Beautéの見解!「マツエクにオイルクレンジングはNG」は間違い!?真実に迫る
これまでマツエクとオイルクレンジングの相性は悪いと言われてきました。しかし最近、「それは嘘!オイルクレンジングでも問題なく使える!」という声を聞くことも多くなってきましたよね。使用しているグルーの成分は以前とほぼ変わらないため、オイルクレンジングの成分に何か変化があったのでしょうか?それとも?
表面的に「オイルクレンジングNG」とお伝えするのは簡単ですが、プロのアイリストとして真実を突き詰めたいという読者が多かったため、今回はマツエクとオイルクレンジングの相性について「マニアックに」突き詰めていきます。
「マツエクとオイルクレジングは相性が悪い」と言われる本当の理由とは?
一般的にマツエク=オイルクレンジングNGといわれてきました。その理由はマツエクに使用するグルーの成分にも「油分」が含まれるためです。理論的には、オイルクレンジングの油分がグルーに含まれる油分を分解し、グルーの接着力を低下させてしまったり、グルーの劣化を進めてしまったりするため、相性が悪いとされてきました。
しかし最近、オイルクレンジングであるにもかかわらず、公式ホームページなどにも「マツエクOK」と明記されている商品がいくつも登場してきました。またアイリストの中にも「オイルクレンジングでも問題なく使えるのでは?」と思っている人もいるのではないでしょうか。
これまでBeautéの記事でも便宜的に「マツエク=オイルクレンジングNG」と述べてきましたが、今回はマツエクとオイルクレンジングの相性について、Beautéとしての現時点の見解を述べたいと思います。
まず、オイルクレンジングに含まれる成分から考えてみましょう。多くのオイルクレンジングは、主にベースとなる油性成分と界面活性剤から構成されています。メイクや皮脂汚れをクレンジングの油性成分で浮かせて落とすことは理解できますが、もうひとつの成分である界面活性剤にはどのような働きがあるのでしょうか?
界面活性剤とは?どのような働きがあるの?
少し難しい解説になりますが、そもそも界面とは、異なった性質を持つ2つの物質の間に存在する境界面を意味する技術用語です。物質は固体と液体、気体の大きく3つに分けられ、隣り合うそれぞれの境を界面といいます(気体と気体は自然と混ざり合うため界面は存在しません)。例えば水と油(液体と液体)の境も界面です。
次に活性剤とは機能を発揮する薬剤のことを指しています。よって、『界面活性剤』とは界面において機能を発揮して性能を高める化学物質のことであり、私たちの身の回りのさまざまな製品にとってなくてはならないものです。
界面活性剤の代表的な3つの働き
①乳化・分散→混ざり合わないものを混ぜる
例えば、通常混ざり合う事のない水と油も、界面活性剤を加えると、簡単に混ざり合い安定な乳化液(エマルション)を作ることができます。
②起泡→泡を立てる
界面活性剤が水の中に気泡を取り込み、泡が壊れないように安定化させるため、泡が立ちやすくなります。
③洗浄→汚れを落とす
界面活性剤を使うと油性の汚れを乳化、分散させて取り除きます。ほとんどの家庭用洗剤や化粧石けんなどに用いられています。
このように、界面活性剤はひとつの分子の中に「水になじみやすい部分(親水基)」と「油になじみやすい部分(親油基または疎水基)」の両方を合わせもっています。
基本的な分子構造
水に溶けている界面活性剤は、1つの分子がバラバラに存在するよりも、界面(例えば、水と油の境)に集まって配列しやすいという性質があります。この現象を吸着と呼びます。さらに水中の界面活性剤の濃度を高くすると、水面は界面活性剤の分子で満員になり、水中では数多くの界面活性剤分子が互いに集まり、親水基を水の方向に向けた球体(ミセル)を作ります。ミセルができると、水に溶けない油を入れた場合、その油をミセルの中に取り込むこともでき、見かけ上、油が水に溶け込んでいるように見えるのです。
出典:日本界面活性剤工業会
界面活性剤=「油分が肌に残ったまま」にならないように剥がれやすくする役割
このように、界面活性剤の特性を理解すると、オイルクレンジングになぜ界面活性剤が配合されているのかがわかります。界面活性剤がオイルクレンジングに含まれるオイルやメイク・皮脂汚れなどの油分と馴染み、ミセルの中に取り込みます。すると、肌から油分が浮きあがり、水で洗い流しやすくなるのです。
「油分」ではなく、「界面活性剤」が問題?
