美容サロンオーナーは知っておくべき!起業に役立つ助成金・補助金ガイド

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起業 助成金

起業を考えたとき、心配事のひとつにお金の問題があります。店舗を借りたり、設備や備品をそろえたりする際、高額な費用がかかることは想像に難くありません。そこで活用を検討したいのが、助成金や補助金です。今回は、美容に関わる起業の際に役立つ制度を一挙に紹介します。アイサロンや美容室などの開業を考えている方は、内容を把握して起業の第一歩を踏み出しましょう。

起業時に活用できる主な助成金・補助金制度

起業 助成金

アイサロンなど、美容関係の起業の際に活用できる助成金や補助金制度を紹介します。ここで覚えておきたいのが、助成金と補助金の違い。分かりやすく表にまとめました。

助成金

・労働者の職の安定を図る活動に対する支援金(例:職場改善)

・基準を満たしていれば受け取れる

・返済不要

補助金

・事業拡大を図る活動に対する支援金(例:設備投資)

・予算や採択数が決められているため審査を受ける

・返済不要

助成金は、基準から外れていない限りほぼ受け取れるでしょう。一方、補助金には審査があり採択数も決まっているため、受給できない可能性もあります
ここでは、起業時に活用できる主な助成金・補助金の特徴や要件、申請方法などを解説しましょう。なお、起業に関するものに限らず、助成金・補助金は返済不要です。

小規模事業者持続化補助金<一般型>

小規模事業者の持続的な経営を支援する補助金です。基本的な「通常枠」の概要を紹介します。

対象者

小規模事業者

※サービス業の場合、常時使用する従業員が5人以下

対象経費

機械装置の購入費、広報費、ウェブサイトの開発・運営費 など

補助率・上限額

2/3(上限:50万円) ※インボイス特例適用で+50万円

申請方法

電子申請、または所在地の商工会事務局に書類を郵送

販路開拓に加え賃金アップなどの取り組みを行い、追加申請要件に該当する場合は「賃金引上げ枠」「創業枠」といった特別枠の申請が可能です。特別枠の場合、補助上限が200万円に増額します。

制度の詳細はこちら
https://r3.jizokukahojokin.info/index.php

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

革新的なサービス開発や生産プロセスの改善をサポートする、ものづくり補助金。美容サロンの場合「最新機器を導入したい」「新たなサービスを始めたい」といったケースで活用できます。

対象者

中小企業・小規模事業者

対象経費

技術導入費、機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費 など

補助率

中小企業:1/2、小規模事業者:2/3

※枠・条件によって補助率は異なる

従業員数別上限額

5人以下:1,000万円

6~20人:1,500万円

21~50人:3,000万円

51~99人:5,000万円

100人以上:8,000万円

※枠・型によって上限額が異なる

申請方法

電子申請

制度の詳細はこちら
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

IT導入補助金

営業課題の解決に向け、ITを導入する際に活用できる補助金です。ITツールを取り入れることで、お客様のカルテ管理やスタッフの給与計算などの作業効率アップが目指せるでしょう。なお「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」など全5種類ありますが、今回は通常枠の内容を紹介します。

対象者

中小企業・小規模事業者

対象経費

ソフトウェア購入費、最大2年分のクラウド利用料 など

補助率

1/2以内

プロセス別補助額

1プロセス以上:5万円以上150万円未満

4プロセス以上:150万円以上450万円未満

申請方法

電子申請

制度の詳細はこちら
https://it-shien.smrj.go.jp/

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップや休暇に活用できます。コースは「人材育成支援」や「教育訓練休暇等付与」など6つ。今回は、新規事業の立ち上げに伴う訓練経費を助成している「事業展開等リスキリング支援コース」の概要をチェックしましょう。

対象者

雇用保険適用事業所の事業主

主な要件

・OFF-JTによって実施されている訓練を行う

・実訓練がトータル10時間以上である など

助成率・助成額

(中小企業)

経費助成:75%

賃金助成:1人1時間あたり960円

訓練時間別助成限度額

(中小企業)

10時間以上100時間未満:30万円

100時間以上200時間未満:40万円

200時間以上:50万円

申請方法

電子申請または各都道府県労働局またはハローワークに書類を提出

制度の詳細はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

地域別の起業助成金・補助金情報

起業 助成金

起業をフォローしてくれるのは、国だけではありません。都道府県や市町村でも、独自に支援制度を実施しています。ここでは、代表的な助成金・補助金をピックアップしました。

【山形県】やまがたチャレンジ創業応援事業

地域ニーズにマッチする事業や独自性のあるサービスなど、すぐれたビジネスプランを打ち出している創業者に対し、助成金を交付しています。一般型の要件をまとめました。

主な対象者

申請者の住所地が山形県内にある小規模創業者

対象経費

創業申請経費、人件費、リース料、広告宣伝費 など

助成率・上限額

1/2以内(上限:50万円)

