どうやってご納得いただく?「自まつげの状態とお客様の要望が合わない時」のすり合わせ方を学ぼう
「お客様の要望は出来るだけ叶えてあげたい…でも今の自まつげの状態では難しい」このようなジレンマは、アイリストであれば一度は経験したことがあるはず。自まつげの状態に合わせたデザイン提案をすることは、お客様の未来のまつげを守るためにも大切なことですよね。今回は、お客様の「自まつげの状態」と「求める理想」、どちらを優先するべきなのかについて一緒に考えていきましょう。
お客様の自まつげの状態をチェックできていますか?
サロンに来られるお客様の多くは、自分のまつげに対して「もっと○○になったらいいのに…」という要望を少なからず持っています。
ただし、マツエクというのは、それらの要望を100%叶えるためのものではありません。アイリストに与えられた使命は、お客様の要望を上手く取り入れながら、その方のまつげに出来るだけ負担をかけることなく、美しく見えるマツエクを提供することにあります。
そのためには、お客様の自まつげの状態をチェックし、場合によっては要望に添えないとお伝えする選択をすることも大切な仕事のひとつ。忙しい合間を縫って来店されたお客様に「要望通りの施術が出来ない」とお伝えすることは心苦しいことではありますが、理由を丁寧に説明し、しっかりと納得してもらえるように努めましょう。
負担になるエクステをご希望のお客様に
お客様の中には、「そもそもどのようなデザインが負担となりやすいのか」、詳しく知らないという方も多いです。お客様に分かりやすく説明できるように、まずは負担となりやすい条件について、しっかりと整理しておきましょう。
負担になるエクステとは?
自まつげに対して負担の大きいエクステとは、一言で言うと重すぎるエクステのこと。
施術後は、「まつげを触る癖がある」「うつ伏せで寝る癖がある」といった、お客様の日頃の習慣も負担の要因にはなりますが、それはあくまでお客様自身の問題。アイリストが施術の際、一番に考えるべきは「自まつげに対して無理のない重さかどうか」ということでしょう。自まつげの太さと比較して過度な重みがかかってしまうようなデザインは、不自然な抜けを招くだけでなく、目元のたるみを引き起こすとも言われているのです。
では、自まつげに対して無理のない重さのエクステとはどのようなものなのでしょうか?
長さ
自まつげの先から伸びるエクステの長さは、自まつげの長さの3分の1以内が適切。それ以上の長さが出るようであれば、自まつげに対して負担がかかりすぎてしまいます。例えば、自まつげの長さが9mmの方であれば、9mmの3分の1(3mm)をプラスした12mm程度のエクステを選ぶことになるでしょう。
ただしエクステは、まつげの根元から1mm程度離した位置に装着することになるため、
(自まつげの長さ)+(自まつげの長さの3分の1)-(1mm)
という式に当てはまる長さが最適でしょう。
太さ
最適な太さは、自まつげと同じくらいのエクステ。倍以上になる太さは、負担が大きすぎるためおすすめできません。もし、お客様が倍以上の太さを望まれた際には、横づけにして太さを出す方法や、マスカラで濃さを出す方法をおすすめするといいでしょう。
カールの強さ
カールの強さというのは、実は自まつげへの負担として直接的に影響することはありません。しかし、カールが強すぎるエクステは、接着面が取りづらいことでばらつきやすくなりがちです。皆さんご存知の通り、ばらつきは、触る頻度が増えたり、ひっかかりやすくなったりしてしまう要因のひとつ。強めのカールを選ぶことは、結果として、自まつげへの負担になってしまうこともあるのです。
本数
本数を確保しようとして、細い毛や弱っている毛に無理に装着すると負担になってしまいます。自まつげが弱っている状態のときには、無理のない本数を装着することが望ましいですが、「とにかくボリュームが欲しい」と言われることもありますよね。そのような場合には、少ない本数でもボリュームを出せるボリュームラッシュをおすすめするといいでしょう。
お客様への説明の仕方は?
