、接客面の両方があるでしょう。
ただ、アンケートによると「帰宅後のモチが悪かった」「仕上がりに不満があった」「技術が下手な施術者にあたってしまった」など、技術面に対する不満が上位を占める結果に。サロンに来るお客様の一番の目的は、やはりマツエクそのものにあります。その中には、潜在的に「できる限り高いクオリティーで…」という望みも含まれているでしょう。そのためにお客様は忙しい合間をぬい、高い施術料金を支払ってまで来店してくれるのです。つまり、サロンに対して期待するのは、圧倒的に「技術面の質の高さ」であるということ。技術の面で満足できないときの”がっかり感”が大きい分、クレームにつながる確率も高いです。
一方、接客面でのクレームはかなり少ないです。
接客というのは、サロンにとって付加価値のひとつ。アンケート結果を見ても、接客面で残念な思いをしたという意見は少数です。ただ、だからといって軽視していいというわけではありません。技術面で残念な思いをした場合、施術料金を払っている分「もう一度し直してもらいたい」となりやすいですが、アイリストの接客で不快な思いをしたとき、わざわざクレームをする気持ちにはならないという人が多いです。なぜなら「もうあのサロンには行きたくない!」「別のサロンに変えよう」となる人の方が多いから。つまり、アイリストの接客スキルの低さは気付かないうちに失客していたということにつながりやすいのです。
入客する際、対応しづらいなと感じる時
クレームを言うお客様は「申し訳ない…」と思いながら連絡してこられる方がほとんど。そのような想いを持ちながらも、黙って他店へ移るのではなくわざわざ声をあげてくださる方は貴重な存在ですよね。
しかしクレーム対応というのは、アイリストにとってあまり気の進む業務ではないでしょう。ただでさえ、スキル不足によってクレームをいただくというのは、アイリスト本人にとってもサロンにとっても不名誉なこと。「お客様と会うのが気まずい…」と億劫に感じてしまう人も多いです。
特に、お客様の中でも「短気な方」「せっかちな方」「神経質な方」などはクレームに発展しやすく、アイリスト側も苦手に感じやすい傾向にあります。マツエクサロンに来られる方はほとんどが女性のため、大声で怒鳴るような方はほとんどいないかもしれません。しかし、無理難題をつきつけてきたり、同じ内容を繰り返したり、何度も連絡してきたり…という方はときどき見られるようです。
もしこのようなお客様を担当することになったら、新人アイリストの中には「どう対応したらいいのか分からない!」とパニックに陥る人もいるでしょう。困ったときは、周囲のアイリストを頼ることが大切。さまざまな接客経験を積んだ先輩アイリストの指示を仰ぎましょう。また、 自分が苦手なお客様であっても、他のアイリストとは相性がいいかもしれません。気難しいお客様の場合には、比較的会話がスムーズに進められるアイリストが担当するようにサロン側で調整しましょう。
対応のポイントとは?
マツエクサロンやスクールでも、クレーム対応についてマニュアル化しているところは少ないはず。なぜなら、クレーム内容によって、お客様によってその対応方法はさまざま。マニュアルとして叩き込むよりも、臨機応変に対応するスキルの方が求められているからです。ここからは、どのようなクレーム対応にも共通する、気をつけたいポイントについて考えてみましょう。
お客様に対してネガティブな先入観を持たない
クレームに対して「億劫だな…」と感じながら対応すると、表情に、声にその気持ちが表れてしまうものです。そもそも、アイリストが逃げ腰の状態では、いくら話をお聞きしてもお客様と本当に向き合うことはできません。「なぜお客様がクレームを言いたくなったのか」「お客様はそのときどんな気持ちだったのか」ということを考えてみると、これまでとは違った視点でクレームに向き合うことができるはず。そして、ただの”業務のひとつ”でしかなかったクレーム対応に対して、ポジティブな感情を持つことにもつながるでしょう。
お客様の立場に寄りそって話を聞くようにする
クレームを言う方は、多少の苛立ち、不安、怒りを持っておられます。そんなとき、上辺だけの謝罪をされても逆効果。気持ちが収まることはないでしょう。「勇気を出してサロンに想いを伝えたのに雑な対応をされた」と、より残念な気持ちになる方もいるかもしれません。
大切なことは、お客様の立場に寄り添うこと。その方の気持ちをしっかりと受け止め、誠意ある態度で対応するとお客様も安心されることでしょう。クレーム対応をきっかけにそのサロンのファンになってもらえるような気持ちで向き合うようにしましょう。
クレーム気質なお客様についてカルテに細かくメモする
先ほどもお伝えしたように、クレームを言うことがクセになっている方も中にはいます。そのような方の場合、完璧に満足させることは難しいと割り切った方がいいでしょう。ただ、担当とは別のアイリストがつくことになったときに、大きなトラブルに発展することのないよう対策することは大切。カルテには、そのお客様を対応する際の注意事項(マツエクと関係ないことも)を細かく書いておくようにするといいですね。好きな会話のネタなどもメモしておくと、上機嫌で施術を受けていただけるかもしれません。
自分の気持ちのケアも忘れずに
お客様に寄り添うことが大切とお伝えしましたが、真面目過ぎる性格のアイリストにとっては負担となることも。お客様の立場を尊重しすぎるがあまり、まったく話が進まなかったり、対応しきれない方向に発展したりしてしまうこともあるでしょう。なにより、アイリスト本人のメンタルが耐えられないですよね。あまりに悪質な内容でクレームを受けたときには、受け流すことも必要。「不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。ただそこまでの対応はできかねます。どうぞご理解くださいませ。」とお詫びをしたうえで冷静に対応しましょう。クレーム対応によって、過度に心をすり減らす必要はまったくありません。
まとめ
クレーム対応とは、アイリストのストレスの原因になりやすい業務。ましてや、相手がクレーム気質のお客様となると、ますます気が重いですよね。しかし、クレームの中には自分では気がつけなかった改善点が含まれていることが多いです。一度そのことに気付ければ、もう同じクレームを受けることはないでしょう。「クレームも自分の成長の糧にする」という意識で前向きに捉えるようになれるといいですね。必要以上に落ち込み過ぎないよう、気持ちの転換も大切です。
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