目元のプロとしてコンサルし似合わせ術を提供|株式会社KENDALL代表新井舞氏インタビュー
美容室の一角でサロンをオープンさせ、現在は千葉と東京に2店舗のサロンを運営している株式会社KENDALLの代表を務める新井舞さん。国内外をはじめとするさまざまなアイラッシュのコンテストでの多数の受賞経験があり、高い技術力を誇ります。サロンでの施術の傍ら、セミナーや審査員と幅広く活躍中。そんな新井舞さんが目指しているのが、業界全体の技術力の底上げです。現在の取り組みや業界への想いなど、詳しく聞かせていただきました。
【経営者プロフィール】新井舞さんとは
株式会社 KENDALL(ケンダル)代表取締役 新井舞さん
アイラッシュ&アイブロウサロン経営者として、Ann Moss津田沼店・Ann Moss日本橋店の2店舗を運営。国内外のコンテストに参加しており、ボリュームラッシュやラッシュリフトなどさまざまなカテゴリーで入賞し、トータル11個のトロフィーを獲得。
2023年4月からアイラッシュ施術者のための「舞高技塾」をスタート。自まつ毛改善しながらマツエク・ラッシュリフトができるオリジナルの技術Double Clutch(ダブルクラッチ)を考案。
ボリュームラッシュ、カウンセリング、似合わせセミナーなどの講師としても活躍。
サロン運営を軸に、現在もサロンでアイラッシュ施術を行う。海外スタイルをいち早く取り入れ、リス目、子猫目など日本人に合わせたスタイルを提案。アジア人の二重幅に合わせたスタイルに定評がある。2022年には、コーティングなしでもきれいなワンホンスタイルが作れる美網紅(メイワンホン)セミナーを開催し、話題を呼んだ。
美容学校卒業後すぐにアイラッシュ施術者の道へ!
――――まず、アイラッシュ施術者になったきっかけを教えてください。
両親が美容師だった影響もあり、高校卒業後はアパレルの販売員やモデルをしながら、通信課程で美容学校に通っていたんです。ギャルブームの頃で、まつ毛で顔の印象が変わることは感じていて。アイラッシュ施術者に美容師免許が必須になったタイミングでもあり、美容学校時代にアイラッシュ施術者になることを決め、卒業してすぐに銀座にあるマツエクサロンに就職しました。美容師免許は持っていても、当然マツエク施術は未経験。技術をしっかり教えてくれるサロンを選びました。
――――はじめからマツエク一本だったのですね!実際に施術してみていかがでしたか?
やるからには誰よりもうまくなる!早くデビューする!そう思ってたくさん練習しましたね。マツエク施術はすごく楽しくて、練習は全く苦ではなかったです。細かい作業もデザインすることも好きで、天職に出会えたと思いました!
――――そこからどのくらいで独立されたのですか?
はじめのサロンは、お客様に似合うデザインの提案よりも回転率重視で、自分のやりたい施術ができないと感じたので、半年ほどでやめて独立しました。今考えるとオーナー泣かせだと思うのですが……。美容室の一角を借りてマツエクサロンをはじめました。
メニューを決めるところから全部自分ひとりでしなければならず大変なこともありましたが、そのエリアにマツエクサロンが少なかったので、ありがたいことにすぐに予約がいっぱいになりました。そして2年後に、近くの物件を借りて「Ann Moss 津田沼店」をオープン。スタッフを雇うようにもなり、現在12年目になりました。
――――順調だったのですね!サロン運営しながらたくさんのコンテストにも参加されていますが、きっかけはあったのですか?
サロンがうまくいっていて、技術力にも自信があったのですが、そんなときに海外のマツエク技術に触れる機会があって。ちょうどボリュームラッシュが出てきたくらいのタイミングだったのですが、技術力の高さに衝撃を受けましたね……。「私はまだまだだ!」と思って、まずはボリュームラッシュを絶対習得しようと、SNSなどで海外ラッシュアーティストのデザインを見てひたすら研究し、コンテストにも参加するようになりました。
――――コンテストに初出場してから1年で7つのトロフィーを取得されたんですね……!
トロフィーをもらえたことももちろんうれしいですが、コンテストまでの練習量が自分の力になりました。モデルさんでいろいろなデザインを試したり、審査員が見るポイントを考えたりと、海外のコンテストに参加する施術者は、かける時間や労力が違います。でも、結果としてお客様に還元できるものなので、糧になる時間ですね。時間がなくてもコンテストの予定を入れてしまうようになりました(笑)経験を積み重ねてスタイルの差別化ができるようになり、対応の幅が広がったと思います。写真だけでクセや直すべきポイントがわかるようになったのも、ここでの練習量の成果です。
赤ペン先生MAI誕生!施術者の技術力を塾スタイルで高める舞高義塾
――――2023年春から舞高義塾を始める予定だそうですが、きっかけは?