「自まつげへの負担が大きすぎるから」とお伝えしたとしても、希望するデザインを変更することは、お客様にとってすんなりと受け入れられることではないはず。お客様にもデザイン変更の必要性をしっかりと納得いただかないと、サロンやアイリストへの不信感にもつながりかねません。誠意ある対応だと感じてもらうためにも次のようなことに気を付けてみるといいでしょう。
「出来ません」だけではなく代替策を提案する
お客様の要望に対して「出来ません」と一言で済ませるアイリストはまずいないでしょう。しかし、その後の代替策まで丁寧に提案出来ているアイリストは、それほど多くはありません。
例えば、自まつげが短いお客様が「まつげをぱっちり見せたいからCCカールをつけたい」と望まれたとしましょう。短い毛に対して強めのカールをつけたとしても、接着幅が多く取れず、重みで下がってしまいます。このような場合は、短め、または細めのCCカールで出来るだけ重みをとるようにするといいですね。正面からもカールが見えやすくなるだけでなく、負担も軽くなり、モチもよくなるはずです。導入しているサロンはまだ少ないですが、アップワードラッシュを装着するという方法もおすすめです。
要望の裏に隠れた”理想のイメージ”まで聞き出すようにする
お客様の要望と言うのは、その方の頭の中にある理想の”氷山の一角”に過ぎません。例えば、「目を大きく見せたい」という理想があったとしても、それを実現するために選ぶ本数は人それぞれです。「なぜその方はそのデザインを強く望まれているのか」についても深く掘り下げてヒアリングすると、要望の内容とその方の理想にずれがあることも。その方の理想を叶えるための最適なデザインをアイリストからも提案してあげることで、仕上がりへの満足度も高まるでしょう。丁寧にヒアリングしてみると、その方が望まれていた負担の大きいデザインをもっと最適なデザインに変更する糸口も見えてくるかもしれません。
未来のまつげも考える
お客様が望まれているデザインに対して負担が大きいとお伝えしたとしても、中には「多少負担がかかってもいいから、要望通りに仕上げてほしい」と言われることもありますよね。まつげの専門家ではないお客様にとって、自まつげのダメージというのはそれほど重要なことではないかもしれません。「すぐに治るはず」「まあいっか」で簡単に済ませてしまう方もいます。
しかし、まつげのダメージというのは、日々蓄積されていくもの。不自然に抜けてしまった毛は二度と生えてこないこともあります。アイリストとしては、もっと自まつげの状態に危機感をもってもらえるよう、お客様を導いていかなくてはならないでしょう。そのためには、現在のまつげの状態だけではなく、未来の状態についてもお伝えする必要があります。
具体的には、
- 「今の自まつげの状態でこのデザインを装着すると、将来まつげの本数が少なくなる可能性が高いです」
- 「負担をかけすぎてしまうと、思い通りのマツエクができなくなってしまうこともあります」
- 「今からケアをしていけば、マツエクのモチも良くなるはずですよ」
といったように、「今○○をすれば、将来○○になる」というようなお伝えの仕方を心がけてみましょう。
もし、結婚式などの事情があって「どうしても!」と言う方には、負担が大きいデザインだったとしても、要望通りのデザインで付けてあげた方が喜ばれるでしょう。ただ、スキルが高いアイリストとは、難しい要望に対するアプローチの選択肢が多くある人のこと。お客様の要望を上手く取り入れながら、出来るだけ負担のない形で実現できるだけの知識と技術力がある人のことを言います。より多くの提案の”引き出し”を持てるように、日頃から一辺倒な対応ではなく、「どんなアプローチの仕方があるか」を意識するようにしておくといいですね。
まとめ
数あるサロンの中には、自まつげが弱っているお客様であっても「まぁいっか」で施術に踏み切ってしまうようなところもあります。ただし、それでは今のお客様を満足させることはできても、未来のことまで考えられているとは思えません。長く、そのサロンに通っていただくためには、お客様のまつげのことも自分のことのように考えていく姿勢が必要。その場しのぎの施術をすることのない、「お客様から信頼されるアイリスト」を目指していきましょう。
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