アイリストの悩みの種…眼精疲労・腰痛・アレルギーの原因や対策を知ろう!
マツエクの施術には、ミリ単位の精度を問われる高い技術や集中力を要します。また施術中に、グルーやプライマーなどに含まれる化学物質を体内に取り込んでしまうリスクがあります。そのため施術を繰り返すうちに、アイリストは大小さまざまな体の不調に悩まされることがあります。中でもアイリストの職業病とも言えるのが、眼精疲労・腰痛・アレルギーの3つ。これらの症状の原因や対策法を知り、アイリストとして長く元気に活躍するためのポイントをご紹介します。
アイリストの職業病!「眼精疲労」の原因と対策
眼精疲労は、アイリストの職業病ともいえる症状のひとつ。では、そもそも眼精疲労とはどのような症状を指すのでしょうか?
眼精疲労とは?
眼精疲労とは、目を使う作業を続けることによって目の痛み・目のかすみ・まぶしさ・充血などが発生し、休息や睡眠を取っても十分に回復できない状態のこと。つまり、目を休ませても、改善が見られない辛い症状に悩まされているなら眼精疲労を発症していると言えるでしょう。
しかし、眼精疲労で発症するのは目の症状だけではありません。実は、眼精疲労によって頭痛・肩こり・吐き気など全身症状が引き起こされる場合もあるのです!
- 長い間、原因不明の頭痛に悩まされている
- 肩こりがひどく、マッサージや整体に通ってもなかなか良くならない
- 施術が続くと、突如原因不明の吐き気に襲われることがある など
上記のようなケースは、眼精疲労によるものかもしれないのです。
眼精疲労の原因
一般的に眼精疲労の原因は、度の合わないメガネの使用や、パソコンやスマホなどの長時間使用などと言われています。また近業(きんぎょう)作業と呼ばれる目とモノが近い状態での作業も眼精疲労の原因となるようです。それ以外にも、緑内障や白内障などの目の病気や、精神的な不安から起こることもあります。さまざまな要因が眼精疲労の原因となるのです。
眼精疲労への対策
まず、眼精疲労が疑われる場合はすみやかに眼科を受診することが大切です。目の症状がある場合はもちろん、原因不明の頭痛や肩こりなども眼精疲労に伴う全身症状である可能性もあります。安易に自己判断せず、一度、眼科で相談してみましょう。
しかし残念ながら、眼精疲労には特効薬がありません!治療として、ビタミン剤が配合された点眼薬や内服薬が処方される場合もありますが、これらは対症療法に過ぎ病気の原因を取り除くことはできません。眼精疲労による症状を改善するには、原因を特定し、排除することが必要です。
ここでは、アイリストが陥りがちな眼精疲労の原因のひとつ、近業作業について考えてみましょう。前述のとおり、近業作業とは目と見るモノとの距離が近い状態で作業をすること。つまり、マツエクの施術を行う姿勢やポジショニングによっては、知らず知らずのうちに近業作業を続け、眼精疲労を引き起こしている恐れがあります。では、近業作業にならないためのポイントをご紹介します。
アイリストが座る椅子を適切な高さにする
高さが合わない椅子を使うと、必然的に自分の目とお客様の目元との距離が近くなり、近業作業となってしまいます。アイリストの身長が異なれば、適切な椅子の高さも異なるため、複数のアイリストが勤務するサロンでは、なるべく高さ調整可能な椅子を用い、近業作業にならないよう注意しましょう。お客様の頭頂部がアイリストのみぞおち付近に位置するのが、理想の椅子の高さです。
背筋を伸ばし、正しい姿勢で施術を行う
頭では「正しい姿勢で施術を行わなきゃ!」と思っていても、疲労が蓄積していたり、施術に集中したりすると、前のめりになり近業作業の状態になってしまうことがあります。眼精疲労と診断された、または目に疲労感がある場合には、普段以上に正しい施術姿勢を意識してみましょう。
こちらが正しい施術姿勢です。股関節あたりで上半身を支えるイメージで背筋を伸ばします。すると、アイリストの目とお客様の目元との距離も適度にキープできますよ。
アイリストの職業病!「腰痛」の原因と対策
腰痛も多くのアイリストを悩ませる症状のひとつです。ちなみに腰痛とは、腰に痛みを生じる症状のことであり、病気の名前ではありません。では、腰痛はどうして起こるのでしょうか?
腰痛の原因
腰痛は、特異的腰痛と非特異的腰痛、そして女性特有の腰痛の3つに大別することができます。
- 特異的腰痛…腰痛全体の約15%:神経を圧迫する脊椎の病気などが主な原因
- 非特異的腰痛…腰痛全体の約85%:日常の生活習慣などが要因。原因不明。
- 女性特有の腰痛…妊娠や生理などが原因で起こる女性ならではの腰痛
これらのうち、多くのアイリストを悩ませるのは非特異的腰痛と考えられます。非特異的腰痛は日常の生活習慣などが要因の原因不明な腰痛。原因を特定するのは難しいですが、以下のような場合に起こりやすいと考えられています。
- 長時間、中腰や猫背などの姿勢が続いた
- 腰や背中の筋肉の緊張状態が続いた
- 運動不足で腰を支える筋力が弱っていた など
「普段の自分に、当てはまるなぁ…。」と感じた方も多いはず!
