自まつげの角度とカール選定の関係性
「キュートな目元にしたいから、くるんとした強めのカールで」や「クールな流し目が良いから、カールは抑えめで」など、デザインだけでなく、カールの強さを決めた上で来店されるお客様も多い、マツエク。しかし、人によって自まつげの角度が違うため、お客様の希望されたエクステを使用しても、イメージした仕上がりと異なるケースもありますよね。場合によってはデザインクレームになることも。そこで今回は、デザイン提案に役立つ、「自まつげの角度とカール選定の関係性」について勉強していきましょう。
自まつげのカールってどれくらい?個人差があるの?
自まつげのカールは、人によって大きく異なります。たとえば、まぶたの内側にある粘膜が見えるほど上を向いている人もいれば、まつげが下を向きすぎて目に入ってしまう人までいますよね。
自まつげのカール具合は、エクステ施術後の仕上がりに大きな影響を与えます。正面から見たときに、まぶたにかかったエクステの毛が長く、かつカールが強ければパッチリとした印象に。反対に毛が短く、カールも緩やかであればナチュラルな印象(場合によっては、マツエクのカールが生かせない場合もあります)になるでしょう。
例えば、自まつげが地面と平行に生えている場合を基準に考えてみてください。
もし自まつげのカールがそれよりも上向きであれば、エクステの長さやカールがまぶたにかかりやすく、印象も強くなります。
しかし、もし基準よりも下向きであれば、長さやカールが見えにくくなるでしょう。自まつげ自体が下に向かって生えているため、エクステの角度も下を向いてしまうのです。
日本人は下向きに生えている人が多いと言われています。つまり、日本でアイリストとして働くのであれば、下向きまつげに対する施術に慣れておかなければなりません。その上で、上向きまつげの施術も習得する必要があるでしょう。では、どのようなエクステで施術すると、希望されているデザインに近づけるのでしょうか。次の項目で、自まつげの角度別に勉強していきます。
自まつげのカールとエクステのカールの関係性・相性とは
自まつげの生え方とエクステのカールの関係性、そしてそれぞれの相性について解説します。
<上向きまつげの場合>
上向きまつげの場合、長さやカールの印象が強くなる傾向にあります。たとえば、同じCカールの11mmを付けていても、地面と平行にまつげが生えている人に比べて、長さがありカールが強いエクステを装着しているように見えるのです。正面から見たときに、まつげの根本まで見えやすいことが理由のひとつでしょう。
ここからは、なりたいイメージ別に、上向きまつげオススメのカールをご紹介します。
強いカールと長めのエクステを使って仕上げる、エレガントデザイン。上向きまつげの場合、通常よりもカールが強めに見える傾向にあるため、長さを短くするか、カールを抑えると自然なエレガントデザインに仕上がるでしょう。マツエクの中でもカールが強めと言われているDカールやCCカール(SCカール)は、角度が強すぎるかもしれません。
反対に、一般的に“ビューラーで上げたようなカール”と表現されるCカールは、上向きまつげと相性◎。特にエレガントな目元を希望されるお客様にはオススメしたいですね。
【キュート】
キュートデザインとは、人形のようなパッチリとしたデザインのこと。くるんっとキレイに丸まったカールが魅力のひとつです。上向きまつげの場合、Jカールを付けると一般的なCカールに近いカール感が楽しめるためオススメ。反対に、一般的に“人形のまつげのようなカール”と言われるCカールは、人によってはカールが強すぎて違和感を覚えることもあるでしょう。しかし、短めのタイプを選んだり、ボリュームを少し抑えめに施術することで、Cカールでも馴染みやすくなります。もしお客様の希望が「カール重視」であればCカールを、「全体の雰囲気が丸くてキュート」なデザインを求められている場合はJカールをオススメしてみてはいかがでしょうか。
【ナチュラル】
あまり華美な雰囲気が好きではないお客様には、Jカールが良いでしょう。カールが強くなり過ぎず、目元に自然と馴染みます。しかし、“ナチュラルな仕上がり”とは、人によって大きくイメージが異なるため、注意が必要です。「自まつげが増えたような、ナチュラルな雰囲気が好き」という人もいれば、「普段のメイクでマスカラを使用しているので、その状態に近い仕上がりが良い」という人もいます。まずは、お客様の考える「ナチュラル」がどういった仕上がりなのかを必ず確認しましょう。その上で、カールの強さだけでなく、細さや太さ、質感など、さまざまな観点からのマツエク選定が大切です。
例えば、自まつげが増えたような仕上がりを好まれるお客様には、細くて柔らかい質感のJカールを、マスカラのような仕上がりを求めるお客様には、ツヤ感と弾力のある質感のJカールをオススメすると良さそうですね。
<下向きまつげの場合>
エクステは自まつげに沿って装着するため、下むきまつげの場合、カールが弱く見えがち。一般的なイメージよりも一段階強いカールを提案するよう心がけましょう。
先ほどと同じく、なりたいイメージ別に、エクステのカールと下向きまつげの相性を紹介します