申請方法

商工会議所・商工会に書類を提出

県外から県内に移転して起業する「UIターン型」、女性や35歳未満の若者が新規事業を行う「女性・若者創業型」などの要件にマッチすれば、助成率が2/3、上限額がプラス25万円になります。

制度の詳細はこちら
https://www.yamagata-cci.or.jp/sogyo-ouen/sp_02.html

【東京都】創業助成事業

東京都での開業率向上を図るため、東京都と公益財団法人「東京都中小企業振興公社」が起業時に必要な経費の一部を助成しています。要件を満たすには2ヵ月以上かかるため、計画的に準備しましょう。こまかい要件は「TOKYO創業ステーション」のウェブサイトでご確認ください。

主な対象者

東京都内で創業を予定している個人、または創業5年未満の中小事業者

対象経費

賃借料、専門家指導費、器具備品購入費、人件費 など

助成率・上限額

2/3以内(上限:400万円)

申請方法

電子申請、または東京都中小企業振興公社に書類を郵送

制度の詳細はこちら
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

【富山県】ワクワクチャレンジ創業支援事業

富山県では、優秀なビジネスプランに対し補助金を交付しています。その名のとおり、募っているのはワクワクするような新事業。地域経済に資する事業であれば、ジャンルは問われません。

主な対象者

富山県内で創業を予定している、または創業3年未満の方

対象経費

機械設備費、店舗改装費、専門家謝金、人件費 など

補助率・上限額

1/2以内(上限:100万円)

申請方法

富山県新世紀産業機構に書類を郵送

制度の詳細はこちら
https://www.tonio.or.jp/search/wakuwaku-2024/

【岐阜県】岐阜県スタートアップ企業支援補助金(一般枠)

岐阜県内で開業し、新たなサービスの提供や新商品の開発などを目指す事業をサポートする補助金です。

主な対象者

岐阜県内の新規創業者、または創業5年未満の中小企業者

対象経費

店舗等借入費、消耗品費、研究開発費、人件費 など

補助率・上限額

2/3以内 ※女性または障害者の場合は4/3以内(上限:500万円)

申請方法

岐阜県産業経済振興センターに書類を郵送

他の模範となる事業である「ぎふプライムスタートアップ」に認定された場合、補助限度額が1,000万円にアップします。

制度の詳細はこちら
https://www.pref.gifu.lg.jp/site/pressrelease/366257.html

【兵庫県】起業家支援事業(一般事業枠)

兵庫県では、起業を目指す方を対象に、新事業の開発や展開にかかる経費を一部補助しています。なお、補助金を受給するには審査会でビジネスプランが「有望である」と選定される必要があります。

主な対象者

兵庫県内で起業や第二創業をしている、または予定のある方

対象経費

初度備品費、事務所開設費、専門家経費、広告宣伝費 など

補助率・上限額

1/2以内(上限:100万円)

※空き家を改修して活用する場合は、100万円を上限に加算

申請方法

商工会などに事前相談したのち、ひょうご産業活性化センター創業推進部新事業課に書類を提出

制度の詳細はこちら
https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr10/kigyouippann.html

美容業界で活用できる起業前後の支援制度

起業 助成金

さまざまな助成金・補助金制度を紹介しました。続いて、対象となる資金別に活用できる制度を整理していきましょう。なお、紹介する制度はあくまで一例です。

設備投資や技術導入に関する助成金・補助金

施術用のベッドや照明、鏡など、サロンに必要な設備は数多くあります。新たなメニューを展開するために、最新機器を導入したいケースもあるでしょう。このような場合には、次の3つの制度が活用できます。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • IT導入補助金

店舗改装に関する助成金・補助金

店舗を改装する費用を賄える制度に、小規模事業者持続化補助金があります。また「新型コロナに対応できるように店舗を改装したい」といった場合は、事業再構築補助金も検討してみましょう。事業再構築補助金の対象は、ポストコロナに対応した事業です。

事業再構築補助金の詳細はこちら
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

人材育成・処遇向上に関する助成金・補助金

従業員の育成にかかる費用は、人材開発支援助成金の「人材育成支援コース」が頼りになるでしょう。教育にかかる経費だけでなく、賃金も助成の対象です。

また、非正規雇用の従業員の正社員化・処遇改善を図りたい場合は、キャリアアップ助成金の活用を検討しましょう。従業員の育児休業をサポートしたり、介護離職を防止したりといった取り組みを行った事業者は、両立支援等助成金に申請可能です。

