【目の知識】寝ているお客様の目がキョロキョロ…なぜ?しくみを解説!
「ベッドに寝ているお客様の目が、まぶたを閉じているのに動いている」という状態に遭遇したことがあるアイリストも多いはず。目が動くと、デザインが崩れてしまうだけでなく、ケガなどの原因にもなる可能性がありますよね。
実は目が動く原因は、睡眠のリズムが関係しているって知っていましたか?
今回は、寝ている人の目の動が動くワケや睡眠のメカニズムについての知識を深められる内容になっています。施術中に起こった際の対策も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
施術中、寝ているお客様の目が動いていることが…
施術中、仰向けで寝ているお客様の目が動いているのを見たことはありませんか?
まぶたは閉じているのに、眼球がキョロキョロ・コロコロと動いている状態。「お客様の寝息は聞こえるけれど、本当は起きていらっしゃるのでは?」と思うかもしれませんね。
この状態、実は睡眠のリズムに関係しているんです。
睡眠時に閉じているまぶたの中で眼球がすばやく動くことを「急速眼球運動」といいます。誰にでも起こる現象で、目が動いていても眠っている状態です。反対に、目が急速に動いていないときは、眠っていても夢は見ていないということです。
なぜ夢を見ていると、まぶたを閉じているのに眼球が動いてしまうのでしょうか?そして、動かないときがあるのはなぜでしょうか?
次項で詳しく解説します!
目が動くワケは「レム睡眠」にあった!
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に区別されます。それぞれの言葉を聞いたことがあるアイリストも多いはず。
なぜ、レム睡眠とノンレム睡眠の話をしているかというと…?
急速眼球運動は英語で「Rapid Eye Movement」と表します。これらの頭文字を取ると「REM」=「レム」と読めますね。
ノンレム睡眠は「Non-Rapid Eye Movement」といい、レム睡眠と反対の意味となります。
つまり、レム睡眠時には急速眼球運動があり、ノンレム睡眠時にはありません。よく聞く言葉には、きちんと意味があったのですね。
レム睡眠のメカニズムとは?
まず、レム睡眠時になぜ目が動いてしまうのか?という点について説明していきましょう。
レム睡眠時、寝ている本人は夢を見ています。体の筋肉が緩み全身の力は抜けていますが、眠りは浅く、脳は活発に動いている状態です。このとき、脳は記憶の整理や過去の思い出の定着を行っています。
これまでに経験してきた過去の記憶はランダムに呼び出されますが、その過程を脳の中で再生しているものです。見ている夢に合わせて急速眼球運動が起こります。
以下のような状態であれば、レム睡眠ということです。
・薄目があいている
・呼吸が速く浅い など
施術の際にも、寝ているお客様の目が動いているということがありますよね。寝ている間は無意識のため、お客様がわざと目を動かしているわけではありません。その点は十分理解するようにしてくださいね。
ノンレム睡眠のときはどうなるの?
目がすばやく動く急速眼球運動=レム睡眠について理解したところで、次はノンレム睡眠についてです。以下のような状態のときは、ノンレム睡眠であると思われます。
・呼吸が安定している&ゆっくり
・多少の物音でも起きない
ノンレム睡眠は眠りの深さに段階があり、最も深い段階だと体を揺さぶられたとしても目覚めにくいという特徴があります。そのため、起きるのに時間がかかったり、起きがけは寝ぼけているような状態になったりします。目が動くことがないため、施術はしやすい状態といえるでしょう。
レム睡眠とノンレム睡眠は切っても切り離せない関係です。というのも、ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に繰り返されるからです。
出典:睡眠改善薬 ドリエル【エスエス製薬】 ※古賀良彦.『睡眠と脳の科学』祥伝社新書, 2014より改変
眠りにつくとまずノンレム睡眠から入り、60分ほどするとだんだんと眠りが浅くなっていきます。その後レム睡眠へと移行します。
1回(ひと晩)の睡眠で「ノンレム睡眠+レム睡眠」の約90分1セットの周期をおよそ3~5回ほど繰り返すと考えられており、睡眠の後半(目覚めの付近)になるとレム睡眠の割合が増えていきます。
お客様がもし施術が始まってすぐに眠ってしまったとすると、レム睡眠=急速眼球運動が現れるのは施術に入ってから60~90分あたりということに。睡眠のリズムや眠りの深さには個人差がありますが、これが基本的な睡眠のリズムとなります。
レム睡眠中、体が突然ビクッと動く現象も…
以前、Beautéで紹介しましたが、急速眼球運動のほかにも寝ている間に体が動く現象として、突然ビクッと体が動く「ジャーキング」があります。ジャーキングは眠りに入るときやレム睡眠時などに起きやすいのが特徴。無意識下での動きなので、施術中に起こると危険な場合も。
理由や対処法についても書かれているため、ジャーキングについても詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧くださいね。
寝ているお客様の目がキョロキョロ…できる対策はある?
