【スペシャルインタビュー】自分の会社を持ち独立。現役アイリスト社長に聞く!「独立の困難とメリットとは?」
過去に公開され、大きな反響を生んだ「独立開業したアイリスト」「サロン勤務を続けるアイリスト」、二人のスペシャリストの対談記事。やはりこの記事が注目を集めたのは、「この先、ずっとプレーヤーとして続けられるのかな?」「キャリアアップするなら…どんな道があるんだろう?」というアイリストの想いがあるからこそ。今回は、その疑問に答えるべく、スタッフから社長へとキャリアアップを果たした先輩アイリストにお話を伺います。
みんなが気になるキャリアアップ。独立にはどんな手段がある?
サロンに勤めているアイリストが考えるキャリアップといえば、「独立」。細かく分けると独立の手段はさまざまありますが、
◆フリーランスのアイリストとして独立する
◆フランチャイズを利用して独立する
この3つが代表格です。独立といえば、自分のサロンを持つイメージが強い人も多いでしょう。ただ、マツエク業界自体が発展してきた今、独立には必ずしも自分のサロンを持つ必要はなく、アイリストの働き方は多様化しています。
特に他業界でも増えている「フランチャイズ」は、今注目を集める独立手段の方法。Beautéでも過去に特集しました。
アイリストのキャリアステップの方法が増え、思い描くビジョンもいろいろなものが考えられます。ここで、みなさんが不安に思うのが「独立後の世界」ではないでしょうか。
そこで今回は、サロンスタッフから「複数店舗のマツエクサロンを運営する社長」として独立を果たした先輩アイリストに登場していただきましょう。
「独立にあたっての壁とは?」「独立するために、サロンスタッフ時代から努力していたことは?」など、気になる質問を尋ねてみました。
取材をお願いしたのは…
今回取材をお願いしたのは、横浜や姫路を中心にサロン展開をする人気マツエクサロン「AMERI(アメリ)」社長、カスガ聖子さん。サロンスタッフとして勤めていた方ですが、本社から「別事業を手掛けてみないか」との話を受け、現在はマツエクサロンの経営・社長業務を行っています。
そんなカスガさんに、「アイリストの独立」に関してお話を聞いてきました。
まずは、これまでのキャリアについてお伺いします。
現在まで、どのようなキャリアステップを歩まれたのか教えてください。
カスガさん「最初は広島・岡山で展開するマツエクサロンeye+(アイプラス)で、スタッフとして働いていました」
HotpepperBeauty口コミ総数は全国で第1位。本社を置く広島のみならず、首都圏の有名マツエクサロンオーナーからも注目を集めている、今業界で話題のマツエクサロンです。
カスガさん「そこから店長を経て、マネージャーへ。次第にeye+の店舗数が増えていくと、マネジメントできるスタッフが揃ってきたから、会社的に『新しいことをしてみよう』という方向性になってきて。eye+グループとは異なるカラーのアイラッシュサロン“AMERI”の立ち上げをやってみないか、と新しい事業のお話をeye+社長からいただきました」
アイラッシュサロンAMERIとは
サロン勤務のアイリストなら分かりますが、ほとんどのマツエクサロンの雇用形態は「社員雇用」「パートタイム雇用」。しかし、このAMERIは「業務委託」という雇用形態を採用しています。
女性の多いアイリスト。女性は結婚や妊娠・出産というライフステージの変化に合わせて、働き方を都度考えていかなければなりません。中には社員雇用でサロン勤務を続けていたけれど、家事・育児との両立ができなくなり退職した、というアイリストもいることでしょう。
業務委託のサロンとは、フリーランスとして働くアイリストの活躍の場。固定化された勤務時間などを設けておらず、「自分の生活に合わせて働き、報酬を得る」ことが可能です。現在、都心部では業務委託の形でアイリストが所属できるサロンは増えつつあります。
カスガさん「女性ってライフスタイルが変わりますよね。その人生に合わせた雇用形態を生み出して、女性が活躍する場をもっともっと広げたい。そんな想いのもと働いていたので、『このサロンなら、女性の働き方の多様化が目指せる!』と思って。やります、と受けました」
その後、AMERI代表を経て社長として独立。現在、AMERIは横浜・神戸・姫路に3店舗展開中です。
AMERIのロゴや店舗内装など、とてもステキですね!かわいいと、編集部でも評判です。
カスガさん「ありがとうございます。これは全部、私が担当しました(笑)。独立前にも内装を任せてもらった店舗もあって…」
すごい!感度が高く、多才なカスガさん。アイリストの独立について、さらにお聞きしてみましょう。
独立後、待ち受ける困難とは?また、独立だからこそ得られるメリットとは?
