プロ美容業界に一石を投じるリーディングカンパニーになるべく、今できること | R株式会社 代表取締役口村健太郎氏へインタビュー
アイラッシュ商材ブランド「RLASH(アールラッシュ)」の運営元、「R株式会社」代表取締役の口村健太郎さんにインタビュー。自社ブランドを経営する傍ら、「一般社団法人日本プロ化粧品協会」代表理事として、アイラッシュ・アイブロウ業界全体の市場価値を上げるための非営利活動にも注力されています。口村さんのまつげエクステとの出会いや、現在行っている事業の内容、さらに経営者としての信念などをお聞きしました。
これまでの経歴とプロフィールについて
出典:@r_cosme.jp
【経営者プロフィール】
R株式会社 代表取締役 口村健太郎
略歴:
法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。
「株式会社リクルート」を経て、2011年「アイデザイン株式会社」設立。国内外にサロンを30店舗展開した後、売却
2016年、化粧品製造業OEMを展開する「株式会社ビューネクスト」を設立
2020年「株式会社ビューネクスト」より自社ブランドを分社化し、「R株式会社」設立
「R株式会社」では、自社アイラッシュブランド「RLASH」で商材を販売するほか、OMEでまつげパーマおよびまつげパーマの商材を扱うメーカーに卸している。
所属団体:
「一般社団法人日本化粧品協会」正会員
「一般社団法人日本プロ化粧品協会」代表理事
ニッチな業界へ参入 ~誰もやらないこと、自分にしかできないことをやる~
口村さんがアイラッシュ業界で起業されたきっかけを教えてください。
リクルートのホットペッパービューティー(以下、HPB)の部署にいたことですね。当時HPBでは、マツエクとネイルは同じカテゴリになっていました。ですが、どんどんマツエク市場が伸びたことで、マツエク単体のカテゴリを新設しようというときに自分がメインで携わっていたんです。
先輩や同期は、「リクルート」を経て同じような広告代理店を起業するパターンが多かったのですが、これから伸びるであろうマツエク業界に魅力を感じ、美容の知識は多くなかったものの、独立を決意しました。
そこから自身でマツエクサロンをオープンしました。サロン経営はうまくいっていたのですが、もっとサロンさんのために役に立ちたいと考え、メーカーや教育にシフトしたんです。
自ら商材メーカーを立ち上げる計画は、以前から持たれていたのでしょうか?
実は、中学を卒業してカナダとアメリカに留学していたんです。留学当初は、地元・名古屋(日本という小さな島国)から、大きな世界に飛び出したという自負がありました。でも海外に行ってみると、日本製の車がバンバン走っているし、多くの人が日本製の家電製品を使っているんです!日本の影響力や存在感ってすごいなと感じ、いつか自分自身で関わる仕事で『日本のモノ』を世界に出したいと漠然と考えていましたね。
その後、たまたまリクルートに入社し、HPBに所属して美容の世界に携わったときに、美容関連のメイドインジャパンの商品は、きっと世界に受け入れられるなと直感したんです。もともと日本にはよいものがたくさんあるのに、その魅力を伝えきれていないなと。そこで、自分が携わっているプロの美容アイテムで、世界へ発信していこうと考えたんです。
出典:@r_cosme.jp
「RLASH」でも、グルーなどの溶剤やパーマ用の薬液など健康リスクの可能性のあるプロ化粧品については、すべてメイドインジャパン。自社ブランドで作っているメイドインジャパンの商材を、日本はもちろん、世界に広げて行きたいと思っています。日本は今、ITや製造業の分野では世界に遅れを取りつつあるといわれています。このままだと衰退してしまう可能性も…。そんな日本に一石を投じられるような経営者になっていくことが目標ですね。
留学のご経験やHPBでのキャリアとマッチしたのが、マツエクやまつげパーマ、眉毛パーマだったということですね。
リクルート時代、IT企業や広告代理店を起業する同僚はたくさんいたんです。そんな中、自分には何ができるだろう…と考えたときに、誰もやらないこと、自分にしかできないことをやろうと。結果、アイラッシュ・アイブロウを選び、ニッチな業界ではありますがある程度の業績を出すことができています。自分が存在することに価値を見出すための手段が、アイラッシュやアイブロウ業界への参入だったということです。
リーディングカンパニーとしてのミッション ~業界健全化のため声を上げる~
業界のリーディングカンパニーになるために。経営上で大切にしていることとは?
日本では、目元の施術に関する法整備が進んでおらず、マツエクやまつげパーマ、まゆげパーマに関して諸外国ではOKなのに、日本ではNGということが多々あります。時代によって流行や常識は変わり、それに合わせてビジネスのスタイルも変化すべきと考えているのですが、法壁を前に日本で行える施術には制限がある状況です。これにより、ビジネス効果も落ちていることは明確です。
私たちは、今の時代に生きる企業だからこそ、「今」のニーズや状況を把握しています。そのため1メーカーとして、確かなエビデンスやソースを提示し、政府に声を上げていくことが大切だと考えています。
またこれまで政府に対して、業界の現状や希望を伝える窓口がなかったため、「一般社団法人日本プロ化粧品協会」という協会ができました。この協会を通じて、民間の1メーカーとして意見を述べるという活動をしています。
団体ではなく、1メーカーとして意見を述べることの意味は?
