マツエク商材基礎知識!酸性?アルカリ性?前処理剤の知識と選び方
施術に入る前段階で必ず行わなければならない「前処理」。この前処理の仕方次第で、施術パフォーマンスやマツエクの持続性などにも影響すると言われているほど、重要な工程の一つです。そのため、使用する前処理剤についてもしっかりこだわって選びたいところですよね。前処理剤には、大きく分けると酸性とアルカリ性の2つのタイプが存在します。みなさんはこの酸性とアルカリ性の違いについてしっかり把握したうえで、前処理剤を使用できているでしょうか。今回は、前処理剤の特徴や選び方について詳しく検証していきます。
前処理剤の重要性や役割について
まずは、前処理剤の重要性や役割から見ていきましょう。
マツエク装着、前処理剤の重要性についておさらいしよう
アイリストのみなさんにとっては、周知の内容ではありますが、前処理は「まつげに付着している埃や油分、脂質などの汚れをオフする」というのが主な目的です。
そもそもまつげは、目にゴミやほこりなどの異物が入ることを防ぐために存在します。そのため、目には見えなくとも、まつげが空気中に混在している汚れをキャッチし、付着してしまっていることも。また、ノーメイクで来店されているお客様であっても、目をこすったり無意識に触ってしまったりすることで、目元の皮脂がまつげに付着しているケースもあるでしょう。
では、このような状態の自まつげにエクステを装着してしまうとどうでしょうか。
◆汚れが異物となり、エクステが根浮きする
◆マツエクの持続性が短くなる
◆細菌感染を引き起こし、眼病になるリスクが高まる
上記のような状態を引き起こしてしまう可能性が考えられます。マツエクを健康的に長く楽しんでいただくためにも、前処理が果たす役割は非常に大きなものであると言えるでしょう。
前処理剤の種類について知りたい!
ひと昔前のマツエク業界では、精製水を使用してきれいにするのが一般的でした。しかし、精製水では脂質や汚れが落としにくいという背景から、今では前処理剤も大きく進化。現在では弱酸性や酸性、弱アルカリ性や強アルカリ性などさまざまな種類のものが登場しています。
では、酸性なのかアルカリ性であるのかは、何を基準にして分類されるのか。この目安として用いられているのが、ペーハーまたはピーエッチなどと呼ばれる「pH」という単位です。pHとは、水素イオン濃度指数を表すもの。液体内に水素イオンがどれぐらい存在しているかを示します。
画像元:鈴研株式会社
pHは、1~14の数値で表されるのが一般的です。
◆3~6未満…弱酸性
◆8~11未満…弱アルカリ性
◆11以上…強アルカリ性
上記が、酸性とアルカリ性を分類する基準値となります。先ほど、前処理剤にはさまざまなタイプがあるとお伝えしましたが、市販のものを見てみると強アルカリ性を謳う商品はそれほど多くは存在しません。それはなぜなのでしょうか。次で酸性とアルカリ性のそれぞれの特徴について確認していきましょう。
酸性とアルカリ性、それぞれの特徴をチェック
酸性とアルカリ性の持つ特徴について、それぞれ確認してみましょう。
酸性の前処理剤の特徴
酸性タイプのメリットとして挙げられるのは、次の通りです。
◆乾燥しにくい
◆まつげに与えるダメージが少ない
ヒトの肌や毛髪、まつげなどは、pH4.5~5.5の弱酸性です。そのため、毛髪学では、アルカリ性に傾くほど、髪の毛に与えるダメージは比例して大きなものになると考えられています。たとえば、海水浴のあとは髪の毛がキシんだり、パサついたりと傷みを感じることが多いですよね。これは、海水がアルカリ性であるためです。
また、もう一つ注目したいのが、まつげのキューティクルについてです。髪の毛やまつげのキューティクルは、pH値によって開閉する性質を持っています。pH値が高くなるほど、キューティクルは開くとされていて、その開いた隙間部分から水分が逃げ出てしまうことに。そのため、保湿力という点ではアルカリ性よりも酸性の方が優れていると言えるでしょう。