私のサロンでは、回転率よりも似合わせを重視。自分の技術を高めるためには練習あるのみなのですが、サロンを続けるにあたり、自分以外のスタッフの技術力も高める必要があります。しかし、これが意外と大変で……。スタッフへの育成マニュアルを整えたことが、舞高義塾のきっかけになりました。
以前、海外アイラッシュアーティストAishaさんのセミナーをサポートした際、海外デザインに興味のある施術者が多いということが分かったのですが、その反面海外デザインに特化したセミナーがあまりなかったことも理由のひとつ。講習依頼をいただくことも多かったので、自分の技術を学んでもらえる場を作ることにしました。
――――短期間のセミナーではなく、塾のようなスタイルとのことなのですが、詳しく教えてください。
一般的なセミナーは1~2日くらいの短期間で教えるスタイルが多いですが、教わった技術はやりこむことではじめて身に付きます。セミナーを受けてしばらくは実践しても、定着まではいかないケースがほとんど。そこで考えたのが舞高義塾です。オンラインで月に2~5回、サロンワークが終わったあとに参加できるよう21~22時からスタートする予定。「赤ペン先生」のようなイメージで、教える→実践→実際に施術したデザイン写真へのアドバイスというステップを繰り返し、技術を定着させていきます。
コースによっても異なりますが、3、4ヶ月~半年が受講の目安。マツエク技術を習得したい、独立を考えている、コンテストに出たい、ハイレベルなラッシュアーティストを目指すなど、初心者から上級者までそれぞれの需要に合わせたコースを用意しています。教えたい技術はたくさんありいろいろなコースを考えているのですが、講師は私1人しかいないので今後少しずつ増やしていくつもりです。舞高義塾が気になる方は、インスタをチェックしてみてくださいね!
▷新井さんのインスタアカウント(@annmoss_mai)はこちら
――――舞高義塾のひとつのコンテンツにもなっている、自まつ毛改善サロンとはどんなものなのでしょうか?
自まつ毛改善サロンは、「マツエク=まつ毛が傷む、抜けやすくなる」というイメージを払拭したいという想いから始めました。「毛周期の関係でとれやすいかも……」、「自まつ毛が弱っているから希望本数つけられない」などとお客様に伝えていると、「マツエク=まつ毛が傷む、抜けやすくなる」などという認識を与えてしまい、マツエクをやめるきっかけを作ってしまうこともあります。また、ホームケアとしてまつ毛美容液を購入されても、効果が実感できずやめてしまったり面倒になったりと、ケアが続かないお客様も多いよう。しかし、私のサロンでは10年来のお客様でも、マツエクする前よりもまつ毛の量が増えている人の方が多いんです。
同じお客様でも生え変わりによりまつ毛の状態は毎回違いますが、多くのアイラッシュ施術者は毎回同じように装着していることが多いよう。それが傷む原因です。そこで、私のやり方をマニュアル化したのが、自まつ毛改善サロン。自まつげ改善サロンの特徴は、マツエクやラッシュリフトをしながらまつ育できること。お客様に合った下処理をしてまつ毛の層を見極め、すべての層に装着していきます。
自まつ毛改善サロンで教えるオリジナルの技法Double Clutch(ダブルクラッチ)は、もともとある技術を応用して以前からやっていたのですが、自まつ毛への負担が少なくラッシュをたくさん用意する必要がないなど、自まつ毛改善という観点にもぴったり。舞高義塾で講習するので、自まつ毛改善サロンに興味のある方はぜひ受講してみてください!
▷自まつ毛改善サロンのインスタアカウント(@jimatsugekaizensalon)はこちら
「技術力の底上げでマツエク業界の裾野を広げたい」これが舞高義塾や自まつ毛改善サロンを手掛ける背景
――――今後のアイラッシュ業界について、どう考えていますか?
日頃からSNSに触れているお客様も多く、目が肥えてきているように感じます。それに対応するには、高いアイラッシュ技術が必要です。コロナの影響もあり、マツエクよりもラッシュリフトの需要が高まりましたが、マスクを取る日も近づいており、マツエク需要が戻る日もそう遠くないと思っています。
なにより、マツエクでしかできないデザインもたくさんある。コンテストを通して海外のアイラッシュアーティストさんとのつながりもでき、海外の技術に触れる機会も多くなりました。海外のトレンドデザインを日本人に合わせてアレンジし提案しているのですが、ここももっと力を入れていきたいし、海外のマツエクデザインがもっと日本でも広がればいいなと思っています。今イチオシのアイライナーラッシュやウェットスタイルなど、広めたいデザインもたくさん!
もっとマツエクを広めるためにも、技術力の底上げが課題だと思っています。舞高義塾や自まつ毛改善サロンで技術力を底上げし、マツエク業界に貢献したい、これが私の想いです。
アイラッシュ施術=目元のコンサルティング!プロとして本当に似合うデザインを提供したい
――――最後に、働くうえで大事にしていることを教えてください。
私が大事にしているのは、目元のプロとしてお客様をコンサルするというスタンスです。多くのサロンではお客様側に施術内容を選んでもらうスタイルのカウンセリングが主流ですが、お客様もご自身できちんとイメージできたうえで希望されているわけではないことがほとんど。本当は施術者側が目元のプロとして、お客様に合ったデザインを組み立てて提案すべきだと思っています。お客様の目元をコンサルティングするというスタンスが、もっと広がれば良いですね。
実際に私のサロンではスタッフをそのスタンスで育成しており、はじめは次回予約がほとんど取れなかった新人アイラッシュ施術者が、次回予約を80%も取れるようになりました。今後も最新のトレンドや技術をいち早く取り入れながら、お客様に施術し続けていきたいと思っています。
まとめ
施術者として技術を追求しつつ、その背中で後進のアイラッシュ施術者を育てている新井さん。丁寧な口調の中にも、技術への自信とマツエクへの想いを感じました。新しい塾スタイルの舞高義塾で、新井さんの技術を学びたい施術者も多いはず!高い技術力と日本人向けの海外スタイルに定評のある新井さんの活躍に、一層期待が高まります。
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