モチの9割は「グルー選定」の時点で決まっている!? プロに聞くグルーの選び方とは

この記事をシェアする
サムネイル

突然ですが、あなたは「グルーって大体どれも同じでしょ?」と思っていませんか?実は、仕上がりやモチの違いはグルーで決まると言っても過言ではないのです。今日はプロにリサーチした、いいグルーの見分け方についてご紹介します。

グルーはメーカーによって全然違う!

今回グルーについての調査を行った結果、「アイリストとしての経験を積めば積むほど、グルーのメーカー差を感じる」という意見が多くありました。粘度や硬化速度、モチの良さなど、さまざまな部分で違いが生じています。

グルーの主な成分は「シアノアクリレート」と呼ばれる、有機化合物。グルー専用に開発された成分ではなく、瞬間接着剤などでも多く使われています。空気中や皮膚などに含まれるわずかな水分に反応し、瞬間的に硬化・接着する点が特徴です。硬化する際に、「ホルムアルデヒド」という気体を発生させます。アレルギーの原因となる気体で、同じシアノアクリレートの中でも、種類によって放出量は変動。完全に硬化し終わるまで放出し続けます。

他にも、主成分の欠点を補うために「湿気硬化型ウレタン」や着色剤の「カーボン」などの成分も含まれているのです。
メーカーによってグルーの使い勝手が違う理由は、成分配合が異なるため。
しかし、どの程度の差があるのかについては、明らかになっていません。実は、マツエクのグルーは薬事法上「雑貨」の扱いとなります。化粧品などとは異なり、何の成分がどれぐらい入っているのか表示する義務がないのです。
では、マツエクサロンではどのような基準でグルーを選んでいるのでしょうか。ポイントや考え方について、詳しく紹介していきます。

グルー選定の際のポイントや考え方

まず、グルーを選定する際のポイントを見ていきましょう。大きく分けて5つあります。

  • 持続性
    どれくらいの期間、接着を維持できるのかを見ます。
  • 刺激の強さ
    どれぐらいしみるのか、しみないのかを確認します。しみる場合、痛みがあるのか、涙は出るのかなどもチェックしておきましょう。
  • 臭いの有無
    刺激臭があるのか、臭い自体がないのかも大きなチェックポイント。あまり強い臭いの場合、お客さまの中には不安を感じたり気分を悪くされる方もいます。
  • 粘度
    サラサラしているのか、粘りがあるのかも見ておきましょう。サラサラしていると乾くスピードも速い反面、流れやすくなるため扱いが難しいとされています。
  • 硬化速度
    硬化までの速度も見ておく必要があります。どれくらいの時間で固まり、乾くのかテストしてみましょう。

以上、5つのポイントでグルーをチェックしてみてください。

【グルー選びの考え方】
グルーを選定する際に大切な考え方は「自分にとって本当に扱いやすいか」という点です。

例えば、サラサラとした形状のグルーは乾きが早い特徴があります。施術時間の短いベテランアイリストにとっては使いやすいでしょう。しかし、施術に時間のかかるアイリストの場合、硬化速度についていけない可能性も。また、サラサラとしているため扱いも難しく感じるかもしれません。少し硬化速度がゆっくりとしたグルーを選び、丁寧に施術を行なう方が良いでしょう。

マツエクの商材販売では、上級者向けや中級者向けなど、レベル別にグルーを展開しているメーカーも多いです。自分の技術に見合ったグルーを選ぶと良さそうですね。

一番優先するのはモチ?それとも安全性?

難しいテーマではありますが、「安全性の高いグルーの中で、一番モチの良いタイプを選ぶ」がベストです。
アイリストとしてもお客さまとしても、モチの良さと安全性はどちらも譲れないポイント。

たとえば、安全性ばかりを重視しすぎてモチが悪いグルーを使っていたらどうでしょうか?通常3~4週間は維持できるはずのマツエクが、2週間程度で取れてしまうかもしれません。その場合、お客さまは頻繁にサロンへ通う必要があり、金銭的な負担も大きくなるでしょう。

反対にモチの良さだけを重視した場合、アレルギーの可能性が高まります。自まつげへの負担も大きくなり、結果として「マツエクで自まつげの量が少なくなった」といった不満へつながってしまうのです。