寝ているお客様に急速眼球運動が見られると、まぶたも微妙に動きます。動いた状態のままエクステを接着すると、デザインが変わってしまうことに…。しかし、急速眼球運動は無意識な行動のため止めることは難しいもの。
そこで、急速眼球運動が起きてしまったときの対処方法や、事前にできることを覚えておくと良いでしょう。そのときが来たら実践してみてくださいね。
施術中の対処方法とは?
マツエクの施術は1時間以上ベッドに仰向けで寝転ぶため、寝てしまわれるお客様も多いです。そのため、施術中に急速眼球運動が起きやすいレム睡眠の状態となってしまう可能性が高くなります。もしも施術中に目が動き始めたら、以下のように対処しましょう。
②動きがおさまるまで待ち、施術を再開する
目が動いていると、ツイザーの刃先がまぶたに当たってしまうかもしれません。すぐに目元からツイザーや指を離すようにしてください。その後、動きがある程度おさまってから再び施術します。
おさまらない場合は施術をストップし、動きが落ち着くまでしばらく待ちましょう。つけ放題メニューなど時間制限があることの多いサロンではなかなか難しいですが、支障のない範囲で対応できると良いですね。
あまりにも動くことが長引く場合は、ケガなどの防止のためにも、いったんお客様を起こしても良いかもしれません。その際は「お休みのところ申し訳ありません、目が動いてしまって…器具が当たってケガをしてしまうかもしれないため、起きていただいてもよろしいでしょうか?」と、理由を説明し、起きていただくよう促しましょう。
また、お客様の中には施術中に寝てしまうことに申し訳なさを感じている方がいることもあります。もしも「寝てしまってごめんなさい」といわれたときは、「構いませんよ」「リラックスしていただけて幸いです」などフォローの言葉も忘れないようにしましょう。
事前にできることはある?
急速眼球運動はお客様の体質やコンディションによっても起こる・起こらないが変わってくるため、基本的に対処するときは施術の真っ最中ですよね。ですが、事前にできることもわずかながらあります。
それは、レム睡眠・ノンレム睡眠の周期を知っておくこと。
前述したように、レム睡眠とノンレム睡眠は約90分の周期で入れ替わります。施術開始の時間や、お客様が「寝てしまわれた」とアイリストが感じ始めてからの時間を計算することで、「そろそろかな?」とある程度の予測も可能となります。
お客様から事前に「今日は寝てしまうかも」とお申し出があったり、施術中にだんだんと会話が少なくなったりと、感じ取れるサインは多々あります。施術に余裕があれば、一度試してみても良いかもしれません。
いずれにせよ、施術中に急速眼球運動が起こった場合はツイザーを目元から離すなど迅速に対応するようにしてくださいね。
まとめ
今回は、眠っている状態で活発に目が動く「急速眼球運動」が起こる理由や、レム睡眠・ノンレム睡眠との関係についてお伝えしました。マツエクの施術は1時間以上同じ姿勢でいることが多いため寝てしまうお客様も多く、レム睡眠に入る=急速眼球運動が起こる可能性も高いといえます。
実際に急速眼球運動が起きた場合には、今回紹介した対処方法なども参考にしながら、上手に施術を続けましょう。210527Eiy