今は主流になっているまつげパーマや眉毛パーマも、これまでは許されていなかった技術なんですよね。それを認めてもらうために、メーカーとして水面下で活動をしていました。それが実った形です。
主要なメーカーでまとまって意見する手段もよいと思うのですが、今まさに業界で事業をしているメーカーだからこそ説得力を高められると考えました。実際に「R株式会社」では、まつげパーマ・まゆげパーマ用商材やマツエク用グルーも作っています。これらの商品の需要があることや世界的に認められているものなのに、なぜ日本ではダメなのか?ということを誰かが伝えなければならない…。業界の健全化のためにプラスになることをしたいという思いで、非営利活動としてやっています。
技術力×商品力がカギ ~美容師免許を活かす手段を創出する~
口村さんはアップワードラッシュやラッシュリフト、3Dブロウリフトなど、新しい技術も次々と発信されていますよね。
出典:@r_cosme.jp
現在、マツエクのアップワードラッシュ、まつげパーマのラッシュリフト、アイブロウの3Dブロウリフトの3つの技術がビジネスの軸です。どの技術に関しても教育だけでなく、商品も絡めたビジネスを展開しています。技術力と商品力でサロン様のプラスになればと思っています。
サロンの売上を上げるためには、人か店舗を増やさなければなりません。しかし人も店舗も増やさずに利益を上げたいなら、既存のものに付随するメニューを増やすこと。例えば、マツエクサロンであれば、まつげパーマ・眉毛パーマを導入することによって客単を上げることができますよね。特にコロナの時代において、目元を強調できるまゆげへの施術は売上アップに貢献できると思います。
現在、美容師免許が必要なのはヘアとマツエクのみですが、今後はまつげパーマや眉毛パーマの施術にも美容師免許が必要になるだろうというのが私たちの見解です。
まつげパーマや眉毛パーマの施術に美容師免許が必要になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
美容師免許を持つ多くはヘアサロンで仕事をしますが、ヘアサロンの経営は基本的に男性が主体ですよね。男性美容師は基本、30代・40代になったら独立します。ところが女性美容師は20代・30代で結婚・出産などで休職・離職する人も多いですよね。また、多額の資金が必要となる独立もしづらい。
対して、自宅の一室でも開業可能なマツエク・まつげパーマ・眉毛パーマのサロンなら、若い女性美容師でも独立しやすく、美容師免許も活かすことができます。このようにヘアサロン以外の選択肢としての美容師免許の活用の道として、マツエク・まつげパーマ・眉毛パーマがあるという位置付けです。
出典:@r_cosme.jp
日本の美容師免許は国家資格です。首から上への施術でビジネスをすることは、美容師免許を持つ人に与えられた特権。弊社が提供するアップワードラッシュ・ラッシュリフト・3Dブロウリフトなどの新技法は、美容師免許を持つ方々がビジネスの幅を広げる手段になると確信しています。今後も商品力×技術力で、美容師免許を活かしたい方々のキャリアアップを応援し、美容師免許の価値を上げて行くことが弊社のミッションだと思っています。
次なる美容業界の発展のために ~リーダー層の育成にも注力~
口村さんが仕事をされるうえで1番大切にしていることは?
自分は今38歳なんですが、頭が切れて、若い世代のことを理解できるのは60歳くらいまでと考えています。そうすると、残りの22年でビジネス人生の集大成を迎えることに。
余談ですが、自分の苗字「口村」はすごく珍しい名前なので、家族や先祖に恥じないよう何かを成しえて名前を残したいという思いがあります。
自分の死への意識も高く、生かされているうちは自分のビジネス、関わっているすべての人がプラスの方向に向かっていけるように日々活動していくことが重要だと思っています。それが結果的に業界全体のプラスに働けば、もっとやりがいを感じますね。
ただ、特別功績を残したいというわけではなく、自分以外にやる人がいない、自分にしかできないからやろう!という感じ。この時代に、このタイミングで役割が与えられたという使命感が自分を突き動かしているような気がします。
ビジネス人生残り22年の間に、どのようなことにチャレンジしたいとお考えですか?
今後迎える40・50・60代は、これからの日本をしょって立つ次世代のリーダーを育成する側に立てたら最高だなと思います。今の時代を生きる若者たちの中には、コロナによって将来を悲観している人も多いのではないでしょうか。現状を打破するために革命を起こしたい!そんな強い思いを抱く人もいるでしょう。
そんな過酷な時代に生きる若者たちに、何かメッセージを届けられるような存在になりたい。業界を動かすような功績を残すことで、「自分にも何かできるかも!」と若者も思ってくれるんじゃないかなと期待しています。
まとめ
広告代理店から美容業界へ参入した異色の経歴を持つ口村さん。広告代理店時代の経験により、顧客であるサロンやサロンで働く施術者、そして業界全体を俯瞰で見ることができるのが口村さんならではの強み。そして口村さんの活動の根底には、美容師免許の価値の底上げ、女性美容師の雇用創出、アイラッシュ・アイブロウ業界の健全化などへの思いがあります。美容師免許を持つすべての人の未来を明るく照らす、そんな頼もしいリーダーです。
この記事を読んだあなたにおすすめの記事
220720Euk