アルカリ性の前処理剤の特徴
続いて、アルカリ性の前処理剤のメリットについても見ていきましょう。
◆グルーの効果を促進する働きを持つ
アルカリ性の特性としてまず挙げられるのが、”高い洗浄力”です。酸性にもある程度の洗浄力は備わっていますが、掃除用具で例えると、酸性は水垢やサビに強く、アルカリ性は皮脂や角質、たんぱく質といった柔らかい汚れを落とす際に用いられています。前述したように、マツエクの持続性アップや美しい仕上がりのためには、前処理で自まつげに付着している汚れや皮脂をしっかり落としきることが大切。グルーの接着性をよくするという点では、アルカリ性の方が適しています。しかし、その一方でpH値が高すぎると、まつげへのダメージも気になるところ。強アルカリ性よりも弱アルカリ性のものが多い傾向にあるのは、この点が大きく関係していると考えられます。
また、アルカリ性にはシアノアクリレートの硬化を促進する働きもあります。そのため、装着前にアルカリ性の前処理剤を使用することは、マツエクの密着度を高めることにもつながります。また、低刺激性のグルーは硬化速度が遅いのが一般的ですが、硬化促進の役割を持つアルカリ性の前処理剤を使用することで、硬化速度をある程度カバーすることも可能に。ストレスのない、安定した施術を叶えられるでしょう。
このように、酸性タイプとアルカリ性タイプはそれぞれメリデメがあります。これを理解したうえで、前処理剤を選ぶことが大切。また、お客様の体質や季節に応じて、酸性とアルカリ性のものを使い分けるのも一つです。
【タイプ別】おすすめの前処理剤
酸性とアルカリ性のタイプ別でおすすめの前処理剤をご紹介しましょう。
酸性タイプでおすすめの前処理剤
ローズラッシュプライマー
画像元:EYELASH GARAGE
ローズエキスを配合した前処理剤です。汚れをふき取った後も、ローズエキスの成分がまつげを保護してくれるため、乾燥しやすい季節にもおすすめ。パッケージのデザインもかわいらしく、ワゴンの上を華やかに演出してくれます。
まつげ用脂質落とし 装着前処理化粧水
画像元:EYELASH GARAGE
こちらは『松風』で人気の前処理剤。まつげにやさしい弱酸性で、敏感肌の人にも使用できます。また、ボトルを立てたまま使用できるワンプッシュタイプなので、液だれしにくく片手でサッと使用できるのも魅力です。
アルカリ性タイプでおすすめの前処理剤
クリアプレプライマー
画像元:EYELASH GARAGE
pH11.3の弱アルカリ性イオン水です。マイナスイオンを多く含み、精製水の100倍ほどの浸透圧と肌に必要なミネラルバランスを持っているため、素早く馴染んで汚れだけを剥離。高い洗浄力でありながら、やさしい仕様の前処理剤です。
ピュアケイ
画像元:EYELASH GARAGE
pH値12.0のアルカリ電解水。エタノールやアミンなど刺激となる成分を含んでいないため、粘膜付近まで安心して使用することができます。また、浸透にも優れていて、水分保持にも効果的です。
まとめ
「マツエクの持ちが悪い」、「何だか目が染みる気がする」お客様からこのような声が聞かれたとき、ついグルーとの相性や自身の技術面にフォーカスしてしまいがちです。しかし、その原因が使用している前処理剤に隠されている可能性も。長く、健康的にマツエクを楽しんでいただくためには、どの前処理剤を使用するのかも大切なポイントです。グルーやエクステが日々進化を遂げているように、前処理剤の新商材も続々と登場しています。ぜひ、あなたのサロンで使用している前処理剤についても今一度見直してみてはいかがでしょうか。190912Emm