残念ながら、100%安全と言えるグルーはありません。しかし、アイリスト次第で安全性を確保できることも事実。グルーの特性や危険性をきちんと理解した上で、正しく対処できる技術が求められます。
例えば、当たり前ではありますが、サロン内の室温や湿度は適切に保たれていますか?施術中、テープを貼る位置はズレていないでしょうか?など、チェックするポイントは沢山あります。アイリストにできる対処法は、必要以上にホルムアルデヒドを放出させないこと、目に入るリスクを抑えることです。

お客さまはまつげのボリュームアップを求めて、マツエクの施術を希望されています。モチの良さを考えながらも、安全に施術を行う使命が、アイリストにはあります。

「エチル」系と「ブチル」系。それぞれの良さ、おススメの選び方とは

冒頭で説明した通り、グルーは「シアノアクリレート」が主成分。シアノアクリレートは5つの分類に分けられ、それぞれ用途や特性が異なっています。

下記の表を見てみましょう。

名称

用途

刺激性

臭い

粘度

強度

メチル

工業用に近い・

金属・壁

強い

強い

弱い

エチル

強い

強い

弱い

メトキシエチル

プラ・ゴム・金属

弱い

弱い

強い

ブチル

医療用・プラ・
ゴム・金属

弱い

弱い

強い

オクチル

弱い

弱い

強い

×

※名称はシアノアクリレートを省略した短縮名称。

上に行けば行くほど、接着部分への刺激が強く、粘着力が高い分類とされています。
中には刺激が強すぎてマツエクに向かないタイプも。現在は、「エチル」シアノアクリレートと「ブチル」シアノアクリレートが主流です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

【エチル系】
特徴:国内のマツエクサロンで、特に多く採用されているグルー。サラサラとした形状ですが、硬化後は他のグルーに比べると硬めです。ホルムアルデヒドの放出量が多い点がデメリット。必要以上に放出させないよう、注意して取り扱う必要があります。また、まれに刺激を強く感じるお客さまもいるため、施術前にはパッチテストを行なうと安心です。

良さ:モチの良さが大きな魅力です。硬化スピードも速いため、上級者にとって使いやすいと言えるでしょう。接着面積が少なくても強度は高めです。

【ブチル系】
特徴:エチル系に比べると、ホルムアルデヒドの放出量が少なめといえる、ブチル系。その安全性の高さから「医療グレード」と認識されています。しかし、安全性が高い反面、接着力は弱め。広い範囲にグルーを付けて、強度を高めましょう。硬化後はやわらかめで、柔軟性のある質感です。

良さ:刺激の弱さが魅力的。ホルムアルデヒドの放出量が低い分、アレルギーの発生率が低いと言えます。また、臭いがない点もお客さまにとってうれしいポイントと言えるでしょう。

【プロとしての選び方】
それぞれの特徴を踏まえて、アイリストはどちらのグルーを選べばよいのでしょうか。見るべきポイントは「お客さまの目の状態」です。

お客さま1人ひとりによって目やまつげの状態も異なりますよね。例えば自まつげの量が少ないお客さまには、接着面が少なくすむエチル系が有効と言えるでしょう。一方で、グルーアレルギーのお客さまにはブチル系を提案したいところですね。接着力が弱めと言われるブチル系も、装着時の工夫次第でエチル系に近い持続力を発揮します。目やまつげの状態を見極めて、グルーを使い分けてみましょう。

まとめ

使うグルーによって、モチの良さや仕上がりの美しさだけでなく、アレルギーの可能性も大きく異なります。もちろん、自分自身との相性も大切です。もし作業スピード自体は速いのに生産性が低いと感じる場合は、硬化スピードの観点からグルーを見直してみてもいいですね。

数あるメーカーの中から、自分に合ったグルーを探していく作業は、気が遠くなるかもしれません。しかし、すべてはお客さまに満足してもらうための大切な工程です。モチの良さは、あなたのグルー選定力にかかっていると言っても過言ではないのです。可能であれば複数のグルーをテストして、それぞれの特徴を調査・把握しておきましょう。

この記事を読んだあなたにおすすめの関連記事

この記事をシェアする