腰痛への対策
腰痛は、職場環境によって発症するケースが非常に多いことが知られており、同じ姿勢をとり続けるような職場では発生しやすいそうです。アイリストの仕事も例外ではありません。
対策として、まず腰痛がひどい場合には、何らかの病気が腰痛を引き起こしている恐れもあるため、整形外科などの医療機関を受診します。自己診断は禁物!その上で、日常の生活習慣や職場環境などによる非特異的腰痛と判断された場合には、セルフケアが腰痛改善に効果を発揮します。正しいセルフケアを行うことにより、短期間で効果を実感できることもあるようです。ぜひ実践してみてください。
スキマ時間にストレッチをする
長時間の施術が終わったあとや休憩時間などに、腰痛をやわらげるストレッチングをするのがおすすめです。
- 足を肩幅くらいに広げ、腰に手を当てて上体を反らせる
- 同じ姿勢で左右に腰を回す
ストレッチを行う場合は無理せず、心地良いと感じる範囲で行ってください。
スキマ時間にツボ押しをする
腰痛ケアにおすすめのツボ、志室(ししつ)を刺激するのもおすすめです。
志室のとり方:両腕を下ろした状態のヒジと同じ高さで、背骨のやや外側を押して心地良いと感じるところ。
腰痛に効果的な入浴剤を使う
一日の終わりのバスタイムには、腰痛に効果的な入浴剤を使うのもおすすめ。腰まわりの血行が促進されることにより筋肉の緊張がほぐれ、腰痛がラクになったと感じるようです。さらに湯舟の中でツボ押しをすると相乗効果が期待できるでしょう。
また腰痛は、ストレスが原因となる場合もあります。そのため入浴中は、心を解きほぐしリラックスすることも意識してみてください。
アイリストの職業病!「アレルギー」の原因と対策
アイリストの中には、グルーやプライマーなどに含まれる化学物質に対してアレルギーを発症する方もいます。「私、アレルギーじゃないから安心!」と思っている方も要注意!ある日突然アレルギーを発症するというケースもあるので、原因や対策を知っておくことは大切です。では、アレルギーを発症すると、どのような症状がみられるのでしょうか。
アレルギーの症状
グルーやプライマーに対するアレルギーでは、以下のような症状がみられます。
- 目やにが多くなる
- 目のまわりのかゆみ・赤み・腫れが出る
- まぶたがかさつく
- 目がゴロゴロする・異物感を感じる
- 涙が出やすくなる
- 目が充血する
- くしゃみ・鼻水が出る
- 喉がイガイガする など
アレルギーへの対策
アレルギーの症状が思い当たる場合は、眼科や耳鼻科などの医療機関を受診しましょう。医療機関によっては、何の物質に対してアレルギーを発症したのかを調べるための検査を行ってくれます。もしグルーやプライマーなど、マツエクの施術に使用するものがアレルギーの原因となっている場合には、以下のような対策が有効です。
マスク・メガネの着用
グルーによるアレルギーの多くは、グルー硬化時に発生する揮発成分によるもの。揮発成分が目や口から体内に取り込まれることにより、アレルギー症状が出てしまうのです。マスクやメガネは、揮発成分の体内への侵入を防ぐのに役立つのでおすすめ!
手洗いの徹底
アレルギー物質は、手を介して目や口から体内へ侵入するケースも多いです。手洗いが十分でない手で、目元をかいてしまったり、指でリップを塗ってしまったりするとリスクが上がります。こまめに手洗いを行い、手がアレルギー物質の中継地点とならないよう注意しましょう。
グルーやプライマーを変更する
アレルギー反応が強く出てしまう場合は、グルー自体を別のものに変えてみるのもひとつのアイデアです。もし使用しているグルーの主成分がエチルシアノアクリレートなら、医療グレードと言われているブチルシアノアクリレートが主成分のグルーがおすすめです。
ただし、アレルギーの原因物質が分からないまま、グルーが原因と決めつけ、むやみに変更するのは在庫管理やコストの面でもおすすめできません。
マスク・メガネの着用や手洗いを徹底した上で、アレルギーの症状の出方などをしっかりと検査し、グルーの変更を検討しましょう。
眼精疲労…目を使う作業を続けることにより、目に痛みや疲れなどの症状が出る。休息や睡眠を取っても十分に回復できない状態のこと。
近業作業…目とモノとの距離が近い状態で作業すること。
特異的腰痛…脊椎の病気などが主な原因の腰痛
非特異的腰痛…日常の生活習慣などが要因の腰痛
エチルシアノアクリレート…ベーシックなマツエクグルーに使用される主成分
ブチルシアノアクリレート…医療グレードのマツエクグルーに使用される主成分
まとめ
アイリストを悩ませる眼精疲労・腰痛・アレルギーについて、原因や対策などをまとめました。どれもアイリストにとって辛い症状ですが、それぞれの対策は日ごろの業務や日常生活の中で手軽に実践できるものばかり。アイリストとして元気に活躍するためにも、セルフケアを心掛けましょう。191225Euk