「託児室つきマツエクサロン」って儲かるの?サロン目線に絞って考えよう

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「子ども連れOK」サロンにすることで、サロンに行きにくいママ層をお客様として呼び込むことができることは『世の中のニーズに対応できていますか?「子供連れ」での施術時の対応と配慮』でもお伝えしました。しかし、経営者目線で気になることは、託児室つきマツエクサロンは儲かるか否かという部分ではないでしょうか。今回はサロン目線での託児室つきサロンについて考察してみましょう。

「子ども連れOKサロン」にはどんなパターンがあるの?

子ども連れOKのマツエクサロンのパターンは大きく分けて3種類。

キッズスペースのあるサロン

個室、または半個室のあるサロン

託児室が別途準備されているサロン


これらが子ども連れOKサロンの種類になっています。

子ども連れOKのルールと取り入れるにあたって、1人遊びができる3歳以降くらいの年齢ならOKという原則としているサロンが多いようです。マツエクサロンで1人のお客様にかかる施術時間は通常1時間から1時間半。新規のお客様の場合なら、カウンセリングも含め2時間ほどかかる場合もあります。施術中は目を閉じた状態になりママが子どもに対応することはできないため、子ども1人同伴した場合は1人で遊びながら待っていてもらうことになります。

キッズスペースのあるサロン

キッズスペースのあるサロンでは、

キッズスペースが別途あり、そこでママを待ってもらうサロン

施術スペースのある個室にキッズスペースも用意されているサロン

の2種類があるようです。

キッズスペースが施術スペースと離れた場所にある場合、ママと離れても遊べることが子ども連れの条件となります。ずっとスタッフがそばについておくことは難しいかもしれませんが、レセプションや手の空いているアイリストなど、見守り保育できる状態のスタッフがいる必要があるでしょう。施術スペースにキッズスペースがある場合、子どもはママの近くで過ごせるので安心できるかもしれません。しかし、アイリストは施術しながら子どもの状態や動向を常に気にかけることになります。アイリスト目線で見ると、別のスペースで子どもが過ごす状態の方が施術に集中できるでしょう。

個室、または半個室のあるサロン

個室、または半個室のあるサロンでは、持参したおもちゃなどで遊びながら施術中の時間を過ごすケースが多いようです。個室の広さにもよりますが、スペースが許すなら2人、3人と兄弟が一緒に過ごすことも可能。2人以上であれば兄弟で遊びながら待つことができるため、1人よりも待ち時間が比較的苦にならないようです。子ども連れ専用の個室を用意しているサロンもあります。

託児室が用意されているサロン

託児室が用意されているサロンは、施術スペースとしっかり区分けした子ども専用スペースがあることになります。部屋自体が別になっているため、保育専門のスタッフをアイリストとは別で雇っているというサロンが多いようです。

市町村によっても異なりますが、児童福祉法では乳幼児の預かりが5人以下の施設については届け出の対象外になります。

もしも5人以上同時に預かることのできるサロンにする場合、託児施設として届け出が必要です。ただし、届け出が必要ない場合でも大事な子どもを預かっていることには変わりありません。保育管理や安全・衛生面などにしっかりと配慮して運営に臨む必要があります。

託児付きサロンのリスクや制約とは?結局のところ、儲かるのか?

託児付きサロンを経営する難しさはどんなところにあるのでしょうか。託児付きサロンで起こりうる事態について想定してみましょう。

キッズスペースのあるサロン「サロン内での子どもの事故の可能性」

施術スペースとは別途キッズスペースがある場合、1人遊びができることが条件になるかもしれません。子どもの事故の責任はとれないとしているものの、サロン内での事故はできるだけ避けたいものです。しかし、キッズスペースで転ぶ、キッズスペースを抜け出して施術スペースに入る、物にぶつかるなど、子どもの動きは予期できないこともたくさん。スタッフが見ていないタイミングもあるでしょう。誰も見ていない状態で事故が起こった場合、その原因がはっきりしないため、お客様トラブルに結び付く可能性もあります。

