まつげパーマを施術した後は、マツエクのモチが低下するって本当?どんな対策ができる?
現在、ブームが再燃しているまつげパーマ。従来では、まつげパーマとマツエクを併用して施術することはあまり好ましくないという考え方が一般的でしたが、近頃は新しい技術も増え、マツエクと併用できるまつげパーマも登場しています。しかし、まつげパーマとマツエクを併用する際には、いくつか気をつけなければならないポイントも。今回は、まつげパーマとマツエクを併用することで起こり得る影響や対策法について焦点をあてて考えていきましょう。
カール後のマツエク
“まつげパーマ”とは、自まつげを自然な形で上向きにさせてカールをつける技法のこと。一方、自まつげに人工毛を装着して、ボリュームと目力をアップさせるのが“マツエク”であり、どちらも目元を華やかにさせ、印象アップさせるのに欠かせないアイメイクという点では同様です。
これまでは、このまつげパーマとマツエクの併用をOKとしているサロンは、それほど多くありませんでした。しかし、近頃では新しい技術も増え、マツエクと併用できるまつげパーマも登場。それに伴い、まつげパーマとマツエクの同日施術を可能としているサロンも増えてきています。その背景には、以下のようなお客様の需要が増えてきていることも関係していると考えられます。
◆自まつげが下がり気味、もしくは逆さまつげで、カールの強いマツエクを装着できない
◆それほどマツエクの本数は多くしたくないが、インパクトのある目元にしたい
まつげパーマとマツエクを併用することのメリットは、自然なカール感+ボリュームアップによって、華やかで印象的な目元に仕上げられることです。パーマで美しくカールを施された自まつげにエクステを装着することから、それほど多くの本数を装着しなくてもインパクトのある仕上がりとなります。そのため、「まつげパーマでは物足りないけれど、ナチュラルさはキープしたい」といった方や、「自まつげが薄く、装着できるエクステに限りがあるのが悩み…」という方には、需要があると言えるでしょう。
また、お客様のなかには、自まつげが下がり気味の人や逆さまつげの人も少なくありませんよね。下がり気味or逆さまつげの場合、エクステではどうしてもカールが出しづらくなってしまうのが難点。マツエクの装着方法を調節することで、ある程度自まつげの角度を補正することは可能ですが、それにも限界があることや、無理に上げると負担面での心配も出てきてしまいます。そこで、有効となるのが、まつげパーマで自まつげをカールさせてあげる方法です。カール感が欲しいけれど、マツエクでは対応しきれないという場合の対策法のひとつとなり得るでしょう。
しかし、これらメリットにだけ着目して、まつげパーマとマツエクの同日施術を安易にOKとするのは危険です。併用する際には、いくつか気をつけなければならないポイントもあります。それらをしっかり把握したうえで、導入することが大切です。つぎで、まつげパーマとマツエクを併用することで起こり得る影響について詳しくみていきましょう。
なぜ取れやすくなる?
まつげパーマとマツエクを併用して施術する場合のデメリットのひとつとして挙げられるのが、マツエクのモチへの影響。まつげパーマをプラスすることで、通常よりもマツエクが早く取れてしまったという事例がよく見られます。ではなぜ、まつげパーマとマツエクを併用して施術することで、モチが悪くなってしまうのでしょうか。考察してみましょう。
理由①:接着面がしっかり取れない
まつげパーマをかけた自まつげは、根元からくるりと立ち上がってカールしているケースがほとんど。そのため、エクステのカーブと自まつげの角度がかみ合わず、しっかりと接着面を取れないことから、結果モチの悪さへとつながってしまうことに。
また、カール具合が合致しないと、バラバラとした不揃いの印象となり、見た目にも美しい仕上がりとはなりません。
理由②:まつげパーマによる自まつげへの負担
まつげパーマで用いる液剤は、日々進化していて、化粧品登録されている安全性の高いものや、まつげにやさしい成分が配合されているものなど、改良が進められています。
しかし、そうとは言っても、自まつげへの負担がゼロというわけにはいきません。まつげパーマをかけることによって、少なからず自まつげはダメージを受けてしまっています。傷みの度合いにもよるものの、ダメージが大きいとエクステの重さに耐えられず、通常より早く取れてしまうケースもあるでしょう。
①と②の部分については、こちらの記事でも触れているのでチェックしてみてください。
理由③:まつげパーマの成分がグルーの硬化を早めてしまう可能性
まつげパーマで用いる液剤は、1液と2液というように2種類を使用するのが一般的です。2種類の液剤を使用するのには理由があり、1液でまつげの結合を解いて毛をやわらかくし、2液でカールを固定させる役割を持っています。しかし、マツエクと併用する際は、最初に使用する1液に少し注意が必要です。
エクステを接着する際に用いるグルーの主成分は、シアノアクリレートという成分です。このシアノアクリレートは、「空気中の水分」などによって硬化が開始されることはBeautéの過去記事でもご紹介しましたが、実は、水分以外にもグルー硬化速度を速める要素がもうひとつあります。それは、施術空間における「アンモニアガス(アルカリ性揮発物質)濃度の高さ」。
アンモニアガス濃度が高いと、グルーの硬化が速まってしまうと言われているのですが、まつげパーマの1液にはこのアンモニアガスを発生させる「アミン」と呼ばれる成分が含まれています。そのため、まつげパーマを施術することによって、施術空間にアルカリ性揮発物質が滞留してしまい、グルーの硬化が通常よりも急速に行われてしまうケースも考えられるでしょう。そうなると、マツエクのモチにも影響が出てしまうことが想定できます。
美容室併設サロンで、マツエクのモチに影響が出てしまうのはこのため!