【エレガント】
エレガントな目元を目指す人にとって、強いカールは重要です。しかし、Cカール程度ではあまりカールが目立たず、「イメージと違う!」とクレームになることもあるでしょう。そこでオススメはDカールやCCカール(SCカール)。どちらもCカールより少し強いカールが魅力です。Cカールでは物足りないお客様に、ぜひ試してもらってください。
もし直毛の下向きまつげなのであれば、Lカールをオススメしても良いでしょう。一般的に、直毛の下向きまつげは装着面が少ないため、エクステが取れやすくなったり、根本が浮きやすいと言われています。しかしLカールの場合、直線ラインが長く取られていることで、しっかりと自まつげに沿って装着可能。接着面を取りやすくなるため、モチも良くなるでしょう。
【キュート】
人形のような目元を目指している下向きまつげのお客様にも、DカールやCCカール(SCカール)がオススメ!装着前は「カールが強すぎるのでは?」と不安になるかもしれませんが、実際に装着してみると角度が下がって、ほど良いカールになるはずです。
【ナチュラル】
ナチュラルな目元を求めるお客様には、Cカールをオススメすると良いでしょう。実際の装着感は、一般的なJカールに近い印象です。あとは、付ける位置やエクステの細さ・長さを工夫し、お客様の“なりたい”イメージに近づけるだけ。上向きまつげのときと同じように、自まつげを増やしたような自然な仕上がりを好まれるお客様には、細くて柔らかいCカールの毛を、そしてマスカラを付けたよう仕上がりにしたいお客様には、ツヤ感のある少し太めのCカールをオススメしたいですね。
もちろん、上向きまつげも下向きまつげも、人によって角度は違います。下向きではあるけれど、逆さまつげと表現するほどではないお客様に強いカールをオススメすると、やはりデザインクレームの原因になり得るでしょう。大切なことは、1人ひとりのお客様の目元をしっかりと観察すること。角度に合わせて提案するカールの強さや毛の細さ、長さ、質感を工夫したいですね。
カールに合わせたグルーのつけ方、注意点
「自まつげの向きをエクステでカバーするためには、グルーの付け方にも工夫が必要なのでは?」
と思われがちですが、実はグルーの付け方に特に工夫は必要ありません。通常通り、しっかりと根元まで装着し、1本ずつ丁寧に進めていきましょう。
注意する点は、アッパーテープの貼り方です。自まつげが上向きに生えている場合、まぶたを強く引き上げなくても自まつげが見えやすいはず。しかし、下向きに生えている場合はしっかりと引き上げる必要があるでしょう。ただし、あまり引き上げすぎると目が薄く開いてしまうかもしれません。もしも目が開いた状態で施術を続けてしまうと、グルーの揮発成分が目に染みやすくなるでしょう。ひどい場合にはシックハウス症候群のような強い症状を引き起こすこともあるため、注意が必要です。また、まぶたを引き上げすぎると、普段の目の形とは大きく異なった状態での施術になります。結果、施術中と施術後で印象が異なるケースもあるため、引き上げすぎないように加減が必要です。
最後に、みなさんには、自まつげの角度を見極めた上で、エクステの長さやカールを提案することが求められています。たとえお客様から
「パッチリとしたデザインが好きです!Cカールが人気だとSNSで見たので、Cカールでお願いします」
と言われたとしても、自まつげを観察して、状態をお伝えする必要があるでしょう。
まずは、
「このような目元がお好みでしょうか?」
と、実際の仕上がりイメージをサンプルなどで確認していただき、イメージをすり合わせ。その後、
「お客様の場合、CカールよりもCCカールの方が、イメージに近いお仕上がりになりそうですが、いかがでしょうか?Cカールもビューラーで上げたようなしっかりしたカールが楽しめますが、CCカールはさらにくるんっとした強めのカールが特徴です。お客様の場合、少しまつげが下を向いていらっしゃるので、少し強めのカールを選ばれてもまつげに馴染みやすく、かつパッチリと仕上がります。ご希望のデザインにも近づきやすいと思いますが、いかがですか?」
と、ご説明します。
施術前に仕上がりのイメージをすり合わせることでデザインクレームを防ぎ、なおかつお客様のまつげの状態とおすすめする理由を詳しくお伝えすることで、信頼関係を築きやすくなるはず。カウンセリングでは、必ず1人ひとりのお客様に合ったデザイン・エクステをご提案しましょう。
まとめ
お客様の“なりたい”を叶えてくれるマツエク。しかし、自まつげの向きをしっかりと考慮しなければ、思った仕上がりにならないケースも多く見られます。アイリストとして大切なことは、お客様の“なりたい”を実現すること。その過程で、たとえCカールがCCカールになっても、反対にJカールになったとしても問題ありません。結果としてお客様が満足されているかどうかが大切なのです。「Cカール」や「Jカール」という言葉の裏に、お客様のなりたいイメージが隠されているはず。カウンセリングでは、そのイメージをきちんと引き出し、1人ひとりに合ったカール選定を行いたいですね。