個室、または半個室のあるサロン「施術事故が起こる可能性」

個室、または半個室の場合、ママの施術中に子どもは同じ部屋で過ごすことになります。ずっとおとなしくできればいいのですが、大人の希望通りにならないのが子どもです。初めはいいこに1人遊びしていても、時間が経つにつれて飽きてしまうことも少なくないはず。グズグズしてしまったり、ママの近くに行こうとベッドをゆらしてしまったりということもあるかもしれません。もちろんアイリストも注意しながら施術するはずですが、急に動かれてしまってはとっさの対応ができない可能性も十分に考えられます。先のとがったツイザーやライトなど危ないものもあるため、施術事故につながることもあるかもしれません。

託児室が別途準備されているサロン「初期費用や人件費がかかる」

アイリストが施術に集中できる環境を作るためには、施術室とは別に託児室を設け、保育士やシッターなどの専門のスタッフがいることが望ましいでしょう。アイリストもママも安心して施術に臨むことができます。しかし、人を雇うとなると発生するのは人件費。託児室のためのスペースの確保やそれに伴う初期費用も必要になります。託児室を作る費用をかけるということは、1日の施術人数が増える状態にしなければ託児室を作る意味がありません。それに合わせてアイリストを増やす必要もあるかもしれません。託児室を作ることでどれだけのお客様の来客が見込めるかは、サロンのある場所や集客次第。託児室やその整備に初期投資をしても回収できるかどうか、ここをしっかりと見極める必要があります。

 

結論:子ども連れOK=儲かるではない! 

子ども連れOKのサロンは集客材料にはなりますが、それに応じたリスクも伴います。難しさを踏まえた上で儲けが出るかどうかの検討が必要です。実際の例を挙げて考えてみましょう。

在籍アイリスト4人のマツエクサロンがあるとします。ある程度顧客もつき経営も順調です。子育て家庭の多い地域のため、キッズスペースを確保し託児サービスをスタートすることにしました。施術室は個室のため、受付付近にキッズスペースを設け、常勤の保育士を1人パート勤務で働いてもらうことにします。

キッズスペース設置のために新たにかかる費用

保育士の人件費(週5勤務9時~18時):およそ月12万円

キッズスペース設置のための初期費用:およそ20万円

【キッズスペース設置の内訳】

・床にソフトマットを敷く

・キッズスペースの収納家具

・キッズスペースの安全対策グッズ

・キッズスペースとサロンの仕切りを設置する

・おもちゃや絵本を準備する

・DVDプレイヤーとDVDを準備する


実際には保険や運営費細かいものが上乗せになりますが、今回は単純に考えましょう。
保育士の給料12万円分をアイリストがプラスで稼がないといけないこととなります。

マツエク施術の単価:1人5,000円

マツエク施術の利益率:50%

 

とすると、アイリストの給料を単純にアイリスト4人で割り振り、1人3万円プラスで稼ぐのが前提です。アイリスト1人につき現状から月12人お客様を増やさなければならない計算になります。1週間で考えると3人以上の子連れママがお客様として来店してもらえるように営業をかけることとなります。

あくまでこれは最低限のラインです。キッズスペース設置のための初期費用を回収するためには、この最低限以上の利益を毎月安定して計上できた上で、さらに利益が出せなくてはならないことになります。キッズスペース導入前と比べ、アイリスト1人当たりプラス40,000円前後の売り上げアップが見込めるようならやる価値があるのではないでしょうか。

また、マツエク施術ができる人数には限りがあるもの。集客がUPするなら、アイリストの増員も視野にいれなくてはならないかもしれません。となると人件費がさらに上がることとなります。