頭髪用パーマ液とまつげパーマ液には、どちらもグルーの硬化に影響する「アミン」が含まれています。そのため、取り扱う際にはしっかり対策することが大切です。
対処法とは?
では、まつげパーマとマツエクを併用して施術する際、アイリストとしてどのような対策を講じることができるのでしょうか。
①接着面を取れるようなデザインを提案する
アイリストとしては、お客様にできるだけ長い期間マツエクを楽しんでいただきたいもの。そのため、まつげパーマと併用する際は、自まつげのカール具合に合わせたエクステを選定することが大切です。お客様の希望するカール感とまつげパーマの仕上りイメージを踏まえ、より接着面の取りやすいエクステを提案できるのが望ましいでしょう。
また、接着面を広く取るために、エクステの接着方法を「絡め付け」にするのも方法です。
絡め付けについては、こちらで詳しく紹介しています。
②換気をこまめに行う
いつもよりもグルーの硬化速度が速いと感じた場合には、空気中に滞留したアルカリ性の揮発物質を除去するため、こまめな換気を心がけることも大切。お客様に一言お声がけをし、まつげパーマの施術を終えてから、マツエクの施術に入るまでの合間のみ、施術部屋の空気清浄機の稼働を強めさせてもらうのもよいでしょう。しっかり換気することで、ある程度のアンモニアガス濃度を下げることが可能となります。
③まつげパーマの液剤を塗布した後はしっかり除去する
まつげは弱酸性であることが一番安定している状態と言われていますが、まつげパーマを施術することでまつげ自体がアルカリ性へと傾いてしまうことも懸念されます。そうなると、グルーの硬化速度を速めてしまう可能性も否めません。
そのため、まつげパーマ施術後はしっかりと液剤を拭き取ることが重要です。精製水をコットンに染み込ませて、十分に拭き取るようにしましょう。また、前処理剤にもアルカリ性のものや弱酸性のものなどあります。前処理剤を使用する場合、成分に注目して選定することも対策となるでしょう。
④アミン対応のグルーを使用する
まつげパーマ液には、頭髪用パーマ液と同様のアミンが含まれていることから、ヘアサロン併設用に作られたアミン対応のグルーを使用するのもおすすめです。
マザーグルーOP 10ml
画像元:EYELASH GARAGE
「松風」が販売しているヘアサロン専用のグルーです。カラーやパーマなど揮発成分を発生する環境下でも硬化に影響が出にくいように設計されているため、まつげパーマ併用時に「グルーの硬化が早すぎて装着しづらい」と感じた場合に効果的。低刺激仕様で粘度が低く、施術後約2時間で硬化するのもこのグルーの特徴。ほかにも速乾性のあるスピードタイプのマザーグルーも販売されているので、サロンの環境や自身の扱いやすさなどに合ったものを選ぶとよいでしょう。
まとめ
日々多様化しているお客様の要望に対応していくためにも、まつげパーマとマツエクを組み合わせる技法は有効と言えます。さまざまなデザインに柔軟に対応していくことが可能となるでしょう。しかし、併用することで生じるデメリットもあります。それらにしっかり着目したうえで、併用をOKとするのかどうかを検討することが大切です。現在すでに併用可能としているサロンも、今一度対策法などについて見直してみるようにしてみましょう。