キャリアアップ助成金の詳細はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

両立支援等助成金の詳細はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

起業や経営相談・専門家派遣サービス

金銭的な支援ではありませんが、相談や専門家の派遣を依頼できる場所も把握しておきましょう。起業や経営で困ったときは、次の窓口に問い合わせてみてください。

日本政策金融公庫

内容に適した相談先の紹介

(例:美容業界の営業に関する情報提供を受けたい場合、都道府県生活営業指導センターを紹介)

よろず支援拠点

小規模事業者や中小企業を対象に、経営上の悩みを回数制限なく無料で相談できる

中小企業基盤整備機構

AIを活用した起業相談チャットや専門家による経営相談ができる

日本商工会議所

全国500ヵ所以上ある拠点で、創業や資金調達などさまざまな相談に対応している

助成金・補助金申請のポイントと注意点

起業 助成金

ここからは、助成金や補助金の申請に失敗しないためのポイントを紹介します。

申請書類の作成と提出の流れ

助成金や補助金に申し込むには、所定の書類の提出が必要です。種類は制度によって異なりますが、一般的に次のような書類を添えて申請します。

  • 専用の申請書
  • 確定申告書
  • 開業届
  • 事業計画書 など

書類作成には手間や時間がかかるため、制度の利用を検討し始めたら早めに準備しましょう。また、書類提出から入金までの基本的な流れは以下のとおりです。

1.申請
2.審査
3.採択・交付の決定
4.事業開始
5.事業の実施報告
6.助成金・補助金の入金

注意したいのは、入金のタイミング。採択が決定したらすぐお金をもらえるわけではありません。基本的に、事業を実施してからの入金になります。そのため、受給前の事業にかかる経費は自己負担になることを覚えておきましょう。

採択されやすい事業計画作成のコツ

補助金の採択可否のキーポイントである、事業計画書。なんとなく作成するのは、おすすめできません。以下のポイントを踏まえて綿密な計画を立てましょう。

  • サロンのコンセプトを明確にする
  • サービスの将来性を伝える
  • 客観性のある価格設定や売上予測を立てる

具体的な事業計画に仕上げることで、補助金の採択を得やすくなるだけでなく、客観的に自分自身の事業内容を把握できるというメリットもあります。

よくある申請ミスと対策

助成金や補助金の申請時に、起こりがちなミスをまとめました。

  • 制度の目的とのミスマッチ
  • 申請書類の不備
  • 申請期限切れ

目的とマッチしていない制度に申請した場合、支援が受けられない可能性も。自身の計画を理解したうえで、適切な制度を選びましょう。「書類に不備があって受け付してもらえなかった」という事態を防ぐために、自分の目だけでなく第三者にチェックしてもらうと安心です。また、希望する制度の手続き方法と期限をしっかり確認し、余裕をもって計画を立ててください。

助成金・補助金以外の起業資金調達方法

起業 助成金

最後に、助成金や補助金以外で起業資金を調達する方法を見てみましょう。

融資制度の活用

銀行をはじめ、日本政策金融公庫・信用保証協会・自治体などで、起業時に利用できる融資を実施しています。融資のため利息をつけて返済する義務は生じますが、まとまった開業資金の確保が可能です。一例を紹介します。

【日本政策金融公庫】新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

対象者

新事業を始める方、または事業開始後約7年以内の方

※女性、または35歳未満か55歳以上

資金使途

設備資金、運転資金

融資限度額

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

返済期間

設備資金:20年以内、運転資金:10年以内

※うち据置期間5年以内

 

【大阪信用保証協会】開業・スタートアップ応援資金(開業資金)

対象者

大阪府で事業を始める方、または事業開始後5年未満の中小企業者

資金使途

開業資金

融資限度額

3,500万円

保証期間

10年

クラウドファンディングの利用

クラウドファンディングで寄付を募って資金を調達する方法もあります。インターネットを活用し、不特定多数の方から少額を集めるため、拡散性の高さや手軽さが魅力です。ただし、寄付してくれた方々に、お礼の品やサービス、特典などのリターンが必要になる場合もあります。

投資家からの資金調達

投資家に出資してもらい、起業資金に充てるのも1つの手です。ただし、投資家から出資してもらう際は、次の点に気をつけてください。

  • 出資の限度額
  • 利息と返済期間
  • 利息以外にかかる費用

特に注意したいのが、利息以外の費用です。利息とは別に「売上の5%」といった費用を求められるケースがあるため、必ず確認しましょう。

まとめ

「起業にはお金がかかるから」と諦めるのは尚早です。国や自治体では、起業をサポートする助成金や補助金が数多く実施されています。中には、起業する女性を応援する制度や、フリーランスや個人事業主が開業する際に活用できる助成金もあります。事業計画を練り上げ、マッチする制度に申請してみましょう。今回紹介した制度の情報も参考に、開業の夢を叶えませんか?

※本記事の内容や金額はすべて、2024年11月時点のものです。最新情報は、公式HP等よりご確認ください。

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