オイルクレンジングは、その名の通り主成分がオイルであるため、油性成分であるメイクや皮脂汚れに対する洗浄力は申し分ありません。しかし肌残りしやすく、水洗いだけでは落としにくいというオイルの特性を補うために、界面活性剤が含まれているということがわかりました。
ところが最近発売されているオイルクレンジングの中には、以下のような優れた特徴を持つものもあります。
- 界面活性剤の添加量が少ないもの
- 石油系界面活性剤を使用していないもの
- オイルの純度が高いもの
- 洗い落としやすく改良されたオイルを使用しているものなど
またこれらの商品がマツエクOKと明記されているものが多いのも事実です。
このことからもオイル自体とグルーの相性が悪いわけではなく、オイルクレンジングに含まれている界面活性剤がグルーに悪影響を及ぼしているという仮説が成り立ちます。またその他にもオイルクレンジングに配合されている酵素などが、グルーの劣化に関与している可能性も否めません。
実際に純度の高いオイルを使用、または他の複合物を含まないオイルクレンジングであれば、マツエクとの相性は悪くはないという検証を行っているマツエクサロンもあるようです。
なぜ“おそらく”としか言えないのか?
いろいろな説を示しましたが、どの説も未だ憶測の域を出ません。なぜならマツエクOKと謳うオイルクレンジングの製造メーカーにおいても、マツエクが取れないという実証実験の結果から、マツエクを装着していても大丈夫!と類推したに過ぎないと思われるためです。
問題点1:グルーは「雑貨分類」
オイルクレンジングがグルーに与える影響のメカニズムを明らかにできない理由は、もう一つ考えられます。それはクレンジングとグルーの製品カテゴリーが異なることが原因です。
クレンジングは「化粧品」に分類されるため、医薬品医療機器等法(現薬機法:旧薬事法)に則り配合成分が公開されています
しかしグルーは肌に直接触れないことから「雑貨」に分類されるため、全ての配合成分を明記する義務はありません。よってグルーに含まれる成分は、製造メーカーに開示してもらう、あるいは精密な成分分析を行う意外に知るすべがないのです。
問題点2:製造メーカーも明言出来ない現状
今回、実際に「マツエクOKである理由」をいくつかのオイルクレンジングメーカーに問い合わせてみました。しかしその多くは、「企業秘密」という回答でした。中には、「マツエクに配慮して、特別に添加した成分はない」という回答もありました。
このことからもマツエクOKと謳っているメーカーであっても、マツエクOKであることの科学的根拠は持ち合わせていないと考えられます。
今回、マツエクOKのオイルクレンジングの謎に迫りましたが、Beautéとしての仮説は「問題は「油分」ではなく、界面活性剤などの「油分が残らないようにするための成分」にあるのではないか」という点になりました。
明言し、決着をつけたいところでしたが、業界関係者・製造メーカー共に、類推するしか出来ないという現状も理解できました。今後も引き続き調査を続け、マツエクとオイルクレンジングの相性の真相を追求していこうと思います。
まとめ
今回はオイルクレンジングに対するBeautéとしての見解を紹介しました。全てのオイルクレンジング=マツエクOKというわけではありませんが、実証実験などからマツエクとの相性がよいとされるオイルクレンジングがあることも事実です。おすすめのオイルクレンジングは次回の記事で詳細をお伝えしますが、それ以前に、お客様からの質問にスムーズにお答えするためにも、オイルクレンジングについての個人的見解を持っておくことは重要と言えます。今回の記事を参考に、ぜひ今一度考えを整理してみてくださいね。118Euk