独立にあたって、困難なことはたくさんあると思います。最も苦労した点を教えてください。
カスガさん「最初はもちろん本社(eye+)の支援・アドバイスがあり、いきなりの独立開業ではないのでそこまでリスクはなかったのですが、その後店舗数が増え、従業員が増えるほど、スタッフのみんなの人生を背負っているというプレッシャーが出てきましたね。
一人ひとりの願う『働き方』ってそれぞれなので、満足できる環境を与えられるかが本当に大変で。
AMERIも2号店、3号店と展開していくと、“遠隔マネジメント”が必要になってきます。私一人ですべてを管理するのは物理的にも不可能な部分が出てくるので、右腕(店長、マネージャー)となる存在を見つけないと、育てないといけなくなります。
すると、“人材育成”の面で苦労するんですよね。これは今でも課題だと思っています。どこまで求めるか、にもよるのですが、最も苦労した点です」
大変な苦労ですよね…。アイリスト時代と社長である現在。同じ業界で働いているのは共通ですが、何か変わったということはありますか?
カスガさん「想いを持って仕事をすることに、変わりはありませんね。ただ、業務の内容はまるきり変わりました。
店舗数を増やし事業を拡大していくことは、会社を持っている以上望んでいることなのですが、すると必然とスタッフ数も多くなり、下の子(スタッフ)と意思疎通を取ることが結構難しくなります。でも、「なんでも話せる社長」に私はなりたくて。
だから気配りの一言などはスタッフ一人ひとりに徹底しているのですが、ただ、業務的な情報を下におろすには私が言うのではなく、店長や管理者をたてて、伝えてもらわないといけない。
いちスタッフだったときはあまり気に留めていませんでしたが、独立して社長となり、対スタッフ・対店長で「想いの伝え方」を考えるようになったのは、異なるポイントかなあと思います。
伝え方、そして職場の雰囲気の作り方。難しいな…と日々悩んでいます」
独立を今後考えているアイリストへ向けて「こういうマインドを大切にして欲しい」というポイントを教えてください。
カスガさん「先ほどもお話しましたが、やっぱり空気作りでしょうか。私は店長だったときから、サロンのみんなに“楽しく働いて欲しい”と思っていて。
仕事って楽しいことばかりじゃないですよね。ノルマの設定だってあるかもしれない。でも、楽しくノルマをクリアしたり、楽しく技術を身に付けて欲しい。こう思って仕事をするのはどうでしょうか?
すると、楽しく仕事をするために周囲との信頼関係を大切にできるし、サロンの利益への意識も向くと思います。お客様にも楽しくなってもらうには、利益だけじゃなくお客様第一の目線も大事にできるようになる。
独立ってお話したように、困難や壁は大きいです。だからこそ、ハッピーに仕事できるような、そんなマインドが大切じゃないかなと思っています」
ありがとうございます。カスガさんは、社長となった現在も、プレーヤーとして活躍されていらっしゃるんですよね?
「ずっとお付き合いいただいているお客様だけ、という形ですが、現役アイリストです。というのも、お客様が求めてくださるなら、それに全力で応えたいし、独立して管理・運営業務だけをしていると、『お客様の気持ち』を忘れがちです。
何より、お客様と接することが一番好きだから。アイリストの仕事はこれからも続けていきたいですね!」
では、すこし話は変わりまして、独立して得られるメリットを教えてください!
「独立してサロンを持つと、何を決めるにしても全部自分次第。その分責任もあり、デメリットやリスクを考えないといけないけれど、サロンには『自分の想い』を100%込められます。
私は、女性の雇用機会を増やしたい。多様な働き方を目指したい、と思っていたので、AMERIにはその想いがたくさん詰まっています。
ひらめきや想いをそのまま形にできるのは、独立したからこそのメリットかな、と思いますね」
ステキな想いを、実現されてらっしゃいます。理想的な夢の叶え方ですね!今後の展望など、お聞きしてもいいですか?
「今後は、3年間で10店舗までサロンを増やしたいです!
そして、女性の雇用機会をもっともっと増やしたい。これは私がこの業界で働く上で、変わらない想いですね」
貴重なお話をどうもありがとうございました!
アイリストとして生きている中で、一度は考える「独立」。今回は、サロン勤務アイリストから、マツエクサロン運営を行う会社社長へと独立したカスガさんにお話を伺いました。お話を聞く中で、カスガさんの「仕事への想い・信念」が随所に感じられます。こうした想いを実現するためのキャリアアップには、数々の壁や困難が待ち受けているのでしょう。ただ、それを乗り越えるためには相当な覚悟と、決してぶれることのない信念が大切…。そう学んだインタビューでした。アイリストのみなさんは、今後どんな道を歩みますか?これからの働き方を考える、見つめなおすきっかけとなれば、幸いです。190701E3s