さらには子連れでの施術はベッド回転率をどちらかというと悪化させるもの。そのため

子育て家庭の多い地域かどうか

近くに子ども連れを狙った競合サロンの有無

現状のお客様からのニーズの有無


などをしっかりと考えなければなりません。

子ども連れサロンのリスクがあることをきちんと把握した上で、利益が出せるかどうか検討し、サロン作りの方向性を探ることが重要になるのではないでしょうか。

「子連れOK」のニーズに対応する方法

サロンに託児室を作るのは予算の面で難しいけれど、「子ども連れOK」サロンに対するニーズには対応したい。その場合、どのような方法が考えられるのでしょうか。その方法を探ってみましょう。

子ども連れ専用の個室を用意する

おもちゃやDVDなどのおもちゃを用意した、子ども連れ専用の個室を用意するのもいいでしょう。子連れOKになっているサロンでも、おもちゃは各自持参するようにお願いしているケースが多いようです。しかし、子どもは普段とは違ったおもちゃに気分が上がるもの。おもちゃを忘れた!という場合、ママのスマホで動画を見せるケースも多いようですが、1時間~2時間という長い間ずっとそれだけに集中していてくれるかは、年齢にもよりますが怪しいところ。操作が自分でできない場合、何度も施術を中断させられて困ることもあるでしょう。子ども連れ専用の個室を1つ用意しておけば、子ども連れでも安心して足を運べるサロンになるのではないでしょうか。

キッズスペースを用意し見守り保育のみ行う

レセプションが2人以上いる場合なら、キッズスペースを受付から見える場所に用意するというのも方法の1つです。子どもがキッズスペースを利用している際は、レセプションが受付から見守り保育を行います。施術中ずっと子どもの横についておくのは難しいかもしれませんが、受付から子どもを見守りつつ、その場で仕事をすることもできるかもしれません。

同伴者OKのルールを作る

保育専門のスタッフを雇う余裕がないなら、施術中に子どもと過ごしてくれる同伴者を連れてきてもらうのも1つの手段です。子どもだけの場合よりもスペースは必要になるかもしれませんが、お客様の旦那さんやお母さんなどが一緒なら子どもも安心して過ごすことができるでしょう。これならキッズスペースの見守り保育も必要なし。同伴者には施術中の危険をしっかりと説明し、子どもをベッドに近づけないようにしっかり見ておいていただくよう協力をお願いするようにしておくのがいいでしょう。

近隣保育園や託児ルームと提携する

近隣の保育園や託児ルームと提携し、施術の時間のみ一時預かり保育をお願いするという方法もあります。もちろん保育園は預けられる人数の定員もあるため、予約可能日は限定されます。しかし、資格を所有した保育士に見ておいてもらえるということでママも安心できるのではないでしょうか。まだ保育園に預けたことがないという場合、保育園の体験ができるというメリットにもなるかもしれません。保育園と提携する場合、保育園とサロンの情報共有がしっかりできていることが大切です。保育料はどうするのか、受け入れ枠の設定方法について、託児に関する問い合わせ窓口はどこにするのかなど、ルールをしっかりと定めた上で運営する必要があるでしょう。

ホームページなどで子ども連れでの施術の流れを詳しく載せておこう

サロンに子どもを連れて行くのはママにとって大変なこと。施術当日の流れをしっかりとホームページに記載しておくと親切です。子どもの過ごす場所、子どものための持ち物、施術にかかる時間など、ママの知りたい情報をしっかりと載せておきましょう。写真があればさらにイメージしやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

世の中のニーズに対応することも大切ですが、子ども連れOKにするためにはそれ相応のリスクが伴います。子ども連れOKのサロンを作りたいと考えているなら、リスク部分をしっかりと踏まえた上で、事故の可能性を排除した環境作りやルール作りが必要になるのではないでしょうか。経営面からはもちろんのこと、現場で実際に働くアイリストの意見を参考にして、そのサロンに合った子ども連れへの対応方法をしっかりと考えてみてください。180929Ess

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